第ニ十九刻 修練の日々 リベンジ…?
あの約束から数日後、前回と同じ待ち合わせ場所に俺は居た。
大丈夫、脳内に隊長を準備してきた、上手くやれる…
(いい?まず待ち合わせには必ずセス君が早く着くこと!)
「セス君!お待たせ〜!」
レインの声、彼女が小走りでやって来た。
訓練と違い下ろした髪、薄く化粧もしているのだろうか、元が良い分それでも十分可愛い。
「今来たとこだよ、髪下ろしたんだね似合ってるよ。」
(女の子は髪の毛をどうするか、化粧をどうするか
それだけでもたくさん悩むの!ちゃんと褒めてあげて!)
「そ、そうかな…ありがとう。」
照れくさそうに笑うレイン。
「服…変じゃないかな…?」
レインはその場で軽く回ってみせた。
風に揺らめくスカート、清潔感のある服装は彼女のイメージとピッタリだ。
(服なんて死ぬほど悩むわ、絶対に良く言うこと!)
「レインっぽくて良いと思う、可愛いよ。」
「かわっ!セ、セス君もいい感じ…」
「ありがとう、それじゃ行こうか。」
レインを連れて歩き出す。
(無言は駄目!何でもいいから移動中は会話しなさい!)
「魔道具ってよく知らないけど何に使うんだ?」
「魔力が無い人が擬似的に魔法を使ったり、魔法を使う人は魔道具で増強したりと様々な使い方がありますよ!」
流石に魔法の事は俺より詳しい。
基本属性が使えない俺でも何か良い品があるかもしれない。
「俺も良いのあったら買おうかな…」
「私も一緒に選ばせて下さい!セス君の魔法気になります!」
そういえば試験の時に俺の魔法に興味津々だったな…
なんて会話をしていると魔道具店の前まで来ていた。
(ありふれてるけど扉はセス君が開けなさい、お嬢様扱いされて嫌な女の子は居ないわ。)
扉を引いてレインを先に招き入れた。
「ありがとう。」
身体を小さくしながらトコトコと彼女は店に入る。
中には整った身なり、初老位だろうか。
男性が椅子に腰掛け本を読んでいた。
「いらっしゃい。」
落ち着いた低い声。
「わぁー、魔道具が沢山…」
レインは目をキラキラさせて辺りをしきりに見回している。
店内は物が整って置かれ、何の香水だろうか落ち着く香りが漂っている。
「何かお探しで?」
「はい、私と彼の何か良い魔道具があればと思い お伺いしました。」
レインが答える、俺は素人だ。
ここは悪いがレインにエスコートして貰おう。
「ほぉ、お二人は軍人さんですか?」
「そうです、今年入隊したばかりです!」
レインの背筋が伸びた、軍のことになると彼女は
とても真面目だ。
「どこの隊に配属を?まぁここに来るくらいですから魔法師団でしょうか?」
詳しい、他の隊の人間もよく利用するのか?
「いえ、第六対魔師団です!」
レインは元気よく答えた。
「六対、ではカトレアさんのところですか。」
店主の表情が明るくなる。
隊長の評判はやはり町中何処でも良いみたいだ。
「隊長をご存知なのですか?」
店主に尋ねる。
「えぇ、彼女とは長い付き合いです。
それに彼女の部下は皆魔道具の使い方をよく理解
している。」
べた褒めだ、先輩達のことを良く言ってくれるとなんだか誇らしい。
店主は続ける。
「本当、うちの隊員たちにも見習わせたいくらいです…」
……ん?この人今うちの隊員って言わなかったか?
それに店主の後ろに掛けられたローブよく見ると沢山の勲章が付けられている。
「失礼ですが店主さん、貴方は一体…」
「あぁ、失礼。私はジルニ国魔法師団、師団長の
ロックス・ヴァーシュと申します。」
軍にやけに詳しいと思ったが、これは…想像以上の大物登場だ。




