第三十八刻 新人戦 焦りと呼吸
訓練具を渡されて五日。
あれから何も進めずにいた。
「クソッ!」
つい苛立ち、焦ってしまう。
新人戦の日程は決まっている、時間との戦いだ。
「セス君、調子どう?」
レインだ。
「どうもこうも、さっぱり。そっちは?」
「エルゼさん凄く良い人だけど、私が悪いのかなかなか
上手くいかなくて…」
レインもあまり浮かない顔をしている。
「ちょっと気分転換にお昼でもどうかなって。
忙しいならいいよ、続けて!」
焦っているのは俺だけじゃない。
彼女も同じだ。
「いや、ありがとう丁度息抜きしたかったんだ。」
彼女の誘いを受け、食堂へと向かった。
彼女の前には山盛りのご飯とおかず達。
「普段はこんなに食べないんだよ、でも訓練初めてから
凄くお腹空くようになっちゃってそれで…」
恥ずかしそうに取り繕うレイン。
「それだけ頑張ってるってことだろ?
それにたくさん食べる女の子俺は好きだぞ。」
なにかに一生懸命な人は誰でも尊敬できる。
魔法はさっぱり分からないがそれだけ大変なのだろう。
「なぁレイン、魔力の流れって感じたことあるか?」
生命力と魔力、分類は違っても共通項があるかもしれない。そう思い彼女に尋ねてみた。
「うーんよくわかんないなぁ、魔力を精霊さん達が
持っていく時は吸われる感じするけど…」
「でも魔法を使ってなくても魔力は流れてるんだろう?
何も感じないのか?」
「意識した事がないかな、呼吸するのに意識してしない
でしょ?それと同じだよ。」
彼女の回答は魔法師からすれば他愛ないものかもしれない。
しかし魔力が無い俺からすると驚きの事実だった。
「じゃあ全く意識してないのに使えるのか。」
「うん、だって私の中で勝手に回ってる魔力を精霊さん
にお裾分けしてるだけだからね。」
本来流れているもの、それを使う精霊。
確かに俺も身体強化の際に使う対価、これを意識して感じてはいない。
「あまりに色を変えることに固執しすぎていた…?」
もし、魔力を生命力に置き換えた場合。
元々体内で循環しているものだと考えれば…
分かったかもしれない。
「レイン!ありがとう!」
「えぇ!?ど、どうしたの急に…」
レインの顔がみるみる赤くなる。
気付くと無意識にレインの両手を摑んでいた。
「ご、ごめん!」
慌てて手を離した。
「よくわかんないけど役に立てたなら、良かったです…」
彼女は下を向いたまま恥ずかしそうに返事をした。
「何か掴めそうなら訓練戻って良いよ…」
正直願ってもない誘いだ。
今なら上手くいくかもしれない、だがレインも悩んで
いる。
「自分だけ解決してなんて悪いよ、レインも何かあるん
だろう?」
「私は大丈夫、こっちも解決…したから…。」
「そうか?じゃあ甘えるぞ、埋め合わせは必ずやる
から!」
ずっと赤いままのレインは気になったが、好意に甘えて
俺は急いで訓練場へと戻った。
「訓練訓練って、うちの脳みそ筋肉野郎にだんだん似てきたと思わない?レインちゃん。」
「隊長、どうせ隠れて聞いてたんでしょう、これで良か
ったですか?」
「うん、十分!ありがとね。
エルゼから聞いたよ、とっても順調だって。」
「はい、ありがたいことに…
でもセス君に嘘付いて騙すような真似…」
「でも良かったじゃん、セス君は吹っ切れてレイン
ちゃんは次のデート確約して貰えてさ。」
「もぉ!あんまりからかわないで下さい!」
読んで頂きありがとうございます。
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初投稿なので右も左も分かっておりません。
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