第四十刻 新人戦 開幕
「各隊の出場者は整列しろ!まず第一武装からだ!」
大会委員会の男が大声で叫ぶ。
ジルニ国大闘技場。
普段は各隊の訓練や、一般人に運動用への開放、催事などに使われているここが新人戦の舞台だ。
「結構多いね、みんな出場者でしょ?」
隣でレインが周りを見渡しながら言う。
「こんなに居るんだな、知らなかった。」
武装、魔法の各十部隊それもそうか。
他の隊との交流が無い為、完全に忘れていた。
レインに服を引っ張られる、振り返ると彼女は何やら恥ずかしそうだ。
「私達の格好なんか浮いてない?」
「確かに、うちだけ武装とも魔法とも違うな。」
武装は鎧、魔法はローブがそれぞれ元となった軍服だが俺達の六対だけはどちらでも無かった。
黒色を基調にした武装と魔法の中間のような服だ。
「だからここまで他の隊から見られてたのか。」
「今頃?ずっと見られて恥ずかしかったよ…」
「まあ目立つし良いんじゃないか?」
「私は目立ちたくないのに…」
レインは被っていたフードをさらに深く落とした。
「次、第六対魔師団!」
「呼ばれたぞ、行こう。」
レインの手を取り人混みを掻き分ける。
その後順々に他の隊も呼ばれ説明が始まった。
壇上に眼鏡をかけた男が上がる。
「えー、皆様はじめまして。私は今回の新人戦の委員会
で委員長を努めさせて頂いております。
ジルニ国軍事大臣のマルケス=エルメイダです。」
軍事大臣。
他国、魔族との戦いの際に国と軍を繋ぎ国王の決定を軍に伝達している人というようにウェルスさんから教わった。
ウェルスさん曰く、国と軍に挟まれた可哀想な人だそうだ。
マルケスは続ける。
「皆さんはまだ新人ですが一般の方から見れば既に軍の人なのです。
日々の鍛錬の成果、十分に発揮してください。
また今回は勇者様も国王と共に観覧されます。」
エヴァンが来ている。
会うことは難しいだろうが機会があればどこかで…
「また、本大会は勝ち抜き戦だ、同日内での連戦も考えられる、あまり無茶をしすぎないように。」
「最後に、優勝者並びに同隊への褒賞は国王主催の食事会への招待だ、勿論勇者様も参加される。」
どこかなんてもんじゃない。
優勝すればエヴァンに近付ける、そこで奴の…
エヴァンだけどエヴァンじゃない。
あの日から持ち続けていた疑問、何か掴めるといいが…
「以上で説明を終了します。それでは健闘を祈ります。」
「では一回戦呼ばれたものはこちらに!」
マルケスの挨拶も終わり初戦が始まろうとしていた。
事前に組み合わせは公開されており俺は三回戦、レインは十四回戦だ。
「セス君?大丈夫?おーい。」
レインが顔を覗き込んで話しかけていたようだ。
「ごめん、ちょっと考え事。」
「びっくりした、何度呼んでも返事しないんだもん。
セス君三回戦でしょ?準備しないと。」
レインは控室を指差す。
「そうだな、行ってくる。」
「セス君!」
レインに呼び止められた。
「こ、これ!うちの地元で何かに挑む人に渡すお守り。」
彼女の手には黒く光る石が付けられたネックレスが握られていた。
「俺に?いいのか?」
彼女は黙って頷く。
「ありがとう、勝ってくる。」
何気ないプレゼントだろう。
だがなんだか少し恥ずかしい、俺は照れ隠しに彼女の頭
をポンと叩き、控室に向かった。
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初投稿なので右も左も分かっておりません。
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