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姪とオンライン!  作者: 漆之黒褐
第一節 『VALKYRJE SONG』
38/115

Sky Edge --天閃--

 追加されたのは必殺技ニードルスラッシュ。どうでもいい。

「この音、どこから聞こえてくるのかしら?」

「うーん、何だろうねぇ。誰か近くで楽器でも演奏してるのかな?」

「こんな時に? 余程の暇人でもあり得ないんじゃない?」

「こうして観戦してる僕達も十分に暇人だけどね。それにしても、この戦いは随分と見応えがあるねぇ。是非、僕のお友達にも見て貰わないと」

 顎の下を狙って短剣の先端を走らせる。変わらず、俺の武器が狂人鬼の皮膚を斬り裂く事はない。その危険な一撃すらも衝撃を与えただけで目に見える結果は確認出来ず。

 斬り流し、斬り弾く。徐々に攻撃する速度をあげてきた両腕に、その腕へと繰り出す攻撃の数が増えていく。受け流すも弾き流すも同じ事。躱すよりも腕の動きだけで全ての攻撃をさばく。

 時折に現在位置が変わる。攻撃を受けきれずに吹き飛ばされる時もあれば、自ら跳び距離を取る事もある。両腕の動きを弾き流しながら無数の斬撃を胴体に叩き込んでいると、逆に敵の方から離れていく事もある。しかし次の瞬間には再び接敵。互いに超接近戦でないと攻撃を叩き込む事が出来ないため、必然的にそうなってしまう。

 姿勢低く足下を狙って三日月に刃を振るう。背後に浮かぶは日中の薄き月の姿。朧月影の太刀。地を蹴りもう片方の刃で斬り抜き駆ける。フィートロブペイン。そのまま目の前の壁を蹴り走り上空へ。落下と同時に二箇所へと十字に斬り裂き、次いでその中心へと二つの刃を突き降ろす。ダブルロザリオインペール。地面にめり込んだ両拳を足で踏み、無防備な頭部のこめかみへと柄頭をぶち当てる。暴心破衝撃。額にキラーナイフの先端を当て、零距離からの回転振動突きを撃ち込む。衝破・雷轟通し。

「録画記録が出来ないのが本当に悔やまれるですよ~っっ! なんですかあの技!? あの化け物じゃなければ確殺のやばやば技じゃないですか~っ!?」

 踏んだ腕に制動され頭部が再び戻ってくる。もう一撃。衝破・雷轟通し。もう一撃。衝破・雷轟通し。否。その一撃は放つ事が出来なかった。

 俺の体重ごと両腕を振り上げ、宙へと飛ばされる。少し調子に乗りすぎたか。そこを狙って更に突き上げてきた五指を無理矢理に2本の刃で受け止める。空中での回避は難しい。そして筋力差がありすぎるため、無理にその力は受け止められない。柔らかく受け止め、その力を己の速力へと変える。短剣で受け止めた敵の腕を始点として跳ぶ。力を上に逃がす。上昇する力へと変え、重力で相殺する。

 2階分の高さまで軽く持ち上げられた。再頂点へと達し、無重力にも似た浮遊感が訪れる。後は落ちるだけ。

 しかし狂人鬼はその俺を待ち構えるという選択肢を選ばなかった。有り余る馬鹿力で地面を蹴って破壊し、上空の俺へと追撃を仕掛けてくる。

 真っ直ぐ突き向かってきた腕の刺突撃を躱す。空中軌道での緊急回避はその1回が限度。続く攻撃をキラーナイフで弾き、次は試し斬りの短剣で受け流す。丁度良い位置にある頭部に攻撃を加えたい所だが諦める。このような状態で無闇に攻撃を行うと体勢が簡単に崩れる。防御を無視出来る狂人鬼ならば兎も角、俺には致命的。

 無差別に振るわれる腕。その軌道を尽く往なし続ける。下から上向きに振るわれ続ける脅威。その威力で重力が相殺されていく。どころか徐々に上昇させられていく。物理法則はどこまでねじ曲げられているんだ。

 好い加減、この状態で超接近戦を繰り広げるのは厳しいので、間隙を狙って2本の刃を全力で叩き付ける。上昇力を既に失っていた狂人鬼がその攻撃を受けて急速落下。代わりに俺は重力加速停止、上昇速度増加。

 瞳の中で狂人鬼が二つの足で無事に着地。瞬間、再びその馬鹿力が発揮され、地面がまた大きく破壊された。急速で再接近してきた狂人鬼の突き上げを受け止め、仕方なくまたその力を吸収し、上へと吹き飛ばされる。1階分また上へとあがる。

