魔王、東へ(戦闘編)
東の魔人軍との戦いまで残り五分切った。
「そういえば、相手の情報は少ない方だけど勝算はあるの?」
今までの情報では流石に相手の軍勢と、相手の主力であるダインとヨアケガラスがあることぐらいだ。
マーリンは魔王城に帰る時に出くわして少しは相手の情報が分かるだろうが、他の奴らはそうじゃない。
「それぞれの戦いのセンスがあるんですよ。みんなそれを駆使すれば何とかなりますよ。リネアも」
さっきからリネアが自分の事を名前で呼んでいるけど…なんか、嫌な予感がする。
「後、二十秒です」
マーリンが懐中時計を見ながらカウントダウンしている。
「9…8…7…6…5…4…3…2…1…0!!」
「始まったね。何処に罠や待ち伏せがあってもおかしくない。手分けしていこうホビルは私と一緒に行動して、他のみんなは———あれ?」
振り返るとモニカとリネアの姿がいなかった。
「い、いない!?もしかして、相手に連れ去られた!?」
「いや、開始直後に独断でスピードアクセルとスピードエンチャンター使って相手に突撃していきましたよ」
話ぐらい聞いていけ!あの、猪突猛進ガールズ!!
仕方ない、それぞれ3:3で分けるつもりだったけど、予定変更だ。
「それぞれ、分かれて行動して、私の護衛はいらないから」
「魔王様の命令なら」
「承りました」
さて、ショータイムだ。
それぞれ、バラバラに動き始める。
動き始めたものの敵を見つけなければどうもできないな。
索敵して、それから、パッシブスキルは常時発動だから…
「ひゃっほう!!魔王の首もーらいっと!」
「気づいてないと思っているのが愚かしいね」
待ち伏せを狙っていただろう魔人は脳天を狙って鉈を振り下ろすが気づいていた俺は横跳びに回避する。
「あ、あれ?」
意外にも遅かった。
「…っ!」
横跳びした後、すぐに態勢を変えて後ろ回し蹴りをお見舞いする。
「がぁっ!」
相手は20メートルくらい飛んで気を失った。
「えっ…?」
自分でも分からなかった。
あれだけ飛んだのか?パッシブで全部の能力値に補正はかかっているけど、あんなに変わる物なのか?確かに手加減はしたのに…
とりあえず、死んではいないようだけど、とりあえず次の敵を探そう。
それからは、無双ゲーのようなものだった。
真っ向勝負なら、そこら辺の竹を切り振り回すだけで相手は吹き飛び、魔法を使い、相手を押さえつけ無力化する。
「あまりにもぬるいなぁ」
大体500人くらい倒しただろう、と思った時後ろから笑い声が聞こえた。
「敵か?いや、この声は…」
確かめる前に声の主が目の前に来た。
「あっははははははは!!まだ終わってないよね?まだまだ潰して…あっ魔王様じゃない」
「…」
「あっ」
目の前に現れたのはモニカだった。
しかし、その口調は明らかに違った。
「ま、まおーさまーこのひとたちはまおーさまがひとりでー?」
「…」
無言で睨む
「…えっと」
睨み続ける。
「ごめんなさい、その、話したいことはまた日を改めて…」
まぁ、今は戦いの最中だ。今更人一人の変化に気を使っているわけにはいかない。
「とりあえず、無事でよかった。ところでリネアは知らない?一緒に飛び出して行ったけど」
「ふたてにわかれてせんめつにむかったからしらないなー、でも、いっしょにさがせばみつかるよ」
口調を戻したけど、これ、印象が変わったなー癒し系の天真爛漫な子供みたいな可愛くも怪しい雰囲気がガラリと変わると流石にリアクションに困る。
とりあえず、一緒に行動するみたいだし、とりあえず、後は、みんなと合流するか。
それから、しばらく、林の中を飛び回ったりしてみたが、既に、倒したであろう敵が増えてきた。
その先には他の三人が共に肩で息をしながら立っていた。
「どうしたの!?みんな」
「おにーちゃんたちだいじょーぶ?」
急いで回復魔法を唱える。
「た、助かりましたよ。相手さん中々強くてね」
三人の目の前には翼を広げ付け根が白くそこからだんだん黒くなっている夜明け色の翼…ヨアケガラスが立っていた。
その周りには二十匹の魔獣。
「…やけに、硬いと思ったらご主人が力を分けていたからなのかぁ」
「全員でなら、多分やれるよ」
そうだ、少し数が多いが、勝てない相手ではない。連携さえすれば必ず。
「それじゃあ、もう、一人主戦力がいたら、どうかな?」
その声と同時に強い風が吹いた。
「うちのヨアケガラスは自身が強くないからね。こっちは防衛に全力に回るよ」
その声はダイン。
「っはは!なんだい?」
相手の魔力が驚くほど膨れ上がっている。
「なるほど、ダイン自身もヨアケガラスに強化させてもらっているのか」
「さっきも言ったはずだ。アンタらが俺たちより上に立つのが相応しいやつらか見極めさせてもらうとね!」
さてと、面倒にも程がある。
魔力を全力で込めれば倒せないわけではないが、ほぼ確実に巻き添えでここら一帯が更地になる可能性がある。
そうなると、この場にいる人たちもただでは済まないだろう。
「ダインは私が相手する。いいよね?みんな」
「魔王様自らですか…分かりました。ご武運を」
一息でダインの目の前に立つ。
「おぉ…!?」
さて、あの四人は魔獣を倒してくれると信じているから信頼を持っているから。
「さぁ、ショータイムだ」
少し少なめですが、タイトル変えのために仕方なく、です。
お詫びには今週もう一本上げます。
次回は10月5日土曜日予定です。




