表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/30

8

「どこのチームに入ろうかな」

 ジーンは辺りを見回しながら軽くつぶやいた。周囲では、既にいくつかのグループが形成されつつある。動きの早い連中は、目星のついたメンバーを中心に早々に固まり、輪を作っていた。


「そんな選んでる場合? 早く決めようよ」


 焦ったようにシャルロッテが隣で促すが、ジーンはどこ吹く風といった様子で歩を進める。


「あっちに行くか。すみません――」


「は? こっちに来んな、腫れ物」


 鋭い声が飛んだ。ジーンが声をかけたグループの一人が、あからさまに嫌悪感を込めて睨んでくる。


「ひどいなぁ、腫れ物だなんて」


 ジーンは苦笑しながらも、どこか楽しんでいるような口調で返した。


「……そりゃそうでしょ。私たちは晒されたんですよ? あんな見世物みたいな登場させられたやつを、好き好んでチームに入れたい人なんていないでしょ」


 シャルロッテが静かにそう言い、視線を下に落とした。


まぁ、こんなもんよな。けど――」

 ジーンは肩をすくめて、ぽつりと呟いた。


「流石にきついなこれは。どこも行けないとなると、さすがに殺されっかな」


 シャルロッテは不安そうに辺りを見渡していた。周囲の参加者たちはもうグループを固めつつあり、余った者同士で組む気配すらなかった。


 ――そのとき。


「君たち、もしかしてまだチーム決まってない?」


 背後から声がかかった。


 振り返ると、そこには柔らかな笑みを浮かべた青年が立っていた。年齢はジーンたちと同じくらいか、少し年上にも見える。整った顔立ちに、無駄のない所作。そして何より、その声には敵意も偏見もなかった。


「よかったら、うちのチームに入らない?」


「……あんたは誰だ?」


 ジーンがやや訝しげに問うと、男は軽く片手を挙げて名乗った。


「俺の名前は――〇〇。ま、よろしく」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