魔王、東へ(準備編)
東方面の魔人軍の領地に行き、他の者は各地の管理している者に警戒を強める事と部隊の応援を送ることに決まった後、それぞれの将軍格は準備を進めたり、こっちで考えた部隊を収集したりしている。
準備をしていると、リネアが怪訝な顔している。
「魔王様、やはり、魔人軍のやつらに会いに行くなら、もう少し、人数を増やした方が…」
確かに、敵対こそしてはいないが牙をいつ剥いてもおかしくない奴らだ。
「詳しくは話していないけど、なにも、戦いに行くわけじゃないさ、出来れば、こっちの戦力になってくれればそれでいい。魔神軍に入ってくれるなら、それが一番いいけど、あっちは独立して軍を作っている奴らだ」
準備を重装備にしたり、強力な武具を持っていったらそれでこそ戦いに行くものと思われる。
あくまで護身用の準備でいいだろう。
「何時でも行けるように準備はしておいて、時間がかかりそうならその者の手伝いをしてあげて」
リネアが頷き小走りで走り去っていった。
もし、問答無用で襲ってくるなら殺しまではしなくとも、話を聞かせるようにするだけだ。
そして、今からやることで戦いに発展してしまったらの対策をする。
「魔法創造」
前に取得した経験値取得のパッシブ魔法以外にも能力値を上げるパッシブ魔法も取っておくか、他には魔法耐性もパッシブに入るか、それなら…
「リキャスト短縮(極)、魔法理解(全)、能力解析っ!!」
情報に魔法のリキャストを少なくして相手の魔法を理解して氷なら炎、土なら風、闇なら光の後出しじゃんけんの如く、もし、ごり押しで行けそうなら、能力を解析するのも勝利に導ける。
「もし、他にできそうな魔法があったら片っ端から取っていくのも…そうだ!」
それなら、もっと手っ取り早い方法があった。
「なるほど、それで、僕の所へ来たわけですか」
少し疲れた顔でギリアが対応してくれた。
「ごめんね。いろいろ忙しそうなのを押し付けた後なのに」
とりあえず、万が一のために来ていく服に物理や魔法耐性の他、多くの付属効果を取り付けられないかと思ってきたんだけど…
「効果を多くつける事は可能でも流石に限界があります。武器にもつけるとなると効果を弱くして、詰める効果を増やすか、逆に効果を強くして効果の数を減らすか」
「命あっての作戦だ。効果を強くする方で」
そういえば、まだ、自分に合った武器と言うのも探してなかったな。
武器を試してみたいといってみたところ隣の簡易訓練場で試すことができた。
ダガー二刀流、斧、槍、弓などを試してみたが激しい動きや反動に身体が持っていかれるために短剣などの軽量武器にしか、手に馴染めなかった。
軽量武器でも多くは飛ばす小型ナイフに針、手裏剣か…戦いに行くわけでもないけど、心もとないよなぁ。
考えていると、扉が開いてマーリンが入ってきた。
「魔王様ー少しご相談とご提案がー」
「何?」
「ここではなんですから少し私の部屋に来てくださいます?」
マーリンについて行ってマーリンの部屋に着いた。
「で、どんな話?」
「いくつかあるんですが、まず、魔人族はまだ、魔王様の存在に気づいていないのに、自ら前に立つんですか?」
なるほど、確かにまとめている人が前線に立つのは疑問に持つだろう。
しかしその質問は把握済みだ。
「会議の時も言ったけど戦いではないんだ。それに、トップがいない状態で相手に信用されると内側から叩かれたり裏切られるよりは、直接話した方がいい」
「でも、魔王様は幼い少女の姿それで、魔王と信じられるでしょうか?」
確かにそうだ。魔王城のみんなは自我が芽生える前に姿を見たから魔王だと分かったようだが、その事を知らない人から見ればバカバカしいと思うだろう。
だからといってその力を見せたら戦いの火種になりかねない。
「迷っているようなので、少し提案があるのです。それは———」
マーリンがこっそり耳打ちする。
「わっ、ひゃあ!!」
耳に電気が走ったような感じがして甲高い声を上げてしまった。
「…まさか」
マーリンが耳を甘噛みする。
「ひいん!?」
また思わず声が漏れる。
それを聞いたマーリンは口元をゆがめて
「そっかぁ~そこが弱いんだ~」
嫌な予感がして急いで距離を取るが、後ろには壁しかない。
「ま、待って…冷静に…ね?ね?」
「いつも、そんな感じだと部下の息が詰まってしまいますよ。すこし、遊びをいれて程々な息抜きを入れないと」
ジリジリとにじり寄ってくる。
「ひっ!」
しばらく、マーリンの部屋の中で悲鳴と叫び声が響いた。
それから解放されるのに2時間もかかった。
「じゃあ、その場合は先ほどに言った通りに」
「…いは…へへへ、ひは、ふふふ…」
「…少し、やり過ぎたかな」
それから、更に二時間後たった後、各地の偵察、通達部隊が準備完了の知らせが入る。
「準備は出来ても、身体のコンディションが不十分なら身体を休めて明日の出発になっても構わないから、まずは、英気を養う事にして」
リネアが指示を出す。
「伊達に総括代理をしてただけはあるね」
マーリンが笑顔で軽く拍手をする。
「…魔王様を辱めたの、あなたでしょ」
「いやぁ、あんなに簡単にいくのは久しぶりだよ」
軽く言うマーリンに舌打ちをして、横を通り過ぎようとする。
その時、背を向けたままにして
「私たちは明日の明朝に出るわ。あなたも明日に備えなさい。」
その表情は読めないが、冷たく言い放った姿は冷静さを保っていた。
「硬いなぁ、同期の同僚なのに…」
その表情は少し懐かしく思うような優しい笑顔だった。
翌日、まだ、日が昇り始める少し前に起きた。
すぐに洗面所で顔を洗い、必要最低限の道具が入ったバッグを持ち待合室で参加メンバーを待つ。
すでにリネアが待合室にはいた。
「おはよう、リネア」
「おはようございます。魔王様」
それから、程なくしてマーリンとホビルが入り扉の前でモニカは目をこすりながら入ってくる。まだ顔を洗っていないのだろう。
「全員揃ったね」
「それぞれ、忘れ物ないわね、モニカは顔を洗ってきて、それ以外のみんなは東門前で準備の最終チェックしなさい。よろしいですね、魔王様」
的確な指示を指示して確認を取る。
「うん、それで構わないよ」
そして、全員揃ったところで作戦の確認を自ら言う。
「今回の目標は東方面の魔人軍のスカウト、もしくは、同盟を結ぶ事よ。もし、敵対行動にでた場合は可能な限り生かしたままにして、それで、少しは話しを聞いてくれる事になるかもしれない。でも、くれぐれも自分から突っかからないで、あくまで目標達成を試みるのよ!!」
皆、力強く頷き、門番が扉を開ける。
「さぁ、出発だ」
少し文章が少なめなので前、中、後編に分けたいと思います。それと、新しいTSFネタが思いついたので、そちらも近々上げていこうかと思います。一週間に両方上げますが、曜日は後書きに記載します。
新しい小説はまだ未定ですが、来週には上げます。
この小説の次の話は来週の火曜日予定です。




