栗色少女、童顔少年
挿入しました!これは忘れてたエピソードですけど
一応必要なので
栗色の髪の少女は、楽しげに城の三階部分の渡り廊下に向かって歩いていた。
この廊下は、透ける廊下とも言われ、壁がすべてガラス張りで、城の周りをかなり見舞わせる。
「デュエル隊長、やーっと帰ってきてくれたし、お誘いしなきゃ」
建国祭前日。
明日、赤銅色の髪の青年と一緒に過ごしたい、その一心で、彼を探すためにこんなところを歩いているのだ。
「……あれ、確か……ジオとか言ったかな」
金髪碧眼の童顔少年だが、それなりに整った顔立ちで、スミアの記憶の中に残っていた。
スミアの立っている位置は、まだ普通の壁で、ジオが立っている位置は、ちょうどガラス張りになり始める、渡り廊下のスミアよりの端だ。
ジオは、思いっきり階下のある一点を見つめていた。
「おはようございます。ジオさん。何を見てるんですか?」
「っ……あ。おはようございます! スミアさん。特に、何も。ぼーっとしてました」
スミアに気づいたジオが、少し焦ったように視線を外す。
スミアは渡り廊下に出て、そして、ジオが見ていたであろう方向に視線をやった。
「あーーーっ!」
「声が大きいですよ」
思わず大声を出したらジオに慌てて止められる。
スミアの中で何かが暴走し始める。
「どうして、どうしてデュエル隊長とルフレ隊長が二人でしゃべってるんですか!」
階下にいたのはスミアが慕っている赤銅色の髪の青年と、スミアがそれなりの尊敬はしつつも、ルミエハでなかったらおそらく大嫌いになったであろう黒髪の完璧美女。
「僕に聞かれてもわかりませんよ。でも、二人の立ち位置は、それなりに離れてますし……」
確かに、スミアが見たとき、二人は二歩分ぐらいあけて話していた。
表情は、よくみえないが、二人だけで話している、というのが気に入らない。
「ルフレ隊長も往生際が悪いですよ! ルミエハとオブスキィトなんだから、絶対にありえないのに!」
「ルフレ隊長が往生際が悪い? ……ルフレ隊長はデュエル隊長のこと?」
「……い、いや、確かに、そんな風には見えないけど、二人でしゃべってるし、なんていうか、どちらかと言えばデュエル隊長が言い寄ってるとは思いたくないから、ルフレ隊長のせいにしたいというか……」
ジオの落ち着いた声で聞かれると、スミアは思わず本音を漏らしてしまう。
―――敬語忘れてたっ!
いつだって男を受けておしとやかな女性を演じているはずなのに、そういえば、今日は思いっきり叫んだ段階から、そのもくろみは崩れている。
「なるほど。まあ、でも、ルフレ隊長がデュエル隊長に興味があるのか、ないのか、は僕も気になります」
「本当に?」
「はい。ですが、確かに、現状であの二人が結ばれるのは難しいでしょうけれど」
「そうよね! ちょっと元気でた! ありがとっ!ジオさん!」
ジオの微笑み方がいつもとちょっと違うような気がしたけれど、デュエル隊長の居場所が分かった以上、もうここにいる必要はない。
「それじゃね」
栗色の少女が走り去った後、残されたのは金髪碧眼の少年。
「確かに、現状では二人は結ばれない。二百年にわたる両家の因縁を超えるには……闇のやり方では温い。片方を、光を完全につぶすか、あるいは、両家ともに倒れるか。だが、我が国のことを考えれば……両家がつぶれるのは惜しい。そして、何より、デュエルとルフレ自身が、我が王家を支えるものとして、必要不可欠だ」
栗色の少女が来る直前に、赤銅色の青年は、黒髪の女性の腕を離した。
「……どうするんですか、デュエル隊長。光の彼女は、手に入りませんよ。現状では」




