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ナタルは冷淡に告げる。
「リンの敗北により、懸賞金はゼロ。選択肢はただ二つ――奴隷になるか、死ぬか」
観客席から下卑た笑い声が湧き上がった。
「さっさと奴隷になっちまえ!」
「どうせ安く買われて終わりだ!」
リンは唇を噛みしめ、視線を伏せる。
「じゃあ俺が買うのはどうだ?」
ジーンが静かに口を開く。
一瞬、会場がざわついた。
「は? お前が?」
「金なんかあるわけねえだろ!」
ナタルは顔色を変えぬまま答える。
「可能です。ただし、この商品は非常に価値が高い。顔立ち、体の線、そして若い女性であること。――価格は四万マルクス」
その数字に、観客は爆笑した。
「四万!? ジーンの懸賞金と同じじゃねえか!」
「払えば自分も奴隷行きだぞ!」
ジーンはにやりと笑う。
「四万か。……じゃあ、買うよ」
爆笑がさらに大きくなる。会場全体が嘲笑に染まる。
「正真正銘の馬鹿だ!」
「自分から奴隷になりに行くとは!」
――だが、ジーンは静かに言った。
「馬鹿はお前らだ。……俺の懸賞金、水晶で確認してみろよ」
観客は嘲笑のまま視線を水晶へと向けた。
次の瞬間、空気が凍りつく。
「……は? なんだ、これ……」
水晶に映し出された額は、六千マルクス。
ジーンは腹を抱えて笑った。
「見たものしか信じられない間抜けどもめ」
そう言うと観客のブーイングが始まった。
「それじゃあよろしく俺の奴隷。」
そうジーンはリンに手を差し伸ばし、会場を後にした。




