第六話 子孫の話
なんかまたグダグダしてしまった…
次の日。
宿屋で食事を取ったあと武器の刀の手入れをし、壁にかけていたミリタリーコートを羽織る。
女将に宿代を払い、街に出た。
「さてと。」
"鬼の子"と関わった人物の子孫、それがこの街の貴族、アルバニア家なんだとわかった。
…だが、聞きたいのは山々なんだが…所詮は旅人で男装少女の姿をした俺が簡単に高貴な身分の人と会って話すことができるか?
いや、確かに俺は神だが簡単にバラせば後々厄介になるかもしれねえ。だから正体をバラす訳にはいかん。
……とは言うものの、"鬼の子"についてその貴族の人が一番知っていそうな気がする。どうしたもんかな…
そう考えながら街を歩いていると、建物がなく見晴らしの良い丘と一本の木が視界に映った。
そしてそこには、黒髪でウェーブがかかったロングヘアーの少女の姿があった。しかも、服装からしてかなりの身分だろう…。近くに従者らしきメイドがいるしな。
すると、その少女と目が合った。そして手招きをしてきた。俺は一瞬驚いたが少女は微笑んでまた手招きをする。…行くしかないのか…←
◆
「貴方は旅の人?」
綺麗な海色の瞳が印象的な少女はそう訊いてきた。
チラッと従者のメイドを見ると、頷いてきた。…発言していいんだな。
「ああ。昨日遠くからこの街に来たんだ。俺は時雨。貴女は?」
俺が訊くと少女はあらたまり礼をした。
「私はリリア=アルバニアと申します。こちらが従者のアーシャ。」
そう言うと金髪のメイド…アーシャが一礼する。
「アーシャでございます。以後、見知りおきを。」
リリアは微笑みながら「宜しくお願いしますね」と返してきた。
…というより…アルバニア……?
なんだこの奇跡とか偶然とか…!←
まさかこんなにあっさり会えるとはな……。
何はともあれ、これで聞きたいことが聞ける。
「リリアさん、お聞きしたいことが…」
「はい。何でしょう?」
「……"鬼の子"について教えてもらえないでしょうか?」
彼女は頷き、話してくれた。
*回想*
200年前。
その昔、リアン=アルバニアという黒髪の女の子が生まれたそうだ。
その子はすくすくと育っていき、とても優しい娘だったそうだ。
そんなある日
彼女が7歳の頃、街の外で倒れていた同い年くらいの少年を見つけた。
長い水色の髪と青い瞳を持つ少年。
リアンに助けられた少年はとても衰弱しきっていた。
リアンやその家の人々の看病により、少年は一命を取りとめた。
それから、少年には帰る場所がないという訳で、その家の使用人として住まわせることにした。
少年とリアンは仲がよく、見ていた両親達も我が子のように接していた。(とは言え、使用人というので扱いは程々にしたらしい)
そんな幸せがずっと続くと思っていたある日
突然、当主の父親が病に倒れた。
父親だけではない。街には流行り病が広がっていたのだ。
不審に思った母親は街一番の占い師の所を訪ねた。
占い師からはこう告げられた
「水色の髪を持つ少年は疫病神だ」と
それからすぐに、少年は剣の腕の立つ使用人と一緒に街外れの森に連れていかれた。
数日後、使用人は水色の髪を持って帰ってきた。
それから数日、街には平和が訪れた。病に倒れていた者も回復していた。
そんななか、リアンだけが悲しみに暮れていた。
それから十年後
リアンが17歳になったある日のこと。
一人の旅人が街を訪ねてきた。
短い水色の髪と青い瞳を持つ青年。
リアンは昔に会った使用人の少年を思い出した。
青年にその事を訊くと、知らないと答えた。
その事に少しだけ残念に思いながらもリアンは街を案内した
その時であった
いきなり馬が暴れだした馬車がリアンにぶつかった。
幸い、一命を取りとめたが…
その時青年がまだ名乗っていなかったリアンの名を呼んだ。
青年は涙を流しながら自分の正体を明かした。
そう。青年はあの時殺されたはずの使用人の少年だったのだ。
即座に青年は捕らえられた。
リアンは青年の事を庇おうとしたが、青年自ら止めた。
その後、青年はその罪を永遠に償うために、永遠の命を与えられた。
そして、街外れに神殿を建て街に近づけないようにさせた。
青年は後に"鬼の子"と呼ばれるようになった。
―――――
「―――……それからずっと、この街の戒めとして日が暮れたら外にでないこと、神殿にちかづかないことと伝えられています。」
リリアはどこか悲しそうにしながらそう話した。
「…そうだったのか…。もうひとつ、聞いていいか?」
「何でしょう?」
「貴女はリアンの生き写しとか言われたことがありませんか?」
俺がそう言うと、リリアは驚いたように目を見開いた。
「凄いですね…よく言われるんです。」
…やっぱりな。なんとなく、そんな気がしていたんだ。ていうか、異世界でリアンに会ったことがあるからな…リリアを見たときピンときたんだ。
「貴重な話、ありがとうございました。」
「いいのよ。この事を知らない人に教えるのが私の役目だから」
リリアは微笑んでそう答えた。アーシャを見ると口を開いた。
「リリア様のいう通りでございます。この街の子供たちにもよく話していますので。」
「ああ…成る程な。」
俺は一礼して、二人から去った。
そしてあの場所へ向かう。
「戒めとして夜は外に出られないのなら…あらかじめ外にいるしかねぇよな。」
そう呟いて、街の外へ向かって歩き出した。
今度こそご対面か…!?←




