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転生先は三代目魔王さまです  作者: 神坂将人
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嵐と船のありがちな事

 船の中にある寝室で寝ていると、外からゴオオォォォォォォォ、という音が眠りから覚ます。


 外を見ると豪雨が降って強風が窓を叩きつけるような、音を立てている。


 「ルーツが言っていた通りだ」


 備え付けの時計にチラリと目を通すと、今は真昼だ。晴れていたら、甲板に出て、水平線を照らす太陽を見ながらまだまだ到着が先の大陸に思いをはせていたのだろうが、暗雲が空を覆っている今、それは叶わない。


 再び寝ようとしても窓を打ち立てる雨粒が許してくれないだろう。


 この嵐の中、特にやることがない今、あてもなく船内を歩くが時間をつぶせそうな所があるのだろうか?


 この船全体の広さは、まだ把握しきてれていないので、全体の地図がありそうなエントランスと操舵室を探すことから始める。


 (と、決めたはいいけれど、まだ、甲板と今まで通った廊下や、さっきまで寝ていた寝室しか行っていなかったんだよね)


 取りあえず、廊下にいるのは自分以外にも少し見られるのでエントランスやこの船の見取り図がある場所を教えてもらった。


 エントランスから外に出る扉の横に纏めておいてあった。見た目通りかなりの大きさなのだろうか、四つ折りにされて枚数もそれなりにあったのだろうが、空の箱がある。


 (整備室は全部操舵室と統合されているのか、まぁ、当たり前と言えば当たり前か、エントランスが一番広い。ん、カジノルームもあるのか、子供が入るには少し勇気がいるだろうけど)


 他にも豪華客船にあるような室内と外に自由に行き来できるプールや、ゆったりとした雰囲気のバー、魔王が持っているにしては結構おしゃれな内装となっている。


 (それでも、ラジオやテレビのようなものはないか、そもそも電波が届かないだろうし、……少し気になっていたけれど、この船、外が嵐だというのに、ほとんど揺れないな。窓の音から察するに少しぐらいは揺れてもいいはずだけど、廊下を歩いている時も、壁伝いも必要なかった)


 そう思いながら、特に用はないにも関わらず、地図に書いてあった部屋を一つずつ見て回る。


 遊戯室、操舵室、仮眠室、貨物室、客室廊下、物置、それぞれの部屋が大きく、どこも快適に過ごせそうな、豪華客船みたいだ。


 そう考えた瞬間、ズズンッと今まで感じなかった揺れが船全体に響き渡った。


 突然、今まで感じなかった揺れに自分以外も異変に思ったようで、周りからは微かに戸惑いの声が聞こえる。


 その時、今いるのは2デッキ整備室とは違う機関室、しかし、そこに繋がれているはずのパイプや何かの信管はボロボロに壊れている。いや、壊れているというより、壊されているような、そんな感じがする。


 そのことに気を止めるよりも床下からゴポリ、ゴポリと音がする。


 普段立ち入らないようなそこは、船に備え付けてある懐中電灯で照らして部屋の中の電気をつけなければ全体の風景は分からないだろうけど、音が聞こえる方にライトを当てると、そこには、青白い光。ライトの光は床に広がった。何かの液体、それが何なのかという事を理解する時には床に広がっていた液体は自分の足元まで広がっていた。


 「…う」


 「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


 まるで、殺人鬼に追い詰められたような叫び声を上げながら、のどを枯らす勢いで、叫び、急いでデッキを上がっていく。


 水の音はすぐにしなくなったが、ズズン、ズズンと船は大きく揺れて、今までのように壁伝いに歩かないとバランスを崩して手すりや床に体を打ち付けてしまいそうになる。


 その痛みなどお構いなしというように他の人達も今自分たちが置かれている状況を理解しただろう、我先にと、デッキを駆け上がっていく廊下を駆けて、救命用具などを身に着けている人も自分だけでなく、他人の心配をして駆け上がっていく人々に救命用具を手渡ししながら、デッキを上がっていく。


 現在7デッキ、船はズズンッと重々しいしかし、大きい音を立てながら斜めに傾き始めている。


 色んなところから叫び声や、戸惑い声が響く中、それでも、全員がとる行動はただ上に行くこと、甲板には救命ボートが幾つか備え付けられていたため、それらを使えば漂流したとしても生きられる。


 それを思いながら、デッキを一階上がりながら、ただ身体を動かして生き延びるために、走り続ける。


 ここから一番近いのはエントランスホール、そこから側面の階段に辿り着けるが、少し遠回りすればサンデッキ近くの甲板に出られる扉もある。


 幸い、どこの扉も、揺れで変形しているわけではないようで、どこかで人がまごついていたりする様子はない。


 それでもなお、水の勢いは増すばかりで、船の揺れもさらに激しくなっている。


 もう、扉は目の前で扉は開けっ放しになってあと少しで外に出られる。


 そう思った矢先、目の前に飛び込んできたのは、大きな波が自分たちを飲み込もうとしている光景だった。

次回9月14日月曜日予定

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