表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/17

第8話

 屋敷に着くなり、お母様にただいまも言わず、部屋で親に頼らない生き方を考えてみる。


 大学進学だと、お金がかかり、親頼みになってしまい、アウトだ。


 奨学生になるという選択もあるが、私はそんなに頭が良くない。いや、悪い方だ。


 本屋で買ってきた「就職案内」をぱらぱらとめくっていく。


 ‘’デパートの販売員 給料1800セント″


 ″海風レストラン給仕 給料1500セント″


 ″道路工事塗装 日給200セント″


 就職先はなくもないが、私がやりたいものと違ってくる。やはり、大学を卒業しないと、研究職や大会社への就職は難しい。


 なにより、給料が安すぎる。


 アパート代や引越し代、家具代も、親に払ってもらうわけにはいかない。


 先立つものは金だ。カールやミンティアの生活が思い起こされる。


 貧困街で生活するなんて、絶対無理だ。でも、自立は諦められない。あの二人に、負けてしまう気がする。



 夕食時、私は家族に報告をすることから始めた。


「私、自立をすることにしました。行き先が決まり次第、家を出て行きます」


「何を言ってるんだ?!お前にそんなことできるわけがないだろ!」


 お父様は、飲んだスープを吹きこぼし、顔を赤くして反対してくる。


「どうしたの?半年間籠っていたから、変な考えを思いついてしまったのかしら」


 お母様は、おろおろとうろたえ、お父様のご機嫌を伺っている。


 お母様は、いつもお父様の機嫌を損ねるのを、恐れているのだ。


「アルル、私は、あなたが決めた道なら、どんな道でも応援するわ。私は、家を出るなんて無謀なことはしないけど」


 お姉様は、わりと冷静に受け入れている。なんでも自分で決めたことを行動にうつしていく、私の勝ち気な性格に慣れている。


「お前は、世間の厳しさを知らないから、そういう、無謀なことを考えつくのだ!泣きついてきても、決して助けないからな!」


 お父様は、完全に怒りの糸が切れたようで、頭ごなしに反対するが、私は右から左へとお父様の説教を流していく。

 

 考えてみたら、お父様の顔色を見て、お父様が喜ぶ道を選んできた。


 女だから進学も良い顔をしなかったし、女は嫁いで家事育児をするのが良しと考えている。


「お父様は、頭でっかちです!」


 どうやら私のやる気に火がついてしまったようだ。


「何?!」


「最初からできないと決めつけなくても良いと思います!」


「ぬうう!生意気な!そんな口応えをするなら、今すぐ出ていけ!」


「ええ!今すぐ出て行きますとも!」


 売り言葉に買い言葉であるが、後には引けず、その場から早足に部屋に行き、簡単に荷物をまとめた。


「今まで育ててくれて、ありがとうございました!!」


 私は怒りに任せて頭を下げ、お母様が引き止めるのも聞かず、家を飛び出した。


(私だって、自立していけるわ!)


 家を出たからには、進むしかない!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