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第38話 出かけて出会ってこんにちわ!

 朝食を食べて、さぁお城から出発だ!


 今日も今日とてお出かけ中。ああ、引き篭もりの私がこんなに連日出掛けるだなんて、前代未聞だよねぇ。

空は快晴。綺麗な少し紫掛かった青が、頭上の上をどこまでも続く。


 今日は面倒臭いのでもう手ぶらで来てしまった。どうせこの国のお金とか持ってないし、今日みたいないい天気の日は、重い鞄を持つのも億劫だ。でもちゃんとポケットに電気スタンガンは入れてるぞ☆


 これくらいの装備が無いと、何が起こるか分からない。だってこの国に来てから出会ったひとには、大抵酷い目に遭わされてる。

 例えば抱き締められて失神しそうになったりとか(ジャックさん)、首筋に手刀落とされてマジに失神したりとか(白兎のヤロォ)、襲われかけたとか(三月発情兎)、目の前で発砲とか(帽子屋さん及び白兎)、SMごっこを強制されたとか(SM兄弟)、ファーストキスを人為的に奪われたとか(自称キング)…、



…改めて並べてみると、碌でもねえなこの国……!!

 私、この国で変態になっちゃったりしないだろうか…。ホラ、朱に交わればあかくなる?ってヤツ。この国の人に感化されてしまわないか心配です。マジで。


 まだまだ思い出せてないだけで、他にも住人の碌でもねえ行為はあった筈。ほんと半端じゃねいぜ不思議の国!

そしてなんだかんだと心の底で悪態を吐きつつも、結局この国の住民に流される私。あああ、引き篭もりっていうのは気が弱いから流されやすいんだよぉ…。


 なんだか暗い気分になったわ…、く、変態もとい不思議の国のパワーに流されてたまるか!私は一般人!一般人!白いまんまの利出さんよ!

 うん、大丈夫。こうやって自分に活を入れればイケる。腹減ったときのラーメンくらいにいける!変態のスキンシップなんぞに負けるものか!今度変態に会ったら張り飛ばしてやろう、うん。決めた。今決めた!



 まぁそんな決意はどうでもいいとして、と。

 今日はどこへ行こうかなぁ、と思う。正直に言えば私は出かけたくない。だって引き篭もりっ子ですから。でも、あんな風にキシャーッとキレてしまったのだからどうしてもお城には居辛いんだよなぁ…。

 なんだかブチ切れて色々すっきりしたような気もするけれど、そもそもの根本的な問題は解決してないわけだしね。いつも手刀落とされたりはぐらかされたりしてばっかだ……、アレ?私相当ひどい扱い受けてる?今気づいたけど。

 アリスアリス~、ともてはやしてVIP待遇に見せかけて実はひどいのか…!?そういえばファーストキッスを奪われたりSMを迫られたりナイフで袖を破かれたり…、駄目じゃん!現代日本じゃどれも犯罪スレスレじゃん!

 …いや、だめだめ、疑心暗鬼は良くないよね…、ここはそーいう国なんんだ。その対応がデフォルトでむしろこれはサービスでVIP待遇と。―――――普通でそーいう対応ってのも嫌だよ!!うわぁ、考えれば考えるほど嫌になってくるぞこの国!


 でも本当にいつまで私はこの国にいるのだか。先の予定が見えないって言うのはのんびりできるけど、全然落ち着けないなぁ。


 よっし、まぁいいや!とにかく目先のことを決めてしまおう!今日はどこへいくか、うん。クヨクヨ悩んでも、どうせ解決しないものなら悩むのも止め!下手の考え休むに似たり、とも言うし。

 キョロキョロと見回して、私は道端に枝がおちているのを見つけた。その小さな小枝を持って、道の真ん中に立つ。そして、置く。


「どっちに行こうかなルーレット~。」


さあて、やる気のない口調で始まりました今回のルーレット!ルーレットが決めるのは私の行く末!今日もまた変態と出会い貞操の危機だの命の危機だのに襲われるのか!?ルーレット開始!

 とナレーション風にお送りしましたが、なんのこともない。ただ枝切れを道に立てて倒れたほうに行くってだけのお遊びです。我ながらこんなに適当でいいのか、とツッコミを入れたいけど、もういいさ。きっと何処に行っても変態には出逢うんだぜ!きゃ、運命的!!嫌な運命だ。



 ふぅっ、と吹いた風に煽られて、小枝が頼りなくポトリと倒れる。おお、あっちか!

……あれ、あっち道無いよ。行こうにも道が続いてないよ。これは枝の言うことを信用してわざわざ道なき道を通れと?そーいうことすか?マジかよ!

 なんだろ、小枝に馬鹿にされてる気がしてきた。この国では小枝すら変態だったりするのか?うおっ!気持ち悪っ!・・・ってまさかそんなわきゃあ無い。はいはい被害妄想。

 

「あー!アリス様じゃないっすか!」


もや~、と悩んでいた私にいきなり声がかかった。

 びっくりして振り返ると、……おお!あなたはヘタレ…ゲフンゲフン、煙突掃除が職業の幸薄トカゲ、ビルさんじゃぁないか!わお、太陽のもとで見ると、より一層髪の毛がツヤツヤと深い緑の色に輝いている。マジ綺麗!お前の髪のキューティクルやばいな!


