メイド surprise
ちなみに、4人の職業はこんな感じだった。
ユリア……『駆け出しの冒険家』見習い法術細剣士。
レイ………『街の見回り係』入隊したての雑用衛士・全身鎧/大盾。
シン………『ちっちゃな紳士』旋棍使いもどき。
ユダ………『撲殺の暗黒修道士』コーネリア修道女・第十七階位・杖/回復。
カッコ内のはつけている称号らしい。色々と突っ込んでおきたい部分が多いが、あまり詮索するのはやめておくとしよう。でもすぐに誘惑に負けそう。ユダちゃん、その称号はどうやって手に入れたんですか?
「あれ? カズミちゃん、結構ダメージ出てましたね。どうしてでしょう?」
「うん……カズねぇ、実は結構熟練度あがってるのかも」
「え? それはどういう……?」
「お前ら、よくこんな機能を平然と使っていられるな。俺はもう吐きそうだ」
「「「「え?」」」」
戻ってきた俺の言葉に、4人が一斉に驚く。ユダちゃんは……まだ戻ってきていない。もしかすると、ずっとああやって叩いてないとレイ君はすぐに死んでしまうのかもしれない。というか、そういう風に考えておかないと、ちょっとユダちゃんとはこれからうまく付き合っていける気がしません。愛って恐ろしい!
「オートバトルアシストの事だ。昨日、初めてそういうものがあると知り合いから聞いて、今初めて使ってみたんだが……どうも俺にはあれはあわないらしい。凄く気持ち悪い」
「「!?」」「あらー」「あー」
二人がまた驚き、姪の二人は何やら納得している表情。まぁ事情を知っている二人なら当然か。元凶ともいうけどね。
「あの……もしかして、カズミさんは今の今までアシスト機能を使っていなかったんですか?」
「だからそう言っている」
「カズミちゃんの攻撃が思っていた以上に強かったのは、ちょっと納得してしまいました。カズミちゃん、凄く頑張ったんですね」
「そうだねー。熟練度が高くて武器のグレードも上がってないと、カズねぇにはあんな強力な攻撃は無理だからねー。やっぱ、ちょっと放置しすぎたかなー。ごめんね、カズねぇ」
二人の瞳が同情の色に染まっている。それに感化されたのか、ユリアちゃんとシン君も可哀相な人でも見るような視線を俺に向けてきた。
というかマリリン。そんな目をして謝ってきても、全然謝罪になってませんよ? 同情は哀れみです。申し訳ないという思いは欠片も籠もってません。
「別に気にしてないから、そんな風に謝ってくるな。俺は俺でこの世界を存分に楽しんでいるんだから」
「えーと……僕達にはよく分からないんですが、カズミ氏は何か特殊な理由をお持ちなんですか?」
シン君はカズミ氏ときたか。目上だという事はきっちり理解してるんだな。関心関心。
「ねぇ、ばらしていい?」
「うーん……スキル熟練度と使ってる武器ぐらいなら別に良いか。どっちから知りたい?」
「では、スキル名と熟練度の方から」
俺も見るのは久しぶりだな。さーて、いったい幾つになってる事やら。
お! かなりあがってる!
「短剣術、熟練度48だな」
「「「「「「は?」」」」」」
いつのまにかレイ君とユダちゃんも帰ってきていた。俺が攻撃をした事で、そろそろ終わらせていいかなと思ったのだろう。リグボルト君達の死体が転がっていた。その姿もすぐに消えてしまう。あれ、そういえばアイテムの剥ぎ取りは?
「短剣術って……前にも後ろにも何もついていない、あの基本スキルですか?」
「いやいや! それにしたって、48っていうのはいくら何でもおかしすぎるっすよ!」
「アハハ。カズミ氏は冗談が下手ですね。僕だったらせめて20ぐらいにしておきますよ」
「一週間で48……もはや神すらも越えています。現実的に考えなくても不可能な領域です」
え? そういうレベルなの? やばい……ばらさない方が良かったか。
「カズミちゃん……参考までに、武器の方も教えて貰えますか?」
「いや、でも……」
4人の反応を見る限り、こっちももしかしたらヤバイ可能性がある。というか絶対にやばそう。姪二人の目が全然笑っていない。
「カズねぇったら、本当に冗談が下手だよねー。ちなみに武器の方は何て言うつもりだったのー?」
マリリン、棒読みです。怖い怖い。
「……キラーナイフ+13、試し斬りの短剣+7?」
「「「「「「……」」」」」」
あ、やっぱり。驚くというよりも非難色に近い目で姪二人が見てくる。4人の方はというと、笑いを通り越して呆れ顔だった。いや、一人だけ違う?
