闇を飲み込む光
激しく金属がぶつかり合う音が、地下の一室に響き渡る。
「っ!!」
鋭く薙ぎ払われる剣を避けて魔弾を放つがことごとく避けられる。
「っとと、あぶね、あぶね」
口ではそう言いながらも簡単に受け流されている攻防が続き心では焦りが増していく。
「それにしても、すごいよなぁ、あのヘリ、ブラッディ・ヘッドとイエロー・フェイスだっけ?それも、あのお方とやらに貰った力なのか?」
「ああ、そうだ、あのお方は全知全能、この世の中の救世主の力の一端を引き継いだ人だ、あのお方が言う言葉はすべて真実になる」
「へぇ、でも殺すなんて言っておきながらまだ俺は生きてるぞ、その剣に誓うって言ってるけどあのお方には誓ってないのは俺にとってあのお方は道端に落ちている小石程度なんだろうな、ハハハッ」
その言葉のあとにやめろぉ!!という言葉と同時に剣の衝撃波が飛んでくる。
「っとと、怒ったのか?それは肯定に繋がる怒りだと思うな」
「…あのお方への侮辱はやめろ、やめろ、やめろやめろやめろ、やめろおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
衝撃波は障壁を張れば傷一つつかない、だが相手はジリジリと近づいている。
障壁を解けば直撃して壁まで叩きつけられるこのまま近づかれれば剣で障壁ごと真っ二つになるな、受け方によるが…
「もう十分だろ、殺すと言ったり人形にするとか言ったり、自分の言葉に責任すら持てないなんて、王は民を思いやり気を使い、自由と平和を約束するのが仕事だと俺はそう思うよ。だが、お前が受けた命令は大事な仕事なんだろうが、逃げる時間も掛かり準備をこそこそ行って余計に時間が掛かる仕事なんて出来やしない、受けた仕事を全うできない部下って思われたら…すぐ、捨てられるぞ、ママ助けて~なんて言ってもお前のような役立たずを助けるやつなんて、お前が言うあのお方とやらでもそんなことしないぞ」
「っ…!!」
「どうした?防戦になっている相手に諭されてなにも言えないのか?はぁ、呆れたな、こんな雑魚ならあいつらも外の援軍に行かせるんだった」
もちろん、ほぼ嘘だ、俺一人で行ったところで無駄に分かれ道で迷うし、後ろから伏兵など仕掛けられれば少なくとも傷が出来る。
それなら、今取るべき行動は相手のバックには誰がついているか、が重要になってくる、あのお方が黒幕ではなくただの電話番のようなものだったら、聞きだしたところで全体には微々たる損害しかでない、根っこから引き抜かないと無尽蔵に湧き上がる。
「雑魚?雑魚だと…クソ!クソックソックソッ!!どいつもこいつも私を馬鹿にしやがって!!命令なんてもう知るか!死刑だ死刑死刑死刑、お前は骨を生きたまま一本一本砕いてやる!!その前にこの剣に全て吸い取られないようにするんだな!!それが、私たち[反逆の福音]を侮辱した罪による罪状だ!!」
「そうか、情報提供ありがとう」
怒り過ぎて、冷静さを欠いたな、あっさりとバックを吐いた。
その事を自分で言ったことすら気づかずに衝撃波を止め、一直線に、大きく剣を振りかぶってツッコんで来る。
「くだらないな…お前がやっていたのは、口だけの道化に踊らされた、人の形をした悪魔だ」
腰に着けておいた短剣に魔力を多くのせ、カオス・ジェノサイダーの構えに入る。
「罪の重みを知れ…!」
「破壊を産む力で断ち切れ…!」
「「カオス…」」
「リベリオンッ!!!!!」
「ジェノサイダー!!!!!」
暗闇で覆われた地の底で、二つの強大な力が闇を飲み込み光が天に一瞬届いた。
そして、後ろから声が聞こえる。
「魔王様!!」
モニカの他にリネア、ルーツ、ダイン、ギリア、ホビル、ロザリー、ナナリー将軍格の他にも軍隊の何名かが安否を確認する。
「…あいつは、王は、死んだのか…?」
王の方向を見ると、片腕を無くしもう片方の腕で身体を支え肩で息をしている。
カオス・ジェノサイダーを放つ直前、敢えて王本体ではなく剣に攻撃を集中させるために技にグラビティマネージメントで衝撃を最低限に抑えた。
「それでも、片腕どころか、剣は真っ二つ、運が悪かったのかな」
ともあれ、情報をとれるのは変わりないそこで俺はもう一つ重大な事に気が付いた。
「そうだ!ヘリは、ブラッディ・ヘッドとイエロー・フェイスはどうなった!?」
急いで身体を起こそうとしたが、グラリと視界が歪み、体の力が抜け倒れ込みそうになるのを、リネアが受け止める。
「大丈夫です、あれらは、魔王様の技で粉々になりましたよ、自覚は無いでしょうけど、空を飲み込んだ光が貧民区全体を飲み込んで…」
「…そう、よか…た…すぅ…」
緊張の糸が切れたように安心した事によって、疲れが一気に押し寄せ、睡魔が襲い、抗う間もなく眠りについてしまう。
次回1月20日月曜日予定




