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姪とオンライン!  作者: 漆之黒褐
第一節 『VALKYRJE SONG』
21/115

姪 to burning

 一行は、洞窟の中へと入っていく。

 途中なぜかまた蜂の戦闘部隊に遭遇してしまい、危うくマリリンが大火事を引き起こす所でした。蜂の大群に遭遇って、意図的に蜂の巣でも攻撃しないとそんな状況にはまず陥らないと思うんですけど。ちみたちはいったい何処を襲うつもりだったんですか? 勿論、お花畑ですよね?

 洞窟ではユリアちゃんが常時光の法術を使って薄暗い洞窟内を照らしてくれます。その代わりユリアちゃんはほぼ戦力外通告。もっとスキルレベルとスキル熟練度があがればMP消費量も少なくなって、しかも意識しなくても常時発動が可能らしいけど、まだユリアちゃんには無理らしい。だから、ユリアちゃんが証明係。

 なお、火の魔法が得意なマリリンが証明係の時は、燃やすそうです。何を?

「ここは挟撃される事がよくあるから、カズねぇも注意してね? 一応、シン君を殿(しんがり)にしてるけど、複数の敵が襲ってきた場合は抜かれる心配があるから」

「カズミちゃんはここまでくるとたぶん一撃死です。蚊に刺されただけで即死です」

「それは随分とスリリングだな。ちょっと楽しみだ」

「カズねぇ、死んじゃダメだよ? 洞窟を抜けた先には、カズねぇも美味しく感じる狩り場が待ってるんだからね」

「楽しみにしておくよ」

 一週間も経ってるのに未だ天文学的な数値を示しているNEXTを見て、本当に美味しく感じられるのかなー? せめて一度も変わった事のない上の方にある桁の数値が変わってくれる程度には美味しいと良いな。うん、絶望……。

 レイ君が敵を食い止めて、センねぇちゃんが屠る。証明係のユリアちゃんがたまーに支援法術を使い、マリリンがたまに暴れる。殿のシン君は後ろを警戒。戦闘にも加わらない。というか本当に敵の一種類は蚊だった。超でかいけど。直接、心臓から血を吸われちゃいそうです。

 一行は洞窟の中を突き進んでいく。ぐにゃりと曲がった天然の通路に生えたミミズ君と、天井で逆様になって寝ていたコウモリ君が、ユリアちゃんの作る照明光の圏内に入る度に怒って突っ込んでくる。だが、彼等の行動パターンを熟知している戦闘員3人は軽くあしらい続ける。

 その間、俺の弱みを握ったと思い込んでるユダちゃんが俺の右腕に絡みついてハイパー御機嫌良さげな心模様。最初からユダちゃんは俺に好意を示していたので、5人はあまり気にしていなかった。というか俺と同じく紙防御なのに妙に前へと出たがる彼女が今は大人しくしているので、お荷物二つがまとまってるこの状況は5人にとってもメリットはあるのだとか。俺のメリットは……レイ君に悪くて言えません。

 ちなみに、こっそり強制的にフレンド登録させられたユダちゃんとの個別念話チャットの内容は、終始こんな感じ。

『ユダちゃん、恋人いるんだろ?』『あれは別腹です。私はもともと女の子好きなのです』『いや、だから俺は男だって』『そんなの認めませーん。それに例えそうだとしても、この世界では綺麗な女の子さんです』『そうなんだけどさ……』『カズミンは、この世界では私の嫁なのです!』『拒否する』『ああ……夢にまで見た同性婚、多重婚。なんて素晴らしい世界』『おーい。俺の話、聞こえてるー?』『後でいっぱいムフフな事しましょうね♪』『しねぇよ!』『カズミンに拒否権はないのでーす。一生、私の雌奴隷なのです』『それ、嫁じゃねぇよ……』『私よければ全てよしです』『俺の人生、どこで間違ったんだ……』

「カズミちゃんにもストーカーさんついちゃいましたね」

「うん……私達のよりはまだマシだと思うけど、カズねぇ、逆に獣さんになっちゃわないといいけど」

「友達がご迷惑をお掛けしてすみません。最近、リアルでちょっと嫌な事が立て続けに続いていたみたいでしたので……」

「あ、そうなんだ。ユダっち、あれが素じゃなかったんだ」

「いや、全然素なんっすけどね……カズミが俺っ娘キャラで良かったっす。俺だと二重の癒しは無理っすから」

「……色々と複雑な事情があるんですね」

「今はそっとしておいてあげてください。カズミさんには悪いですが」

 洞窟の中なので会話がよく聞こえてきます。雑音がないのもあるけど、耳をすませて集中すれば現実よりも遠くの会話まで聞く事が出来るという事を果たして彼等は気がついているのだろうか? ここはデータ世界なので、細かに設定されていない物理法則はいくつか抜け道があったりします。というか現実とは別の理論で動いているのですよ?

