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週間ランキング49位、月間ランキング74位『となりの席の真白さん』  作者: S.S
中学生 いたずらやからかい

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114/1100

第114話:マフラーの距離と春の予感

「ほら、蓮くん。置いてっちゃうよ?」

教室の入り口で振り返った真白が、蓮を呼んでいる。蓮は重い足取りでカバンを持ち上げ、彼女の後を追って教室を出た。

静まり返った渡り廊下を、二人の足音が規則正しく響く。校門を出ると、3月の夕方の風が、蓮の火照った顔を冷ますように吹き抜けた。

「ねぇ、蓮くん。チョコ、今食べてもいい?」

並んで歩きながら、真白がカバンから先ほどの木箱を取り出した。

「え? ああ、いいけど……歩きながら食べるの?」

「うん。蓮くんがくれたものだから、早く食べたくて」

真白は木箱を開け、中から小さないちごチョコを一つ摘むと、パクリと口に含んだ。そして、本当に幸せそうな顔をして目を細めた。

「んー! すっごく美味しい! 甘酸っぱくて、蓮くんみたい」

「僕みたいってなんだよ!」

「さあ、どういう意味でしょう?」

真白はそう言って笑うと、自分の首に巻いていたチャコールグレーのマフラーをふっと緩めた。そして、そのマフラーの片方の端を、あろうことか蓮の首へと優しく巻きつけたのだ。

「うわっ!? な、何するんだよ真白!」

「だって、今日の風、ちょっと冷たいでしょ? 蓮くん、顔が赤いから寒いのかなって思って。……こうしてれば、あったかいよ?」

一つのマフラーに繋がれた二人の距離は、歩くたびに肩が触れ合うほどに近くなる。真白の温もりと、マフラーから伝わるダイレクトな甘い香りに、蓮の心臓はもう限界を超えていた。

「真白……これ、からかってるんだろ?」

蓮が消え入りそうな声で尋ねると、真白は一瞬だけマフラーに顔をうずめ、それから夕日よりも綺麗な笑顔で蓮を見つめた。

「からかってないよ。……来年のバレンタインも、再来年のホワイトデーも、ずっとこうして勝負できたらいいなって思っただけ」

その言葉に、蓮はもう何も言い返せなかった。悔しいけれど、やっぱり真白の隣を歩くこの時間が、世界中で一番愛おしい。

春の足音が聞こえる帰り道、二人の影は一つの大きな影となって、いつまでも夕暮れの街に伸びていた。


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