「おお……まさかの空中戦」

 衝撃を逃がすために空中で一回転。その間に狂人鬼は再び着地して、そしてまた跳び向かってくる。俺をこの空中から逃がさないつもりか。

 再び回避行動をほぼ封じられた空中戦を繰り広げる。一方的に行われ続ける攻撃を必死にさばいていく。落下速度がまた失われていく。やばい。これ以上、上に持ち上げられると千日手になってしまう。

 敵の攻撃を利用して徐々に位置を建物の方へと近づけていく。すぐ間近で見る事となったプレイヤーが逃げる。その姿を狂人鬼の瞳が映していたが、今はそんな些細な事に意識を向けている時ではない。

 狂人鬼の上昇速度がようやく零へと返り、停止する。その時間がやたらと長い。今も俺に攻撃を仕掛けているのに、何故その反動で落下していかない。これもこの世界特有の物理法則なのか。それとも、そういう能力を持っているのか。

 視界の端に見える建物との距離を目測で測る。希望的観測で問題なし。

 よって、それまで控えていた打ち下ろし以外の攻撃を敢行する。

 振るわれた腕を脚撃で蹴り流し、そのまま更に回し蹴りを側頭部へと撃ち込む。但し打撃の瞬間、その打撃点に回転の支点を移し威力を緩和。約30度位置をずらした後、再び攻撃を繰り出そうとしていた狂人鬼の肩を両足で蹴って跳躍。成功。建物の壁へと手が届き、その頂を掴む。視界の中で惚けていた女性プレイヤーのスカートがめくれあがるが、今は無視。丈が長すぎて期待感が低すぎる。

 落ちていく狂人鬼へと向かって、試し斬りの短剣を投げる。ただの投擲、されど技の一つ。流星衛。壁を全力で蹴る。そして空中で跳ね返った短剣を掴み交差。その瞬間、刃を閃かせる。流星剣・双牙。

 地面を滑るように着地。後ろ向きに落下している狂人鬼の背中を確認する。その背中目掛けて駆ける。が、流石に間に合わない。跳躍。地面に激突してバウンドする敵の身に重力の力を利用して一撃目を叩き込む。そのまま刃ごと身体を旋回させ、着地の力を遠心力に変換し斬る。無双・天地二段。

 何事もなかったかのように起き上がろうとする狂人鬼の身に、更なる追撃を放つ。こちらを気にしている様子すら窺えなかったため、大上段に構え一気に振り抜く。物理的な刃ではなく、衝撃破による攻撃。ゲハイムヴェーレ。予想通り、衝撃破など生まれない。

 剣速が足りない。それとも法術のように何らかの属性が必要なのか。

 起き上がった狂人鬼と距離を取り、首の向いている方向の逆へと走る。まだ俺の位置を特定出来ていない?

「……あれ?」

 好都合。死角から這い寄り、その背中を刺す。シャドーオブデススタッブ。まだ振り向かない狂人鬼へと向けて、上半身の力だけで突きを放つ。零式牙突。試し斬りの短剣を鞘へと収め、キラーナイフを両手で握る。そして全力で左に薙ぐ。大薙斬り。キラーナイフを手放し、試し斬りの短剣を右手で引き抜く。居合い薙ぎ。空中のキラーナイフを左手で掴みそのまままた薙ぐ。迅風薙ぎ。

 まだ振り向かないか。いったい何に意識を向けている?

 短剣2本を手放し、目の前の空中で回転させる。腰から鞘を抜き、一緒に目の前で回転させる。背を向けたままの敵の四肢を確認。その全てを斬り、裂き、撃つ。一瞬のみ短剣と鞘を掴み攻撃。すぐ手放して回転。その行為を繰り返す。腕の速度だけで無限の斬撃を放ち続ける。トゥループライマルレンド・エクスピアシオン。

 技の合間に狂人鬼が攻撃を全て無視して歩み始める。技の特質上、この斬撃は軽すぎる。故に、蚊に刺された程にも感じないという事か。

 回転する鞘を手に取り腰へと戻す。回転する短剣を手に取り鞘へと戻す。

 力を溜める。そして、斬る。二刀流抜刀術・天龍閃。

 その技を以てして敵の正面へと出る。しかし攻撃してくる気配を感じない。何故だ?

