ラーシャSide パズル
パズルを淡々とパズルを説いていくイリューストが、悔しいけど・・・・・・すごいと思った。
あたしならいきなりあんな問題叩きつけられたらやり方がわからなくてパニくるわ。
それに時間制限もあったのにイリューストはその時間制限さえも半分は残してるくらいの余裕で、降ってきては消えた文字、一文字一文字まで何一つもらさずに覚えていた。
認めるしかないのよね・・・・・・。
イリューストは・・・・・・正直バカにしてたけど、凄い。
「待ってー!ここ、下り坂!走っちゃダメだってー!」
こんなに情けないけど・・・・・・。
思わず苦笑した。
町についたころ、空はもう夕闇に包まれて、星がちらついていた。
とりあえず宿屋に入る事にする。
お金は・・・・・・まぁ、なんとかなるでしょ。
「お二人様ね。部屋は分けるの?」
宿屋のおばさんの冷ややかな目に思わず赤面する。
というか、なんで男女なのにわけないとかそういう発想がでてくるわけ!?
「あ、当たり前じゃない!」
「旅人はあんまりお金持ってないだろう?悪いことは言わない。一部屋にしときな。」
カチンとくるけど、同時にホッとしていた。
よかった。全然普通に話が通じるみたいで。
「お金はないけど、多少の宝石類でどう?」
シャラっと少しだけ水晶などを出した。
とたんにおばさんの目の色が変わった。
「・・・・・・!?そんなバカな!あんた達、闇商人かい!出ていっておくれ!」
どうやら“良い物”だってことくらいは素人の目でもわかるみたい。
追い払おうとするおばさんに向かってあたしは叫んだ。
「違うわよ!これはあたしの!本当は骨董屋に売り払ってお金にしようとしてたんだけど、そんな暇なくて・・・・・・。」
「・・・・・・ラーシャ、それ、どこから。」
イリューストも不思議に思ってるみたいね・・・・・・。
まぁ、当然か。
「イリューストは少し黙ってて。」
「・・・・・・わかったそこまで言うならそれでいいだろう。ただし!部屋は一部屋だ!これが違法物だったら容赦しないからね!」
しっかりとあたしのネックレスを握り締めておばさんは言い切った。
どうやらそうとうあのネックレスが欲しいらしい。
だって“本物”だもの。当然よね?
「だから、違法物じゃないったら!」
で・・・・・・結局・・・・・・。
「あぁもぅっ!あのガンコ者っ!何で一部屋に一つのベッドなのよー!!」
鎧を脱ぎ捨てて、壁に叩きつけた。
壁が少しだけ軋む音を聞いた。
こんなひどい扱い受けたのは初めてよ!
しかもネックレスは一向に手放そうとしないしっ!!
「まぁ、落ち着いて・・・・・・ラーシャ。部屋貸してもらえただけでも・・・・・・僕は床に寝るし、ね?」
「当然よ!二人で一緒に寝るなんてそんなの・・・・・・そんなの!間違いがあったら大変じゃない!でも、毛布も一枚しかないのよね・・・・・・さすがに床は冷えるだろうし・・・・・・あぁぁ!もうむしゃくしゃするったらないわ!」
思わず当然よ!と言ってしまったけど、さすがに仲間に風邪を引かせるわけにはいかない。
ただでさえ足手まといはいらないのに、イリューストが推理も使い物にならなくなったら困るもの。
「それよりラーシャ・・・・・・あの宝石、何?」
「それより!?・・・・・・宝石?あぁ、イリューストまでそんなこと聞くの?何度も言ってるじゃない。あれはあたしの私物よ。旅をするから宝石類全部ひっつかんでお金にしようとしてたんだけど、なんせ、あたし達お互いに追われる身じゃない?だから、お金にかえてる余裕がなかったのよ・・・・・・。」
ため息を吐いて、古くさいベッドの上に座り込んだ。
ベッドはギシギシいうし、固いし・・・・・・最低にも程があるわよ。
するとイリューストはマントを脱ぎながら言った。
「よければ、どうして追われてるのかも知りたいんだけど・・・・・・。」
あたしはため息を吐いた。
そうよね、不思議すぎるわよね。
「後少したてばわかるわ。」
そんなこんな言ってるうちにイリューストはあたしの投げ捨てた鎧やマントやらをまとめてくれてるし・・・・・・。
「後少し?」
「そうよ・・・・・・あれは本物の宝石だもの。明日には血眼であたしを捜し回っている奴らがここへ来るかもしれないわ。そうすればわかる事・・・・・・今は言いたくないのよ。まだ・・・・・・ね。」
ふっと外を見た。
火で灯されたランプが窓ガラスに光を反射させている。
「もぅいいじゃない、寝ましょ。」
「え。でも。」
あたしはおろおろしているイリューストをベッドに押し倒すと、ランプを消し、イリューストの上にまたがった。
もちろん小さなナイフを握り締めてイリューストの首に突き付けながら。
あ、今変な事想像した人、殺すわよ?