 しかし、そんな事よりもだ。ちょっと聞き捨てならない言葉を聞いた。

 俺にもって事は、センねぇちゃんとマリリンにもストーカーさんがついていらっしゃる?

「あ、そろそろ出口みたいだね。じゃ、ちょっと頑張ろっか」

 というマリリンの言葉。いったい何の事やらと訝しむ俺とは異なり、他の面々も顔を引き締めて戦闘準備を始める。ユダちゃんも俺の腕を解放して、仲間全員を杖でバシバシと叩いていく。レイ君だけ何故に頬……。

「カズミさんはあの辺りの壁際の端っこで待機しててください。これから、この洞窟を抜けるためのボスと戦いますので」

 ああ、なるほど。洞窟出口にボスがいるというのは定番だ。新しいエリアに行くための場所ならば尚更だろう。俺は言われた通りに壁際へと待避して、その場にあった岩へと腰を下ろす。よっこらしょっと。

 ついでにオニギリとお茶を取り出して完全に観戦モード。頑張れー。

「カズねぇ、(くつろ)ぎすぎ!」

 シン君も前衛二人に合流して、互いに簡単な確認事をしあう。ユリアちゃんが支援法術を使用。ユダちゃんが何かの詠唱を開始。そしてマリリンが出口を思わしき通路へと近づいていく。

『……また、我がテリトリーを荒らす者達がきおったか。何度来ても同じ事。ここを通りたくば、我に力を示すがいい!』

「戦闘、開始!」

 頭の中にボスと思われるモンスターの言葉が突然に鳴り響いたと思った瞬間。マリリンが合図の言葉を発し、踵を返して逃げてくる。というか、何故に魔法使いであるマリリンが釣り役?

 などと考えていると、通路の奥から三つ首をした巨大なワンちゃんが現れた。しかし、通路の幅に対して身体が大きすぎる。ゲームデザイナーさん、完全に失敗しちゃってますよ。

 左右の顔を狭い通路の壁にズリズリと引きずりながら、可哀相なワンちゃんが広場に躍り出てくる。但し中央の胴体というか本体さんは、苦痛に歪んでいる左右の顔の痛みなど無視しているみたいなので、その速度は圧倒的。逃げるマリリンのすぐ背後まで一瞬で迫っていた。しかし前衛3人のいる場所まではまだ少し遠い。

 だがしかし!

「「チェンジ!」」

 もはやマリリンは間違いなくワンちゃんの攻撃を受けるだろうと思われた、その矢先。センねぇちゃんとマリリンが同時に同じキーワードを発して、入れ替わった。

「奥義! 瞬天月(しゅんてんげつ)!」

 そして、巨大なワンちゃんと向き合う形で現れたセンねぇちゃんが、いきなり必殺技を繰り出した。片手用の剣を両腕で振るい、その軌跡から発生した長大な斬撃エフェクトがワンちゃんの身へと襲い掛かり吹き飛ばす。奇襲じみた攻撃。ギャウンっと鳴いて、ワンちゃんは大きく後ろに下がる。

 その隙にセンねぇちゃんが二度バックステップしてレイ君とシン君のいる場所まで後退。

「守! 烈! 喝っ!」

 っと今度はレイ君が叫び、三つのエフェクトを連続発生させる。そのうち最後のは見た事があるのですぐに理解した。が、残りの二つはよく分からない。

『特典版って優遇しすぎですよね。位置交換を利用した不意打ち/だまし討ち併用の必殺技ノックバック。あれって物凄いヘイトを稼ぐんですよ? そこからレイがヘイトを肩代わりして、ヘイト強化、追加の挑発。ヘイトリセット技を使用されない限り、もうレイからは絶対にタゲは移りません』

 ご丁寧にも個別念話チャットでユダちゃんが教えてくれる。戦闘中は思考がまともになるのか、ちょっとユリアちゃんのように丁寧口調。いつもそのモードでいてよ。

 ターゲットを固定化されたワンちゃんが重装備レイ君に猛アタックする。地を蹴ると同時に右前脚を振っての鉤爪攻撃、三つ首による連続頭突き、更に噛み付き、ブレスと続く。いきなりの猛ラッシュ。戦闘開始早々に行うような攻撃じゃないだろうに。