「いやー、お久しぶりっすねアリス様!今日はお出かけっすか?」


「…え、あ、いや。う、うん。そうですハイ。」


反応に若干間が空いたのは仕方が無い。だって『コイツの髪には世界が嫉妬するZE!うーん世界髪の毛ツヤツヤ選手権に出られそう!』とかアホなこと考えてたから。ごめんよビルさん。

 っていうか別に久しぶりでもないだろ。この前の夜会ったばっかりじゃん。二日前じゃん。


「ビールーーーーーーーーーーーーーッ!待って!」


 

 そう言おうとした瞬間、ビルの後ろから大声が聞こえてきた。あどけない、可愛らしい子供の声。よく見るとこっちにものっそい勢いで走ってくる子がいる。

 お、恐ろしい、アレ自動車並みのスピード出てるんじゃ…。私がそう思っていると、お、ビルさんも何だかびっくりした顔をしている。

 いや、びっくりっていうよりも、怯えてるのかなぁ。あ、顔が真っ青になってきた!?


「あ、あばばばばばば!!アリス様、助けてほしいっすっ!!」

「うえっ!?」


 叫ぶなりビルさんが私の背後にくるりと回り、私を盾にした。オオイ!情けないぞ青年!お前のがでかいのに小さい私に縋り付くなよ!


 ―――――…とは思ったけど、いえない。深い緑の瞳に涙を溜めてガタガタ震えてる情けない姿を見たらそんな冷たいこと言えないよ…。うん、可哀想だな、助けてあげよう。出来る限りは。


 ドドドドドド、とすごい勢いで土埃を巻き上げて走ってきたその子供は、私、というかビルさんの前でぱたりと足を止めた。息が弾んでいて、頬もうっすらと赤く染まり上気している。


「ビル!待ってって言ったのに!何でそのお姉さんの後ろに隠れているのよぅ!」


 ぷく、と頬を膨らませてその子は言う。その子供は、可愛らしい少女だった。


 とても白い肌に、やっぱり白い髪。それだけ聞くとまるで白兎のようだけれど、彼女の眼は赤ではなく灰色だった。限りなく白に近い色に、わずかにグレーの色合いが混ざっている。

 可愛い子だなぁ。真ん丸で大きな瞳、表情豊かで整った顔をしている――――ってまた美形か!そろそろ嫌になってきたぞ!なんか私だけ浮いてる!

 洋服は女の子らしくて可愛い。たっぷりと膨らんだカボチャ袖に、ふんわりと広がるドレス。どれも白っぽい色を基調としているからなのか、彼女自身がまるで雪のように儚く見える。


 しかしこの儚げな少女、実はそうでもなかった。うん、その後の行動を見るに全然儚くない子だった。


「てぇいッ!ビル覚悟ぉ!」


 可愛い声で叫ぶなり、私にしがみついてガタガタ震えてるビルさんに蹴りを入れたのだ。ちなみにこの女の子、非常に高くてほっそりとした白いハイヒールを履いてらっしゃる。

 んなもんで蹴られたら痛いに決まってる。だって面積が狭いほど圧力はかかるし。知ってます?すごい高いハイヒールを履いた人に、足の甲に垂直でしかもすごいスピードで足を下ろされたら、足の甲に穴が開くこともあるらしいですよ。おっそろし!

 ちなみに蹴られたビルさんの反応は言うまでも無く、


「ぴっぎゃああああああああああああああああ!!」


 相当痛いご様子。ああ、悶絶してるよ~…。

 ビルさんはすねをやられたみたいで、足を抱えて悲鳴を上げながらゴロゴロと地面を転がりまくっている。そうしながらも一応私にぶつからないように避けてくれてるみたいなので、案外器用なのかもしれないなぁ、この人。


「もう!なっさけないよぉ!男の子なのにあんな痛みで泣いちゃうの!?」


 ぷんぷん、と腰に手を当てて怒ってる様子は大変可愛らしい。だが言ってることは鬼畜だ。あんな鋭いもんで蹴られて痛くなかったらそりゃもう逆に危ないよ!

 いきなり現れた真っ白な鬼畜っ娘に目を白黒とさせていると、その子がくるんと振り向いた。


「あれぇ、お姉さん見かけない顔だけど、誰?」


 ぱちぱち、と円らな灰色の瞳を瞬かせてたずねてきた。私としては、ぜひとも「お前のほうが何者だよ」と初っ端から恐ろしい光景を見せたこの少女に問い返したかった。が、私はビルさんの二の舞を踏むほどの馬鹿じゃない。無難に答えておくことにした。


「私は有素利出といいます。ええっと、それであなたは、」

「ええっ!?じゃぁあなたが噂の三日目で切れたブチ切れアリスちゃん!?」


うおっ、なんだその不名誉なあだ名!

 大分久しぶりの投稿です。実生活が忙しいので、まだまだ更新は出来ないと思います。すみません・・・。

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