第五十刻 勇者と共に 国王
ジルニ国第十八代国王、アルゴスト=ジルニ。
国の象徴であり、最高権力者。
王族の割に大柄で鍛えられた身体が服の上からでも分かる。
先代の王が早くに亡くなり三十代で国王を世襲してからここまで発展させたやり手だ。
五十近いとは聞いていたが有事の際は前線に行きたがるかなりの武闘派だとか…
当然ながら俺達みたいな人間が簡単に近寄れる相手では無い。
国王の登場に心なしか辺りの空気がひりつく。
「皆、良く集まってくれた。ゆっくりと楽しんでくれ。」
声だけでも感じる威厳、これが王の迫力か。
「臨時ではあるが褒賞式を行う、第六対魔師団セス、前へ!」
食事会が褒賞じゃなかったのか、注目されるのはあまり好きではない。
それにあの国王で粗相でもやったら取って喰われてしまいそうだ。
「セス君呼ばれてるよ。」
「隊長何ニヤついてるんですか、さては…知ってましたね?」
「さぁ?どうだろうね。優勝してんだから胸張って行ってきな!」
カトレアに押し出されるように前へ進む。
周りの貴族達もヒソヒソと何か話しているようだ。
「セス、王に所属と名を。」
片膝を付き答える。
「第六対魔師団所属セスと申します。
本日はこの様な場を設けて頂き誠に感謝しております。」
「顔をあげよ、先の戦いこちらも聞いている。
今後も精進しその力、この国に役立てて欲しい。」
「ありがとうございます、謹んでお受けいたします。」
様式美のような光景だろう。
その後は大臣より簡単な説明があり、褒賞品として記念の腕章の受取があった。
腕章の着用は国王自らが行うとのことで、王の目の前まで案内され準備を行っていた。
流石に目の前まで行くと緊張する、滲む手汗。
息遣い一つにも細心の注意が必要だと思ってしまう程の。
「そんなに緊張するな、色男が台無しだぞ。」
俺だけにしか聞こえない位の声。
彼は留め具を外しながら囁く。
「君の親父さんには感謝してもしきれない恩がある。
今度時間をくれ、ゆっくり話そう。」
この人も父の事を知っている。
幼き頃は分からなかった、軍に入って気付く父の偉大さ。
「お呼び出し頂ければいつでも。」
小声で返す。
少し微笑みながら差し出された手を握り返し褒賞式は終わった。
「ふぅ、緊張したぁ…」
「凄い迫力だったね国王様」
俺は褒賞式も終わり、挨拶回りを済ませたレインと共に六対の席で一休みをしていた。
再び設けられた歓談の場で周りを見ていると、一際目立つ一角がある。
ここに乳質してからずっとだが代わる代わる貴族達が向かい人集りが絶えないテーブルがある。
恐らくあそこに…
「おーい!セス!」
その一角から俺を呼ぶ声、聞き間違える事はない。
エヴァンが人集りを掻き分けこちらに向ってきた。
「久しぶりだな、セス。」
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