 しかし対するレイ君の防御も負けてはいない。その全ての攻撃を全身をすっぽり覆う大盾できっちり受け止めて耐える。鉤爪を受けた時には高速で過ぎ去った爪との摩擦で火花が散り、頭突きは体制低く足を踏ん張って受ける。ズズっズズっズズっと僅かにだけ三度後退。すぐさま前へと出てワンちゃんの噛み付き攻撃のヒット場所をずらして盾がガジガジ。咥えられて引っ張られる盾を手放さないように両手で持ち、その間に左右の二人が攻撃を加えたのでワンちゃんはたまらず盾を奪うのを諦めた。

 そして手に入らないのであればいっそ……的な意味合いなのか、三つの口から大きく息を吸い――強烈な三つのブレス攻撃がレイ君を真正面から襲いかかる。

 いや、なんか格好良いシチュエーションだ。必死に盾でブレスを耐え続けるレイ君。そのレイ君をユダちゃんが癒し、ユリアちゃんが連続して法術を唱えてブレスの余波を散らす。というか散らしてくれてよかった。たぶんあの規模のブレスだと俺の方まで襲いかかってきますよ。丸焼けにはならない生焼け。苦しみだけが長く続きそうな、そんな微妙な位置に足手まといな俺ちゃんはいます。

「喝っ!」

「フリージングプチプチダスト!」

 肺の中の空気を全て出し切ったのか、ブレス攻撃が止むと同時にレイ君が再挑発を行い、間髪入れずに今度は我等が暴走魔法使いマリリンの出番がやってくる。力強い言葉が発せられると同時にワンちゃんの周囲にキラキラと光り物が現れたと思ったらいくつもの氷礫(こおりつぶて)に急成長し、加速。1点集中という訳ではなかったが、同じ方向へと向けて急に流れた風にのってワンちゃんの身に降りかかる。

 バシバシというエフェクト音。バシュバシュという血飛沫の乱舞劇。

 全身に小さな穴傷を作ったワンちゃんが怒りの形相でレイ君を睨み付ける。ヘイト操作の御陰か。マリリンには目もくれない。

「ついでにプチファイア!」

「「「「「あ……」」」」」

 それまで見ているだけに徹していた俺にも、マリリンのそのついで攻撃に何故5人がやっちゃった的な言葉を見事にハモらせたのか分かった。

 ワンちゃん、その正式名称は地獄の番犬ケルベロスならぬケルベロン君は、肩関節とかお手々とかから炎が漏れ出ており、しかも炎のブレスを口から吐いていました。つまり、ケルベロン君の属性は見た目からしても明らかに【火】属性なんだよね。

 そんな彼にプチファイアという名の炎の玉をぶつけたら……あーあ、ケルベロン君が元気になっちゃった。

『ゲーツオブハデス』

 熱っ!? 何が起こったか理解するよりも早く、その部屋の気温が急上昇致しました。

「マリリン何やってるんっすか!?」

「マリちゃん! 早く【水】属性魔法連発して!」

「センもお願い。僕は知っての通りまだ【水】属性系の技は覚えてないから」

「もうやっていますー」

「あ、ごめーん。てへペロ」

 あ、こいつ確信犯だ『いつもの事ですね』そうなのか『重ね重ねいつも迷惑をかけてすまない』『いえいえ。楽しければオールおっけーです』俺の方に振り向いてユダちゃんがウィンク『おーい、レイ君が辛そうにしてるぞー』『死ねばいいのに……』今なにか恋人さんの不吉な言葉を聞いた!?

 マリリンの【火】属性魔法を受けたワンちゃんは、特定攻撃を受けた際に実行されるアルゴリズムに従って必殺技ゲーツオブハデスを発動。室内を真っ赤に染め上げるほどの高温を発し、身体を赤く染め上げ、威圧感を数倍増大させた。

 その間、室内にいる全員が継続ダメージを受け続け、更にワンちゃんのあらゆる攻撃に【火】属性の追加ダメージが発生。ついでにこちらから攻撃した際にも【火】属性の反撃ダメージを受けるというのを、反属性である【水】属性系の攻撃手段を持たないシン君を見ているとすぐに分かった。そのためシン君は攻撃をかなり控えてほぼ静観モード。

 代わりに頑張ったのはセンねぇちゃん。青龍の聖剣士なるものを目指している水精の片手剣士見習い(もうクラスチェンジもしくはクラスアップしました?)という字面からも分かる通りに、【水】属性系の技を豊富に持っているのか次々と必殺技を叩き込んでいく。