「キラーナイフって、確かユニークアイテムであるナイフを格上の敵に兎に角使い続けて、但しほとんど敵にトドメを刺さないっていう特殊条件をクリアした状態で修理して手に入る武器っすよね……しかもそれが+13って」
「試し斬りの短剣は、やっぱりあれですよね? 初期装備のお試しの短剣の三段階飛び級昇格バージョン。それをどんな使い方をしたら+7まで鍛え上げられるんですか?」
「ただ、カズミ氏が生粋のメイドプレイヤーだという事は分かりましたね。普通の人は、間違ってもそういう冗談は言いません。分かる人にしか分からない冗談ですから」
俺は姪二人の方を見る。生粋でも何でもない俺には、彼等にどう答えを返して良いか分からない。
「ちょっと失礼しますね、カズミちゃん。その武器をお姉ちゃんによく見せてください」
「ああ……」
普通は他人の装備が何であるかは分からない。見た目は同じでも名称が違っていたりするのは良くあることだ。現に、俺も6人が身につけている装備を街中で見かけた事がある。ササメさんが着ていたみたいなオーダーメイド品でもない限り、そうそうオンリーワングラフィック装備はないだろう。特にそれが武器ならば尚更だ。
素材が違っても、見た目は同じ。+効果があるなら、性能も当然違う筈だ。
「ああ、やっぱり。ナイフ+4とお試しの短剣+5ですね」
「お。結構上がってるっすね。どっちも1回しか鍛え上げられない武器なのに、それで+5とか凄いっすね」
「それとスキルが合わされば、さっきマリちゃんとセンさんが言ってた「意外とダメージが大きい」っていう言葉も納得ですね。カズミさん、まだ初期装備だから転職したてですか? お金を節約するのも良いですけど、もう少しお洒落に気を使った方が良いですよ」
「いつも最強装備状態のユリさんに言われてもなぁ。説得力がありませんよ?」
「これは私のお気に入りだからいいの! ちゃんと買う時には色々と工夫してるんだから」
「カズねぇももう少しお色気振りまこうよっ♪」
「いらん。大きなお世話だ。俺は地味な方が目立たなくて好きなんだ」
「えー、勿体ない」「「勿体ないです」」「勿体ないですねぇ」「勿体ないっすね」
5人の一斉攻撃を受けても俺の心は動きません。あれ、一人足りない……。
「それにしても、カズミって生粋プレイヤーなのにアシスト機能知らなかったんだよな? やっぱ情報遮断しての縛りプレイっすか?」
年下に呼び捨てされた……でも別に気にしてなんかいないんだからね! 可愛い顔してるから許しちゃう。ほんと、顔の可愛い男の子って得だよねぇ。
「それ、私達が原因なの。本当はカズねぇ、このゲームで遊ぶ予定はなかったんだけど、私達が無理矢理お願いしてね。その時にノリで「調べちゃダメ」って言っちゃったんだ」
「まさか今の今までずっと守ってるとは思っていませんでしたけどね。カズミちゃんも、変な所で頑固だから。お洒落にしても、良い方で頑固になってくれるとお姉ちゃんもこんなに心配しなくてすむのに」
「あー、それ分かります。僕の姉も少しそんな感じの所がありますから」
うん、なんとか丸く収まってきたかな? センねぇちゃん、咄嗟の機転ナイスです。でもこれで明日の10時のおやつが戻ってくるなんて思っちゃダメですよー? これはこれ、それはそれです。
「続きは歩きながら話しませんか? 急な遭遇があったとはいえ、ちょっとペースがゆっくりでしたから」
「あ、そうだね。うかうかしてると夜になっちゃう。夜に森の中を歩くのはやだなー」
「洞窟まで行けば夜は関係ないから良いっすよね。んで、抜けた頃には朝がきてるし」
「ここからはもっと敵が強くなっていきますので、気を引き締めませんと」
「レイさん、敵を零さないで下さいよ。洞窟の中までいくと恫喝が効かない敵もいますから」
「おう! 任せるっす! カズミの事は俺が守るっす!」
「それ、ユーちゃんに失礼ですよ。ね? ユーちゃん」
「え? あ、そうですね。レイ、浮気したらおやつ抜きですよ?」
「私のおやつ……」
センねぇちゃん、そんな目で見てもダメなものはダメです。ところでユダちゃん、それって本当に恋人さんに言う台詞ですか? おやつ抜きって、どんな恋人関係なんだよ。
「そういえばさぁ、カズミってマリリンとセンの姉妹なんっすよね? なのに何でそんなに背が違うんっすか?」
「そう言われてみれば……」
「カズミさんはマリリンの姉で、センさんの妹なんですよね? 長女が飛び抜けて背が高いのであればまだ分かるんですけど……」
「ついでに次女はぽっちゃり、三女はちびっ子っすね」
あの三姉妹と同じ設定にしたくねぇ。長女は美人だからいいけど、それ以外はパス!
