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才能がなかった俺は、仲間をS級に導き、『花園の批評家(レビュアー)』と呼ばれるようになった。  作者: マボロシ屋
10章 月は東に日は西に

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139/139

139:ついでに『百花繚乱』の支部でも作らせてもらうか?

 オーディーとクラン員に先導してもらい、現場に向かう。

 殴り込みに来ている剣幕(けんまく)を考えると、クラン長同氏の話し合いが終わった以上は事態の収拾に向かわなければならないからだ。


「そう言えば、外をしっかりと歩くのは初めてだな。初日はまともに体も動かせず、その後もなんだかんだでジーニャの家に(こも)って……なんというか、皇国の都ってのは案外落ち着いてるんだな」


「静かでしょ? そこが気に入ってるんだよね~」


「アマテア皇国は外では余り騒がしくしすぎないって意識がありますからね。当然、主都なので人混みは多いですけれど、それらの慣習に倣って行動する人が多いんですよ。こうやって歩いているだけでも、高国民かそうでないかが分かりますよ。あちらを見てください」


 そう言って歩きながらオーディーが人の流れを逆流する者を指し示す。


「この国では自然と左手側に寄って進む意識があるんです。通りも廊下も。なので逆流しているとこの人は他国の人間だなって一目で分かります。文化的な部分では昔から交流が盛んに行われてきているので、独自性のようなモノは薄れてきましたけどね」


 都の様子を眺めながら、「今ではかしこまった場くらいでしか正式に皇国礼装――(はかま)を着る人は見かけませんね」と笑いながら説明してくれるオーディー。


「他国に訪れる機会は一度もなかったが、『機構の探求』が言ってたように屋台の料理はだいぶ違うんだな。問題が片付いたらどこかで食べさせてもらうとするか……流石にその時にはジーニャの家に留まる理由もないしな」


「は、ははは……本当に、ご迷惑を……」


「ノーマ、出て行っちゃうのかっ……それは、残念だ」


 オーディーは申し訳なさそうに言いながら、前を歩く。

 だが、後ろを一緒に歩いているジーニャは既にケロッとしており、騒動を巻き起こしておきながら脳内では検体――ノーマ(おれ)が手元から離れてしまう、くらいにしか考えてなさそうだ。


 う~ん、こやつ反省していない。

 『機構の探求』から聞いてはいたが、無茶苦茶な行動と切り替えまでも早い。巻き込まれる側は溜まったもんじゃないな。

 開花者であってもそれを(おご)らず、思考し行動するのは凄いがな。


「見えてきました。あちらの建物が私たち『機巧の旗』の拠点になります」


 先導する男性職員が指差した先に奇抜な様式の建物が見えた。

 うねった竜巻2本が交差するような形状。外観は白に黒が時々混じっているせいで、余計にそう見えてくる。


「お、おぉ……これは、なんというか……」


「良いデザインでしょっ? 発明品で稼いだお金で納得の仕上がりを求めたよっ! あの倒れそうで2本の重なりで倒れないのが素晴らしいんだっ!」


 俺には良く分からないが、嬉々(きき)として設計から実現までの苦労を語りだすジーニャ。

 申し訳ないが、話半分に聞き流す事にした。


 そうして聞き流している内に建物の入口へと到着。


「さっ! ここが私の『機巧の旗』だよ! うず高く積もる知識の園であり、才能の集まりっ!」


 にこにこしながら扉を開いた職員の横を通り、俺にも入って来いと促す。


「お邪魔します、で良いのかね。おぉ~……って感動してる場合じゃないな」


 上を見て吹き抜け部分と各階層の様子を見まわし……見回している途中で受付と「いつまで待たせるつもりなのか」とやりあっている面々を見つけた。


 十中八九、見紛(みまが)うことはない。『百花繚乱』の『花扇』のリーダー3人組だ。

 歩み寄って行き、さっそく声をかける。


「お前ら、一旦落ち着いてくれ。この後に内容を話すが、クラン長同士で今回の件は片が付いた」


 『月浮かぶ湖面』のレイクがこちらを振り向き、驚きながら口を開く。


「ノ、ノーマ……! 無事――」


 だがレイクは言葉を最後まで言えずに、『雨上がりの虹』のアイシャに(さえぎ)られた。


「生きてるよねッ!!? 無事だっ――」


 そしてアイシャもまた遮られ、『風運ぶ音色』のウィンリィに遮られる事になった。


「やぁ、ノーマ。随分(ずいぶん)と大変だったみたいだね? でも、もう大丈夫だよ。ボクたちが来たからね」


 先ほどまでの剣幕はどこへやら。ニコッと笑うウィンリィが一番の恐怖でしかない。そして、俺が伝えた内容も届いていなかった。


「待て待て……ウィンリィ、落ち着いてくれ……クラン長同士で話し合いは済んだ後だ。心配してもらっておいてなんだが、その怒りを一度(おさ)めてくれ……しかし、アマテア皇国に『花扇』のリーダーが3人も来てるとは思わなかった」


 俺の言葉に心外だとでも感じたのか、少ししかめ面になる3人。

 そんな3人を引き連れ、ジーニャとオーディー、そしてクラン員に案内されて2階の一室に通される。


 俺たち『百花繚乱』の対面にジーニャ、オーディーが座る。その際にジーニャとオーディーへクラン員が耳打ちすると、オーディーは頷き重く口を開く。


「どうやらアマテア支部長が来たようです」


 アマテア皇国の協会支部長がもう来たか。

 ディアナ支部長のアルテミスからも連絡がいっているのはオーディーの話から分かっていたんだが、実際に他国の協会支部長と対峙(たいじ)するのは緊張してくるな……


「ははは、協会支部長がこんなにも早い到着と聞いたら、流石に俺もビビるな。なんなら今回の件、魔義体もらうついでに『百花繚乱』の支部でも作らせてもらうとするか? 今後の円滑な対応に役立ちそうだ」


「それは良い案ですね、ノーマ殿」


 そんな冗談を言った俺の後ろから声が掛けられ振り向く……もさもさの髪の毛と無精髭(ぶしょうひげ)()やしたオッサンが、柔和(にゅうわ)な笑みを(たずさ)えて赤い法衣姿で立っていた。


 え、誰ですか、この海藻みたいな髪のおっさん……

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