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第ニ十一刻 紫電の追憶 息子

私は、彼を知っている。


「カトレア、俺さぁ今度息子が生まれるんだ。」


私は彼を知っている。


「カトレア、聞いてくれよ!息子が大きくなったらお父さんみたいな人になるんだ!だってよ。」


私は彼を知っている。


「カトレア、息子に嫌われちまったかもしれない。」


紫電の英雄。

そう呼ばれたあの人は、ちょっぴり抜けていて、でもすごく優しい、大きな優しさで皆を包む光のような人…





「隊長!しっかりして下さい隊長!なんで私なんかを庇って…」


第一次魔族進軍。

四国間の対立が激化したところを狙って各国へ魔族軍が総攻撃をかけた最初の対魔戦争。


紫電の英雄を筆頭にジルニ国は優勢と思われていた。

あの日までは…


内通者。

それも紫電の英雄率いる第六武装師団の中から。


「隊長!ゲインを一刻も早く見つけて殺すべきです!」


「まぁ、そう言うなあいつにも何か事情があるのだろう。」

彼は落ち着いて笑っていた。


第六武装師団、副隊長ゲイン。

元々は街の不良だったところを隊長に買われ入隊してきた、素行は悪いが力はある。

実力で副隊長まで上った男だ。


「私は、奴が憎い。奴が裏切らなければ仲間達は死ななかった…」

悔しくて唇を強く噛んだ。


ゲインの裏切り、魔族へ情報を流し対価として魔族の力を貰っていた。

優位に見えた戦いも作戦が筒抜けではどうすることも出来ず、仲間達は大勢死んだ。


「カトレア、気持ちは分かるだが奴も少し純粋すぎるんだ。」


この人は甘い。

「そのせいで!そのせいでミーシャやアイク、それにノルンまで…隊長が行かないなら私だけでも行きます!」


涙が溢れる、皆私の同期達だ。

夢を語り合い、一緒に過ごしたかけがえのない仲間達だ。


「隊長は仲間がどれだけ死んでもそこでゲインを

 待ってればいいじゃないですか!」


初めての反抗。


「カトレア!」

彼が腕を振り上げる。


(殴られるっ!でもいい、私はゲインが憎い!)

目を瞑り身構えた。

しかし、飛んできたのは拳ではなくデコピン。


「何も思わないはずないだろ!俺の部下は皆、俺の

子供達だ。

 自分の子の後始末は親がやるもんだ。」


そう言って私の横を通り過ぎる隊長。

顔が見えなくても背中でわかってしまう。


彼は泣いていた。




読んで頂きありがとうございます。

毎日2〜3話投稿出来るように頑張ります!

初投稿なので右も左も分かっておりません。


宜しければ素直な評価お願いします。

ブックマーク等頂ければ次の話を投稿するパワーになります。

是非お待ちしてます!

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