 振り返り、狂人鬼の姿を確認する。先程の一撃を受けて体勢を少し崩していたが、視線はやはり俺の方には向いていない。首は横を向き、斜め上を向いている。

「……もしかして、私達ターゲットにされてない?」

「は? まさか?」

 そのまさか。狂人鬼の瞳は、安全圏内だと思われている建物の上にいるプレイヤー達の姿を確かに見ていた。プレイヤーの落下と空中戦闘を行った事で、その事に気が付いてしまったか。

 ……いや、それだと説明出来ない事がある。広場で俺が建物の上から見ていた時、確かに奴は俺の方を見た。それを考えれば、今頃、上にいる連中の事に意識を向ける理由はない。

 この大通りをどこかへと向けて進んでいる間にも常に屋上にプレイヤーはいた筈だ。いくら目の前でNPC達がバリケードを作っていたからといって、屋上のプレイヤーを狙わないというのはおかしい。それともNPCを優先して殺しているのか? いや、それもおかしいか。今もNPC達はバリケードの向こう側でこちらの様子を窺っている。

 狂人鬼の思考プロセスが理解出来ない。まさか気紛れという訳でもあるまいに。

 思考を中断し、攻撃に移る。他のプレイヤーが標的にされようと、ここには復活ポイントはない。故に無限地獄は起こらない。

 両腕の開き、短剣の先端を地面すれすれで擦らせながら疾走する。摩擦による発熱は有効。但し、心なしか左手に握る試し斬りの短剣の火力が低い。だが構わない。たった三歩の距離が一瞬で詰まる。生半可な威力の攻撃では狂人鬼は意識にもとめない。回転の遠心力を利用して赤く染まった二つの刃を叩き込む。ツインメキドブレイク。

 しかしその刃は空を切った。一瞬前に狂人鬼がまた超加速する。しかしそれは回避行動ではない。ただの移動。

 壁の前へと一瞬で移動した狂人鬼が、今度は真っ直ぐ上へと跳躍する。狙いは間違いなく屋上にいるプレイヤー達。その高速跳躍の途中でまず最初の犠牲者が生まれる。屋上の端にいた軽装備の青年プレイヤーが縦に斬り裂かれ、呆気にとられたままの表情で消える。

「いや……いやいやいやいやいや!?」

「きゃーーー!?」

 それから暫くの間。

 プレイヤー達の悲鳴は、止む事がなかった。

♪御意見、御感想をお待ちしています♪


リン「リンちゃんと」

チー「チーちゃんの」

「「あとがき劇場スペシャル!!」」

リン「わー、わー、ぱちぱちぱちぱち」

チー「ドンドン、ぱふぱふ」


リン「怒濤の必殺技が連続で繰り広げられ続ける! 第38話だよー♪」

チー「今回は17個の必殺技が出てきたのです」

リン「ちなみに、前回はもっと多くて28個も出てたんだよ」

チー「多すぎなのです」

リン「いやー、これだけ多いと読んでる方もついていきにくいよねー」

チー「むしろよくこんなに出せますよね。これがまだまだ続くのですか?」

リン「うん、続くみたい」

チー「体力温存しておかないと、すぐにばてちゃいそうなのです」

リン「あ、チーちゃんのお菓子を食べる速度がカズねぇばりに速くなった」

チー「カズミちゃんに対抗して、今日は17個平らげちゃいます♪」

リン「いくらゲームの中だからって、食べ過ぎは良くないよチーちゃん……」

チー「リンねぇも一個入ります?」

リン「あ、ちょうだい♪ チョコが良いな♪」

チー「はいなのです♪」

リン「んまんま♪ チーちゃんはこれまで出てきた技の中で、どの技名が好きー?」

チー「ん~と、そうですね……ローゼンベーレ・クロイツでしょうか?」

リン「あ、その技名なんか響きが良いよね」

チー「です。何だか麗しくて大人な女性的なイメージがするのです」

リン「意味を訳すと何になるんだろう」

チー「ローゼンは薔薇、ベーレは……英語だとベリーですね」

リン「あれ? 薔薇って果物?」

チー「その辺りを考えると良く分からなくなりますね」

リン「きっと雰囲気だね、雰囲気。本来、果物を付けない新種の薔薇!」

チー「クロイツは十字なのです」

リン「炎の軌跡で果物を付けた新種の薔薇を描いてる……そのバックに十字の紋様?」

チー「どうやって、とも考えちゃいますね」

リン「やっぱ、なんとなくで付けた名前かもしれないねー」

チー「炎の薔薇、というのだけはちゃんと伝わってきますです」

リン「あ、ちなみに私が好きな必殺技は、クリティカルローランドね♪」

チー「メリーゴーランドな響きなのです。でも何でそれを選んだのです?」

リン「クリティカルだから♪」

チー「なんともシンプルな理由なのです……」

リン「明日はどんな必殺技が出てくるかな~」

チー「必殺技ばかりで、なかなか話が進んでませんけど」

リン「うん、そうなんだよね。バリバリ必殺技まっしぐらなのは良いんだけどねー」

チー「そろそろ私は体力温存のために、落ちますね」

リン「おっけー。それじゃ私もそろそろ落ちるね」

チー「それでは皆様方、おさらばなのです」

リン「グッバイバーイ。飽きずに最後まで読んでね~」

チー「またの御来読をお待ちしています♪」



♪(こっちも)御意見、御感想をお待ちしています♪

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