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生産職って戦うの?まあね。  作者: ぺんぎん村長
5/6

見た目は子供、頭脳は外道!その名は生産職ココ!

犯人はヤス。

冒険者ギルド又はギルドをテーマにした何某に良くありがちなのだが、プレイヤーはほぼ決まって"始まりの町"とやらから冒険し始める。始まらない場合もあるが、一度は始まりの町を最初の拠点にしたことはないだろうか。そこから敵を倒していき開拓紛いの冒険をこなしていって、王都などに辿り着いていったりしていくわけだ。もちろん道中の、しかも王都に近づく度に強くなる敵や番人を倒していき、しけた雑草を薬草としてポーションを、屑鉄なんかで装備をつくるのだが。ゲームでは何ら不思議に思う事ではないのだが、普通に考えてみるとだ、厄介払いされていないかとなるわけだ。始まりの町の道中にボスもしくは番人を用意して陸の孤島にするなんて、よほど嫌われていないと起きないだろう。または、実験都市の様なプレイヤーの為に用意された町であるとか。ゲームだから不思議には思わないだろうが、普通に考えるとどこかおかしく感じてしまうのだ。

何が言いたいかと。つまり、首都から始まるゲーム・ファンタジアはそんな"普通に考えて"起こる事はそこそこ普通に起こるのだ。普通に考えて、首都があるなら国があり、国があるなら他国があるだろう。普通に考えて、首都の周りは弱い敵くらいしか残っていないし、プレイヤー以外にもNPCが同じ事を出来て当たり前だろう。普通に考えて、生活しているNPCの生活環境を、ゲームだからと荒らしているプレイヤーがいて、夜になっても騒いでいたら嫌われてしまうだろう。普通に考えて、手の早い者に嫌われてしまったら妖怪首オイテケに出会うかもしれない、大義名分を見せつけて。普通に考えて、首都を荒らしている奴がいたら、まともな国王は激おこぷんぷん丸にはなるだろう。


「ココさんが受ける事ができる依頼は幾つかありますが、経歴を見るとオススメはこれですね。」



特殊依頼:ハートキャッチ勇者?

なんなのだ、あのクソ来訪者どもは!!

ピーチクパーチク騒いで都を荒らし回りやがってからに!

貴様、来訪者だろ?ちょっとどうにかしてこい

出来なければ、最終手段の勇者を使うぞ!!



「…えー。どうしろっていうのさ。」

「ココさんには、来訪者の皆さんの言動を改めて欲しいんです。手段は問いません。」

「いや、なんで"ボク"なんかに…。」

「簡単なことですね。ギルドでは職持ちを好待遇しています。要はギルドに登録する時にココさんの職業と経歴を記録しているんです。」

「…つまり?」

「つまり、来訪者大量復活事件の犯人はココさん、あなたです。…なんて言ってみたり。」

「受け付けさん、口封じってありだと思う?」

「なしだと思います、心配なさらずとも経歴を吹聴することはできませんので、口封じは必要ありません。」


ふむ、と腕を組んでココは頭を傾げた。他のプレイヤーがどうなっても正直なところ、テレビの向こう側のような感覚である。実際にはギルドの入り口に罠を仕掛けて、収穫されるまで待っている位には他プレイヤーを気にかけているが。このような依頼が出されたという事は、よほどやってはいけない事をやったプレイヤーがいるとみた。ゲームだからと冒険しすぎたのだろうか。β版初日から粛清の嵐とは、ヤル気に満ち溢れていると言えよう。ココは積極的で仕事熱心な依頼主をすごいな、と思いつつも他プレイヤーを助けようとは思わなかった。むしろ、勝手に素材集めてくれるなんて助かります、なんて感想すらあった。


「じゃあ、ギルドで緊急討伐クエストを出しちゃうかな。」

「緊急討伐クエストですか?ですが、何を?」

「んー、怪しい人影どもを見た、アレは俺たち都の住人とは別物だ。このままだと最悪な事に都が荒れ果ててしまうから討伐してくれーって曖昧な表現の内容にして。で、ギルドに登録してる来訪者の皆に緊急討伐クエストを連絡して、必ず説明を聞いてもらう為にギルドまで来てもらう。説明を受けた来訪者は都を探す。ここまでいい?」

「はい、続きをどうぞ。」

「うん、勇者には手伝ってもらって、"魔物だけ"倒してほしい。で、完全装備で首都を巡回してほしいんだ。」

「…えっと、それはつまり…?」

「…うん?勇者には都で倒した魔物の素材を集めてもらって、この特殊依頼の報酬に素材を追加する。で、来訪者は人影に負けても教会で復活出来るから、教会を国の軍隊とかで完全封鎖してお説教とかをしてもらう。どう?」

「その、私が言うと変なことですが、来訪者といえど全てが全て悪い方というわけではないですよね?」

「例え自覚のない意識であっも、革命に流血はアンハッピーセットだよ?受け付けさん。手段は問わないんでしょ?」

「では、そのように。」



『緊急討伐クエスト!!

ギルドに登録したプレイヤーに緊急依頼が舞い込んだ。

首都ハジメシティに多数の人影が発見された。首都の住人の説明では、自分たちとは別物だ、このままだと首都が荒れ果ててしまうとのこと。全てのプレイヤーたちは、必ずギルドで説明を受けてから行動すること。説明を聞かなかったものには報酬は無く、死に戻りする場合は基本報酬の10000クレジットのみ。

また、武装した人物の目撃情報がある。その人物には注意してほしい。

さらに、厳戒令を発布したため教会などの重要拠点は出入り禁止なっている。死に戻りにも注意してほしい。』



こうして、小さな非公式のイベントが始まった。その発端となったココはといえば、緊急討伐クエストの説明を聞き終えると階段を上っていき、ギルドの2階席から1階受付の様子を耳で伺いつつ、ソファに寝そべるのだった。


「果報は寝て待てってね、勇者がプレイヤーを教会送りに出来たら、特殊依頼に緊急依頼は達成されて、追加でアンデッド素材まで手に入る。他のプレイヤーに恵んでもらってばかりだなぁ、申し訳ないね。返さないけど。」


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