 剣から水鉄砲よろしく水をブシュッと出してみたり、空振りの刃から水の剣閃をうみだしてみたり、目の前に作り出した水の膜に突撃して自身を水浸しにしてそのまま突き入ったりとまぁ所々曲芸じみた技もあったが、その一撃ごとにワンちゃんの身体から少しずつ赤見が消えていく。当然センねぇちゃんの方も反撃ダメージで少なからず苦しんでいたけど、そこはセンねぇちゃん専属のナースになったユリアちゃんが必死にカバー。

 ちなみに最初からずっとワンちゃんの矢面に立っているレイ君はというと、前からワンちゃんの怒濤の攻撃に晒されながら、後ろからユダちゃんの恍惚とした攻撃に晒されていました。前から後ろからと、本当にお勤めご苦労様です。

 それはそうと、俺が座る岩の上に広げていたオニギリ君がすっかり焼きオニギリ君にクラスアップしてしまいましたけど、これって食べても大丈夫? 同じくホットになっちゃったお茶が熱すぎて飲めません。俺の身体の方は大丈夫なのに、アイテムの方への影響は絶大なんですね!

 ゲーツオブハデス恐るべし。

♪御意見、御感想をお待ちしています♪


リン「リンちゃんと」

チー「チーちゃんの」

「「あとがき劇場スーパー!!」」

リン「わー、わー、ぱちぱちぱちぱち」

チー「ドンドン、ぱふぱふ」


リン「いつまでも、続いていくよ、第21話」

チー「思いっきり字余りな俳句です、リンねぇ」

リン「はじめてのボス戦! 燃えてきたよー!」

チー「というか、本当に燃やさないで下さい……お願いですから……」

リン「あーごめん、ついね。ちょっとやってみたかったんだー。どうなるのか」

チー「その御陰でまた一つ勉強になりましたね」

リン「ゲーツオブハデスかー。私もあの技使えるようになりたいなー」

チー「ラーニングすれば、もしかしたら使えるかも知れませんよ?」

リン「あれ? そのスキル、見つかったの?」

チー「いえ。たぶんもっと先の街やお城に行かないと覚えられないです」

リン「ちぇ、残念」

チー「それにしても、あの瞬間位置交代技は便利ですよねー」

リン「チェンジ! あれ超便利!」

チー「特典版様々です♪」

リン「でも何故かカズねぇとは出来ないんだよねー」

チー「そうなんですよね。何ででしょうか?」

リン「やっぱあれかな? シンクロ率が低いからかな?」

チー「かもしれませんね。流石にカズミちゃんとは波長は合わせにくいです」

リン「おじさんだし……リアル男の子だし……」

チー「案外、私達はすぐ近くで眠ってるから使えるのかも知れませんよ?」

リン「あ、それってつまりスリフィディアが同機してるからって事?」

チー「です。今度、おじさんと一緒に寝てみましょう♪」

リン「今度と言わず、明日試してみようよ♪」

チー「明日ですか? それはちょっと心の準備が……」

リン「ん? 心の準備? ただ一緒に寝るだけだよ?」

チー「えと……リンねぇは恥ずかしくないんです?」

リン「え、なにが?」

チー「ちょっとリンねぇの貞操が心配になってきましたです……」

リン「良くわかんないけど、チーちゃん嫌ならまた今度にするよ?」

チー「嫌じゃ、ないです……むしろ、色々と期待? きゃっ」

リン「うーん、なんか色んな意味でチーちゃんの事が心配になってきた……」

チー「あ、大丈夫です。今夜決行しましょう!」

リン「おっけー♪」

チー「ちょっとドキドキ……。おじさん、まさか私にあんな事やそんな事は……」

リン「さて、そろそろ今日は終わろうかな。ってあれ? もしもーし、チーちゃん?」

チー「え? あ……ごごごごめんなさい! 終わりですね! はい、終わりです!」

リン「あ、戻ってきた戻ってきた。チーちゃん大丈夫?」

チー「はい、いつでもいけます! 覚悟は出来ていますデス!」

リン「え~と……なんの覚悟かは敢えて突っ込まないけど、そろそろ終わるね」

チー「はい。ちょっと早いとは思いますけど、私はもうおさらばです」

リン「なんか話が噛み合ってないような。とりあえず、みんなまたねー」

チー「お休みなさいです! きっと明後日には私、大人になってるかもです♪」

リン「? ま、いっか。バイバーイ」

チー「♪~」



♪(こっちも)御意見、御感想をお待ちしています♪

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