番外編 魔神軍の4柱VSヨアケガラス
魔王とダインが空中で戦っている最中、私たちはヨアケガラスと対峙していた。
ヨアケガラスの周りには狼型の魔獣が10体大型の鳥型の魔獣が5体植物型の魔獣が5体合計約20体伏兵などは感じない。
「リネア、あまり前に出過ぎるなよ。あいつらは一匹残らずヨアケガラスに力を引き出されている。不用意に近づいたら一気に体力が削れるぞ」
マーリンが警告する。
「分かっている」
ヨアケガラスが腕を上げ振り下ろすと狼がこちらに向かって突進してくる。
「!!っ任せろ」
ホビルが前に出てカウンターを繰り出しながら盾役を引き受けてくれてる。
「リネア、俺の魔術に合わせろ!」
マーリンが火球を次々と打ち出す。
それと同時に私は狼たちに向かって、単身で切り込みに行った。
火球を避けながら重い一撃を狼に当てる。
しかし、力を引き出されている為か、大した痛手にはならないようだ。
「リネア!後ろだ!!」
マーリンの声に反応して後ろを振り返ると植物が根を巨大化させて押しつぶそうとしていた。
「ん~~~~どっか~~~~ん!!」
ギリギリのところでモニカが攻撃を弾いてくれた。
「ありがとう、助かったわ」
「まっかさっれよー♪」
流石は最年少で魔王軍幹部に選ばれた天才少女だ。
「離れて頂戴、モニカ」
十分に距離が取れたのを見計らい、オリジナルの魔法を放つ。
「ツクヨミの神珠!!」
光り輝く四つの魔力の球を辺りに設置する。
設置した玉からは高電圧のレーザーが開いて目掛けて飛んでいく。
電撃は実際無属性の魔法だが雷によって火が起こせることによって魔法分類では火に近いと言われている。
私の持っている最上位魔法の一つだ。
「テンペスト!!」
マーリンが風の最上位魔法を放つ。
「っつ!?」
寸でのところで避け魔球四つの内の一つがテンペストの中に混ざり相手に向かっていく、受け止めようとする魔獣もいたが、いくら力を引き出されていようと最上位魔法を二つ組み合わせた魔法の前では耐えられるものはほとんどいない。
鳥型の魔獣は翼の片方を無くし植物型の魔獣は風の刃に根っこごと切り刻まれ狼型は嵐に飲まれ魔球から打ち出されるレーザーによってハチの巣になる。
「残りは7体…意外と残ったね」
「出来ればヨアケガラス含めて全部再起不能にしたかったんだけど…」
そろそろ我慢が出来なくなる。
マーリンがその事に気付くと深く溜息をつく。
「いいよ、ネーア、少しは発散しないと苦労もたまってるだろう?」
ネーア…懐かしい呼び名だなぁ、あの娘以外にこう呼んでくれるのはマーリンだけなんだよね。
嫌な同僚であり、あの娘をたぶらかした奴だけど、こういうところは本当に空気を読んでくれる。
「やってもいいんだよね」
「存分にやれ、お前らもいいか?」
他の二人も察したのかモニカはOKサインでホビルはシャドウボクシングで攻めろのサインをしている。
さて、了承ももらったことだし、始めるか。それじゃあ
「覚悟を決めろぉ!!」
相手に向かって一気に距離を詰める。
「ほらほらほらぁ!!」
武器や魔法を使わずにこぶしや蹴りだけで攻める。
魔獣は数を失いながらも攻撃を仕掛けてくる。
しかし、傷一つつけられていない。
「そぉら、逝ねよ!!」
「骨抜きにしてあ・げ・る❤」
後ろでマーリン達は苦笑いしている。
「相変わらず、激しいね」
「仲間でもあれだけは慣れねぇわ」
「あのじょーたいになるにはどうすればいいんだっけ?」
「確か、いくつかあるけど、痛手を負っていて気持ちが高ぶっていて、更に戦闘時間をそれなりにかけなければいけなかったな」
クールビューティーって言うか、普段使わない言葉を延々と言い続ける。
普段で使ったら「アレ」な感じに聞こえるから、普段は敬語などで隠しているんだけど、今は戦場でしかも、さっき言った条件が揃ったら素が出てしまう。
マーリン達は邪魔にならない程度に援護するが、リネアは気づかずに一人で無双している。
周りにいた。魔獣たちは次第に倒れていき、最後はヨアケガラスのみになっていた。
「さて、最後はあなたね、少しも優しくするつもりはないけど、激しくは出来るから、もし、お好みだったら、言ってね♪」
ヨアケガラスは辺りを見渡して溜息を吐く。
「名前…レイ…」
ぽつぽつと言葉を紡いでる。
「レイちゃん?可愛い名前ねぇ?ジュンとキちゃうわ…ねぇ!!」
突進したリネアを見て何かに気付いたマーリンは声を荒げる。
「行くな!!リネア!!」
静止の声も聞かずにリネアは拳を突き出す。
その直後突き出した拳から血が大量に噴き出た。
「…っ!…?」
一瞬の出来事だった。
拳がレイに当たったと思ったら、直撃したレイはビクともせず、眼に映った血液は自分の物。
「…衝撃…移して…混ぜた」
「衝撃を移して混ぜただって?それはまるで、師匠が使ってた魔術と…」
そうだ、マーリンの魔術の師が得意とする魔術だ。
魔術とは魔法と違い身体に刻印を施し魔力を必要最低限に抑え魔法のようなリキャスト時間と言うデメリットが少なく対戦用にマーリンの師が編み出した物だ。
マーリンの師は魔術の多くをマーリンに教えた。
魔術を駆使したマーリンを先代の魔王は危険視したため、いくつかの条件を飲み魔王軍に入ることを頼み込む事にしたという。
しかし、今日初めて、師が使っていた魔術を見て、驚愕した。
「う、くくく…」
手を押さえながらもリネアは笑う。
その視線の先にはカインが放った、グラビティマネージメントつまり、重力を操る魔法だ。
ダインはそれを避けたが、魔法の効力はまだ効いている。
リネアは一時的にその魔法の核をレイに埋め込んだ。
拳を突き出したのは殴る為ではなく重力で落ちてきた、クリスタルの破片をレイに当てるためだ。
その事に気付いた四人はそれぞれのやることが理解するより身体が動いた。
モニカはリネアの傍に瞬時に移動して、抱え込むようにして後ろに下がらせ、ホビルはそれと同時に、レイの後ろに回り込み、魔術で怪我を受けながらも、ホールドする。
マーリンが最後にクリスタルの破片がレイに当たるように磁力を与えた。
レイにS極クリスタルにN極を入れ磁力によってクリスタルは方向を変えレイと抑え込んでいるホビルに向かってくる。
「何故、君が魔術を使えるか分からないけどこれは言っておくよ」
チェックメイトだ。
前回、複線を張っておいたのを回収をしていなかったので、その回収です。今回も若干文字が少なめなので来週は二本立てにしようかと思います。
次回10月16日水曜日予定




