増える疑問
「ん、んぁ…」
目を覚ましたら、いつもとは違う天井、いつもの寝室のような大きさはなく、少しこじんまりとした小さなベッド、今の身体だと丁度いい感じのベッドだ。
「おはようございます、魔王様」
部屋の隅に置かれていた机椅子にリネアが飲み物を置いて振り返った時に起きたらしく、顔を覗き込んで来る、そこで、寝る前の記憶が濁流のように浮かんでくる。
「…そうだ、わたし、どれくらい寝ていた?」
「疲労による睡眠ですからね、自然回復が早い感じですが、大体3時間ぐらいですかね、もう、日が落ちかけています」
たった三時間か、疲労で寝たのに結構眠りが浅かったのか、眠気が全くない。
「起きたばかりで申し訳ないのですが、多目的ホールで今、将軍格達が集まっています状況の整理をしておきたいと思いまして…」
「分かった、今行くよ」
「大丈夫ですか?お願いした私が言うのもなんですが、少し休んでからでも…」
心配するリネアの声を脇に置いて少し寝起きによるおぼつかない足取りでピタリとあることに気付いた。
「ねぇ、多目的ホールってどこ?」
リネアは少し呆れたような、世話が焼けるような顔をして先導してくれる。
城内の扉を開くと将軍格がいた。
「おっ魔王様、おはようございます」
「おはよう…あれ?」
皆の顔を合わせてわかった。
「ギリアと、モニカがいないけど…」
いつも、規則正しい生活を送っている二人がいない。
「ギリアは城内の鍵掛かっている扉を調べています、鍵束は地下の一室、確か制御管理室?ってところにあったらしくて、モニカは地下の部屋を全部調べるって」
「なるほど、今はその二人を待っている途中?」
「いえ、我らは先に会議をしたほうがいいと言っていたところです」
そういうとルーツは懐から正五角形の宝石をテーブルの中央に置くと宝石がボウッと光りスクリーンみたいなものが映し出される。スクリーンにはマーリンが映し出されていた。
「おっ、出来たみたいだね、じゃあ、会議始めようか」
「マーリン、その術は!?」
リネアが驚いた様子でスクリーンに覗き込む。
「通信用のクリスタルをちょいっと改造してね、まぁ、その話は脇に置こう会議が先だ」
空席はある物の今回の作戦の成果、相手の手などを全てまとめた。
「疑問が多く残るね[アーティファクト][術][地下室の存在]情報を見るに半年前に何かが起こった感じだね。こっちからは以上だけど他には?」
ダインが手を上げて発言する。
「えっと、抵抗した人間はおよそ、2000人つまり、この都市の十分の一にも満たない人数です、抵抗なしの奴らはでかい建物、大聖堂の地下室だったり、兵舎の中に捕らえています、見張りもいるので逃げ出したりする危険も自決されることもありません」
顎に手を当てていたマーリンが発言する。
「捕らえているなら特に問題はないが、確か、王を捕らえているんだろう?魔王様は確か、魔法創造で魔法を作れるそれで、心を読む魔法を作り王の心を読んでみたらどうだい?」
確かにそうだ、疑問を消化するにはそのような事が一番早いのだが…
「今は無理なんだ、実はそういう魔法もう作っている」
「?作っているのに無理とは?」
「魔法創造にもデメリットはある、簡単な魔法や一時的に身体を強化するとかはすぐに作れるんだけど、今までにない魔法や天変地異を起こすような魔法は作れても時間が掛かるんだ、実際王の心を覗こうと作ったところ二週間かかる、この都市に来るときに10日かかったがあと3日と少しすぐには出来ない」
「それなら、この現この国のトップに聞いてみようじゃないか」
突然後ろの扉が開かれギリアが話に入ってくる、ギリアの隣には白いフードを被った人がいる。
その人はゆっくりとフードを脱ぎ顔を見せる、驚いたような顔をしているが凛と整った顔をしてブロンドヘアーの女性だ、顔を見せた後ゆっくりと頭を下げて言葉を発する。
「はじめまして、我が国の救世主よ、私はラファエル・ヴォルヘンこの国の王の娘であり大司教、聖女をしております」
「救世主?何か勘違いしていない?君が王の娘なら僕たちは君の父親を倒したんだよ、魔王である僕が、この手で」
「存じています、その事を含めて話しさせていただきます」
ラファエルと名乗った聖女は深呼吸をして、意を決したように語る。
「貴方達が捉えた王、それは私の父ではありません、私の父はもう死んでいるんです、奴は王の元右座の守護者そいつが王を殺したんです」
いきなり重い話になった、全員が表情を変えて頭を回転させて情報をまとめていることを察して、話に区切りを付けながら話を続ける。
「半年前、父は誰にでも笑える民に優しい立派は王でした、しかし、一個人として話すのは難しいのです、ご子息である私、右座、左座の守護者、近衛兵以外は個人として王と話すのは右座左座の許可が必要であるのです」
「ある日、預言者と名乗る者が王と話したい事があるといい右座の守護者と交渉をしました、最初は疑い深い顔をしていましたが、その後…父が殺され右座の守護者が新たな王として玉座に座りました、王の死を民に教えずに」
「私は信じられなかった、父は優しく強く、自分の事は全部後回しにして誰もが傷つかない世界を望み…のぞ、んで…こども、に、だって…や、やさ…しく…手を…」
顔に涙を多く浮かべた。
「なのに、あい、つが、あぃつがぁ…っ!…した…ごろしたんだっ!!父さんをっ!!刺して!!笑いっ!!踏みにじりっ!!」
「でも…直視出来なかった…逃げて…真実を教える事が出来ず、捕まって…」
「つまり、私たちは知らず、貴方の父の敵討ちをした、とそう言う事か」
「ええ、しかし、あの魔剣が右座の心を穢したんだと思います。」
魔剣で思い出したあの王確か刀を地面に突き刺していたな。
「魔剣っていうのはこのことかな?」
ダインが二つに折れた剣を置いた。
「…血と魂を吸う魔剣、正式な名称はありませんが、間違いありません」
魔剣、勇者たちが持っていた奴も同じ魔剣だったが正式名称が無い魔剣か、ふむ…
「その話は後にしてくれるか、今は目の前の話だ」
「…そうですね、魔人たちと人間達の関わりの話も知っているのは私くらい、右座のやつも魔人たちの戦いを望んでいました、それが」
…ん?今なんて言った?
「ちょっといい?関わりの話?何のこと?」
「え?ええっと—」
数時間後俺は急いで魔王城に戻った、ギリアが直通の魔法陣を作ってくれたおかげでスムーズに魔王城に帰ってこれた。
軍を動かしたので魔王城には城下町の魔人以外居ない。
全力疾走で最上階でゲートを作る。
ゲートに飛び込み暗闇を走り回る。
「おじいちゃん!おじいちゃん!!」
暗闇の中で自分の声がこだまする。
「おかえり、レン」
目の前に祖父、初代魔王が現れる、しかし、服装が、ピンクでハートが散りばめられたパジャマ姿だ…
「あっ…えっと…教えて!!魔族と人間達の話おじいちゃんの昔の話を…!」
「…そうか、聞いたのか、いいだろう、しかし、随分長くなるぞ他の話もあるからな、その前に…」
「…その前に?」
「パジャマじゃ、かっこつかないから着替えてからでいい?」
「あっはい、どうぞ」
閉まらないような話になりそうだが、しばらく待つことになった
次回1月27日月曜日