「それに口調。カズミさんの元ネタは何なんですか?」
元ネタ言うな。俺に設定などあるわけがない! ……ダンディクール系? いやいや、いまのなしなし! すみません、ちょっと調子にのっていましたです、はい。
「いや、俺はだな……」
そんな時、突然に後ろからちょいっちょいっと服を引っ張られる感覚が。
後ろを向くと、何やら神妙な雰囲気のユダちゃんが何か言いたそうな顔を向けていた。しかし待っていても何も言わないので、ちょっと耳を近づけてみる。コソコソ話なら言ってくれるのかな?
「カズミン、もしかして吟遊詩人ですか?」
♪御意見、御感想をお待ちしています♪
リン「リンちゃんと」
チー「チーちゃんの」
「「あとがき劇場スーパー!!」」
リン「わー、わー、ぱちぱちぱちぱち」
チー「ドンドン、ぱふぱふ」
リン「運命の第20話がついにやってきた!」
チー「なんの運命なのかは聞かないであげて下さい。たぶん言ってみただけ……」
リン「前回の引き続きだよ。なぜなにチーちゃんコーナーのはじまりはじまりー」
チー「なんか名前付けられてるし……」
リン「で、どういう事なの? なんで杖は二刀流出来ないの?」
チー「えと……言葉足らずですね。何故、杖は二刀流にすると問題が起きるのか」
リン「うん。私も杖使いだから死活問題だよ!」
チー「リンねぇの場合は別に問題ないと思いますけど……」
リン「そう? ま、それは良いから早く説明お願い♪」
チー「えとですね、杖はほとんどが両手棍武器になります」
リン「系統種の中に片手棍というのがないよねー。なんでだろ」
チー「なんでないのかは別問題として、問題は両手持ち専用武器という所にあります」
リン「両手持ち専用武器だと、何が問題なの?」
チー「両手持ち専用武器の場合、その武器に秘められた効果も両手専用なのです」
リン「でも前回、片手持ちスキル覚えれば片手でも使えるって言ってなかった?」
チー「言いました。でもそれは、もう片方の手が空いている事が前提になります」
リン「どゆこと?」
チー「システム的に言うと、片手で持っているだけで両手持ち扱いという事です」
リン「ん~、わかんない!」
チー「つまりこの場合、杖に秘められた効果を片手でも使えるようになります」
リン「それって、両手棍スキルも効果ありと見なされるって事?」
チー「なのです。片手持ちスキルなのに、両手棍スキルと両立するのです」
リン「なんかすっごくややこしくない?」
チー「ここから更にややこしくなりますよ?」
リン「うへぇ~」
チー「で、ここからが本題。もし空いてる手に何か別の武器を装備した場合」
リン「今までの話の流れからすると、両手棍スキルが両立しなくなるのかな?」
チー「なのです。手が空いてたからまだOKだったのが、今度はNGになります」
リン「あれ? でも私、杖に秘められた力は火玉杖スキルで引き出してるよ?」
チー「そこがまた味噌なのです。基本的に全ての武器は二つの系統種に分けられます」
リン「ふーん、そうなんだー」
チー「その二つの系統種というのは、片手武器、両手武器の二つです」
リン「それって当たり前なような~」
チー「でもそれがこの件の一番の問題点なのですよ」
リン「?」
チー「一部の系統種は、その片手両手武器の系統種依存なものがあるのです」
リン「む……それは初耳だ」
チー「これはネットから得た最新知識なのです♪」
リン「まぁ、まだサービスが開始してから一週間だからねー」
チー「それでですね、リンねぇの杖みたいに武器に秘められた力というのは」
リン「あ、分かった! その力って、専用のスキル依存で発動出来る力だから……」
チー「そういうスキルというのは大抵、片手両手系統種依存になってるのです」
リン「ふむふむ。となると、ユダちゃんの杖が持ってるあの回復の力も」
チー「勿論、スキル依存なのです。しかも両手武器専用のですね」
リン「あー、だからかー。二刀流にするとそのスキルは両立しなくなるから」
チー「当然、その杖で殴っても殴った相手を回復させる事は出来ませんね」
リン「二刀流撲殺ヒーラーの夢、破れたり!」
チー「あー、いえ。まだその夢は破れてませんよ?」
リン「え、なんで?」
チー「両手棍武器で無理なら、同じ力を持った片手棍を探せば良いのです」
リン「あるの?」
チー「さぁ? 少なくともまだ確認はされてませんね」
リン「未来に期待なんだね。いつか見つかると良いね♪」
チー「です。ちなみにリンねぇの場合、叩くだけなら普通に棍棒持てば良いですよ?」
リン「んー、別に私は良いかなー。別に二刀流したい訳じゃないし」
チー「あ、したい訳じゃないんだ……」
リン「ノリだよ、ノリ。その場のノリ」
チー「ノリまっしぐらです……」
リン「あ、もう終わりの時間だ。それじゃ、今回もそろそろ終わるね。バイバーイ」
チー「皆さん、これで納得して頂けれると良いのですが……それでは、さよならです」
リン「また来てねー。また見てねー。浮気しちゃダメだよー」
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