第五十三刻 勇者と共に 強襲
「セス君!ちょっとセス君!」
肩を叩かれる感覚、ハッとして意識を取り戻す。
周りを見渡すと褒賞式の場に戻っていた。
「戻った…のか?」
「セス君ってば!」
背中をバシンと叩かれる、レインが頬を膨らませこちらを睨みつけていた。
「あ、あぁごめん。」
「勇者様と握手してからずっと上の空だもん、何回呼んでも無視してさー。」
「どれ位そんな状態だった?」
「えーっと…一分くらい?」
立ったの一分だと?少なくとも十分いや十五分はあそこに居たはずだ。
俺は一体何を体験したんだ。
「それより!セス君勇者様と知り合いだったの!?
私も話したかったなぁ。」
レインが羨ましそうにこちらを見つめている、正直混乱してそれどこではない。
「ごめんレインその話はまた今度な。
ちょっと調子が悪い、風にでも当たってくる。」
彼女には悪いが整理する時間が欲しい。
俺は広間を出た物干し場で外を眺めていた。
あの空間であった彼女…
俺の最後の質問に返した答え、正直少し安心した。
エヴァンがエヴァンでは無い可能性がある、その芽はまだ消えていない。
だがそうだとすると…
「本物のエヴァンは一体…」
彼女はまた会えると言ってくれた。
考えても仕方ない、手掛かりは彼女だけなのだ。
「今は出来ることをやるしかないか…」
やはり当面の目標は軍内での地位の向上。
その為には日々鍛えるしかない。
異変を感じたのは、戻ろうと立ち上がった時だった。
「土煙…?」
城壁の向こう、森の木々が土煙を上げながら倒れてゆく。
その原因はすぐに煙の中から顔を出した。
黒い鎧の軍勢と巨人だ。
実物を見たのは初めてだがすぐに分かった。
俺は慌てて広間に戻りカトレアに向けて叫んだ。
「隊長!魔族です!」
その瞬間街中に響く鐘の音。
それは魔族、敵軍襲来の際に知らせる危険信号だ。
それまで酒を飲み上機嫌で周りに絡んでいたカトレアの顔付きが変わる、戦士の顔になった。
「さぁ六対の皆!宴会はここまで、飲みたい気持ちは分かるけどそうもいかないみたい!
五分で準備して城壁前に集合、いいわね!」
響くカトレアの号令、俺達も隊長に続く。
「「「了解!」」」
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