「これはね、折り畳み式ナイフなの。護身術用に肌身離さず持ってる。だからもし、イリューストが変な気を起こそうものなら遠慮なく殺すわよ?」
「・・・・・・こ、怖すぎるよ・・・・・・。」
イリューストは震えていた。
ま、ただでさえあたしに手を出す勇気なんてイリューストにはないだろうけど、用心に越したことはないわ。
「わかればよろしい。さ、寝ましょ。」
背中合わせにベッドを半分にすると、イリューストがまだ震えてることに気付いた。
どうやら刺激が強すぎたみたいね。
「そんなに恐がらなくてもイリューストがあたしに何もしなきゃ、あたしも何もしないわよ。」
「・・・・・・うん。」
しばらくの沈黙。
「ねぇ、イリュースト・・・・・・まだ、起きてる?」
「うん?」
「イリューストは・・・・・・もし自分が両親だと思ってた人が血のつながってない両親だったら、どうする?」
「そんなの関係ないよ。僕の仲で両親は両親。僕を育ててくれた二人が本当の父さんや母さんだ。ラーシャは違うの?」
「そんなこと・・・・・・ないけど・・・・・・。」
また沈黙。
「ねぇ、イリュースト・・・・・・。」
「何?」
「どうしてあのパズル・・・・・・解けたの?」
「昔、似たようなゲームをしたことあるんだ。それとよく似てたから結構簡単だったよ。」
「あぁ、頭いいのね・・・・・・やっぱり・・・・・・そんな簡単なものがあそこの守りになるわけないじゃない。だいたいそのゲームどれだけ難しいのよ?」
「え?今、なんて?」
イリューストがこっちに向くのを感じた。
ベッドが軋んでうるさい・・・・・・。
「あ、頭いいんだって言ったのよ・・・・・・その、正直、パズルを説いていくあなた、格好よかった・・・・・・わよ。」
心臓が爆発しそう。
恥ずかしい・・・・・・!
「え・・・・・・ありがとう・・・・・・。」
ちょっとあたしより余裕そうな声が聞こえて、ムカついたので、枕をぶんどって1人で占領した。
「ちょっ!」
イリューストが少し起き上がったみたい。
吐息が耳に掛かってるわよっ!
あぁ、どうしてあたしばっかりこんなに余裕がなくならなくちゃいけないの!?
ムカつくムカつくムカつく!イリューストのクセにっ!
すると、イリューストがクスリと笑って動いた。
「ちょっと、動かないでよ、うるさいわ。」
「うん、おやすみ。」
それから先の記憶はない。
どうしてイリューストがクスリと笑ったのかもあたしにはわからない。
翌朝、小鳥の声がした。
あら、なんか温かい・・・・・・し、固いわね。
こんなに固かったら腰が痛くなっちゃうわ。
ここのベッド、本当になんとかならないかしら・・・・・・。
「んん・・・・・・。」
目を擦ったら飛び込んできたものに驚いて悲鳴を上げた。
「きゃぁぁぁぁぁああぁぁぁあああ!!」
作「……なんとか復活……。」
ラ「まったく!なんとか復活じゃないわよ!?何よ今回の終わり方!なんでまた散々な終わらせ方にするのよ!?殴るわよ!?」
作「ちょ……ぎゃんぎゃん騒ぐな……頭が……。」
ラ「そういえばあなたの書く小説ってドSとかドMとかSM?っていうの?ないわよね。」
作「あなたがSキャラですよ……。」
ラ「なんですって!?」
作「ぎゃぁあああ!!襟つかむな~!暴力はんたーい!!」
ラ「うっさいわね!作者の癖に小説(おまけ上)で性格偽ってんじゃないわよ!というか偽る必要性がどこにあるのよ!」
作「あるよ!ありまくるくらいあるよ!作者がぼそぼそ系だったとしてみろ!」
(想像中)
作「初めまして……。」
ラ「は、初めまして。(暗!&怖!)」
作「えっと……。」
ラ「なによ?早く言いなさいよ。(あぁ~もう、イライラするわね!)」
作「えっと……ラーシャさんのお好きなものは?」
ラ「お見合いじゃないんだからその質問のしかたはないでしょ!」
(以上妄想終了)
作「どうだ!」
ラ「今もウザイけど、予想以上にウザイわね……。」
作「おいこら、口が悪いぞ……。」
ラ「あたしの設定をフリーにしてるからでしょ?」
作「……今すぐ本当の素性と本名を言ってもいいんだぞ~?」
ラ「い、言えるものなら言ってみなさいよ。あたしはあなたの中の小説キャラなのよ?後で困るのはあなたじゃない。」
作「よし、ラーシャの本名はミシェ……むぐっ!!」
(口を手のひらで押さえつけられた状態です By作者)
ラ「きゃーきゃーきゃーきゃー!!!」
作「で、本当の姿は……。」
ラ「やめろって……言ってるでしょ!!」
作「いたたたたたた!!」
ラ「信じらんない……本当にネタばれしようとする作者がいる?」
作「べつにさせようとしてないよ?」
ラ「プチッ……人をからかうのはやめなさい!」
作「プチって……いいや、これ以上悲惨なことになるまえにさよなら~!」
ココまで読んでくださっている読者様、ありがとうございます。