第十五話 因縁
今回は第三者視点です。
…色々変な感じが…←
灰色の青年は、リリアを抱えながら神殿を見た。
「ほら、出てきなよ!会いたかったんでしょ?この娘に。」
神殿の方からは何の変化もない。青年は口角をあげ、短剣を取り出した。
「無視?じゃあ、この娘がどうなってもいいのな〜?」
鼻歌を歌いながら、短剣をリリアの首筋に近づける。…が、それは防がれた。
金属がぶつかり合う音が響き、青年の短剣は弾け飛ぶ。それを見て、また口角をあげた。
「…来たね。」
彼は青年を睨み付けながら跳躍し、一定の距離を作る。
水色の青年…―――リヒトは気絶しているリリアを見ると、目を見開く。
「あはは!驚いた?そりゃそうだよね〜。なんせ、あの娘とそっくりだもんなー。」
ニヤニヤと笑いながら青年はリヒトをからかう。
リヒトはキッと睨み付けながら短剣を構えた。
「そんな顔しないでよー。寧ろ感謝してほしいなー。」
リヒトは何も言わずに見据えたままだ。…心の中を除いて。
「……煩いなぁ、少しは黙ってよ。そんな風に心の中でグダグダ言ってたら、ボクにバレちゃうよー。ていうか、ダダ漏れだけどね。」
青年は目を細めながらクスリと笑う。それを聞き、リヒトは目を見開く。
「『どういうことだ…?』だって?そのままの意味だよ。」
青年がそう言いながら指をパチンと鳴らす。同時に、波紋のような光が辺りに広がる。
『…なにを…ッ!?』
心の中で言った筈の言葉が自分の頭の中に響く。その事にリヒトは戸惑いを隠せなかった。
「こうした方がわかりやすいでしょ?こんな風にボクには聞こえてるんだ。」
青年はニコニコと笑いながらリヒトを指差す。
『……何がしたい。何故その娘を…』
「知りたい?」
青年は目を細める。その目には狂気が渦巻いていた。
それに気づき、リヒトは身構える。
「簡単なハナシだよー。……ボクは"鬼の子"を殺しにきたんだよッ!!」
そう叫びながら青年は魔力を放つ。大きな黒い…闇の槍が幾つもリヒトに向かって放たれる。
『なっ…!?』
咄嗟にかわし、槍が地面に突き刺さる。その場所には抉られたような跡が出来上がっていた。
『……本気かよ…』
リヒトの首に冷や汗が一筋伝う。
「当たり前だろ?…ああ、そうだ。この娘にも見せてあげないとねー」
そう言うと、青年はまた指を鳴らす。すると、リリアの瞼が僅かに動いた。
「……う…」
『……!』
リリアが目を開け、青年を、そしてリヒトを見た。
青年は彼女をそっと降ろす。リリアはまだ状況が分からないのか、辺りをキョロキョロと見渡していた。
「ここは…?」
「街の外…神殿前だよ。」
何故か青年の声が変わり、それを聞いたリヒトが目を見開いた。
『なっ…なんでオレの声なんだっ!?』
驚くリヒトの様子を見て、青年はニヤリと口角を上げる。そして、リリアを見た。
「神殿前……!あ…貴方は何者ですか!?それに、アーシャは!?」
漸く何が起こっているのかを理解したリリアは、少し怯えながらも青年を見据えた。
「アーシャ?ああ、あの生意気なメイドの事か。あのメイドなら、少し痛い目に遭わせただけだよ。まあ…誰かに治療して貰わなければ…死んでしまうかもな」
「そんな……」
ニヤリと笑いながら青年は答え、それを聞いたリリアは愕然として、その場に座り込んでしまった。
「……そんなことより、君にこれを見せなきゃな。」
そう言うと青年は短剣を握り直し、リヒトに切っ先を向ける。
「今ここで、"鬼の子"のリヒトを排除する。」
冷淡な声で言い放った。
「……リ…ヒト…?」
青年の声に反応したリリアが顔を上げる。
「貴方が……あの時の…リヒト…なの?」
『っ!?』
彼女を見てリヒトは驚いた。
それは…何故か…初めて会ったはずだというのに、まるで昔から知っているような言い方をしたからだ。
『どうしてだ…?この人は…リアンじゃないのに…』
「…私は…覚えてます。"リアン"の記憶を…だからでしょうか?こんなに…懐かしいと思うのは…」
『………。』
「そんなことがあるのかって言いたげだな、リヒト」
いつの間にか青年はリヒトの前に立ち、静かに見下ろしていた。
「だったら…そのまま楽にしてやるよ。」
リヒトが顔を上げた瞬間、その周りに闇の鎖が漂い、そしてそれらはリヒトに巻き付いた。
『っ!?』
「なっ…や…やめてっ!!」リリアが悲鳴のような叫び声をあげた。
「じゃあな。リヒト」
そう言いながら青年は短剣を振り上げた。
「《天ノ刃》!!」
無数の光の刃が降り注ぐ。それらは闇の鎖を断ち切り、青年の短剣を弾き飛ばした。
『!』
「…変だな…。この辺りは結界で誰も入れなくなっているのに」
青年はそう言ったが表情は面白そうに笑っていた。…だが。
「逆に訊こうか?何故結界を張る必要があるんだ」
そいつはリヒトと青年の間に現れ、いきなり青年を殴り飛ばした。
「ッ!?」
『…なんで…アンタが…』
「貴方は…シグレさん…!?」
驚いている二人を横目に時雨は刀を青年に向けた。
「俺はな、コイツらを守る必要があるから来ただけだ。」
時雨の言葉を聞き、青年はニヤリと笑みを浮かべた。




