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「どこのチームに入ろうかな」
ジーンは辺りを見回しながら軽くつぶやいた。周囲では、既にいくつかのグループが形成されつつある。動きの早い連中は、目星のついたメンバーを中心に早々に固まり、輪を作っていた。
「そんな選んでる場合? 早く決めようよ」
焦ったようにシャルロッテが隣で促すが、ジーンはどこ吹く風といった様子で歩を進める。
「あっちに行くか。すみません――」
「は? こっちに来んな、腫れ物」
鋭い声が飛んだ。ジーンが声をかけたグループの一人が、あからさまに嫌悪感を込めて睨んでくる。
「ひどいなぁ、腫れ物だなんて」
ジーンは苦笑しながらも、どこか楽しんでいるような口調で返した。
「……そりゃそうでしょ。私たちは晒されたんですよ? あんな見世物みたいな登場させられたやつを、好き好んでチームに入れたい人なんていないでしょ」
シャルロッテが静かにそう言い、視線を下に落とした。
まぁ、こんなもんよな。けど――」
ジーンは肩をすくめて、ぽつりと呟いた。
「流石にきついなこれは。どこも行けないとなると、さすがに殺されっかな」
シャルロッテは不安そうに辺りを見渡していた。周囲の参加者たちはもうグループを固めつつあり、余った者同士で組む気配すらなかった。
――そのとき。
「君たち、もしかしてまだチーム決まってない?」
背後から声がかかった。
振り返ると、そこには柔らかな笑みを浮かべた青年が立っていた。年齢はジーンたちと同じくらいか、少し年上にも見える。整った顔立ちに、無駄のない所作。そして何より、その声には敵意も偏見もなかった。
「よかったら、うちのチームに入らない?」
「……あんたは誰だ?」
ジーンがやや訝しげに問うと、男は軽く片手を挙げて名乗った。
「俺の名前は――〇〇。ま、よろしく」