ラーシャSide 悪夢?
朝、太陽の日差しで私は起きた。
「ん?んん・・・・・やだ・・・・・・あたし、ずいぶん寝込んじゃってたのかしら。」
起き上がって朝の支度を済ませると朝ご飯でも・・・・・・作ってみる?と唐突に思い立ち、パンを軽く焼いて、お茶を用意した。
正直、スープとかサラダとか欲しいけど、あたしが切ると笑われるのよね。
パンなら失敗もしないし、いいでしょ。
ダルキリは絶対起きてないだろうと思い、ダルキリを起こしにイリューストとダルキリが眠る部屋の前に立った。
「ンゴォ・・・・・・グワッ・・・・・・ガガッ・・・・・・。」
あたしは思わず魔物でもいるのかと構えたけどそんなはずないと思い直して扉をノックした。
というか、グワッてどんないびきよ?
「イリュースト?ダルキリ?起きてる?」
反応はない。
「開けるわよ?」
二人は爆睡中だった。
ダルキリ・・・・・・お腹冷やさないのかしら?
お腹、丸出しよ?
「ンゴゴゴゴ・・・・・・。」
・・・・・・にしても・・・・・・こんなうるさい奴の隣で寝たなんて、イリューストに少し同情するわ・・・・・・。
もう少しイリューストの言うことに耳を傾けてあげるべきだったのかもしれない。
「イリュースト?」
イリューストを覗いたらかなりうなされているような顔をしている。
うわぁ・・・・・・そんなに酷かったんだ・・・・・・?
「・・・・・・苦しい・・・・・・魔物に・・・・・・襲われるぅ・・・・・・。」
その上、悪夢にうなされてるの!?
「イリュースト!イリュースト!イリュースト!」
あたしはイリューストを揺すった。
「ん・・・・・・あれ?ラーシャ?」
「イリュースト・・・・・・朝よ?あなた、うなされてたわ・・・・・・。」
「え・・・・・・?あ、本当・・・・・・?」
イリューストは眠そうに目をこすりながら起き上がった。
しかも、いつ着替えたのやらイリューストは、ダルキリの服を着ていた。
するとイリューストはあたしを目の前に着替え始めた。
「っ!?キャァァァアアアア!?バカバカ変態!レディーを前に何脱いでるのよ!?」
恥ずかしくて隣のベッドに顔を埋めるように顔を伏せたら、声が聞こえた。
「んん?」
「え・・・・・・?」
顔を上げたらダルキリとバッチリ目が合った。
「俺の寝込みを襲うなんて、ラーシャ・・・・・・大胆・・・・・・ま、俺的には全然構わないけどね。」
あたしはこれ以上ないってほど赤面した。
「イヤァァァァア!!違うわよバカァァアア!!」
あたしはあわてて部屋の外へ出た。
今回はさすがに二人を殴るってわけにはいかなかった。
イリューストは寝呆けてたし、ダルキリのベッドのところにあたしが逃げ込んだのも事実だ。
「あぁもぅ・・・・・・最低だわ・・・・・・。」
顔から煙があがるんじゃないかと思うほど暑い。
これ、今日の気温が暑いんじゃないわよね?
フーッと息を吐き出すともう一度扉をノックしてその場で叫ぶように言った。
「先にパン食べてるわね!」
そしてあたしが朝食をとり終わった後、男子約二名がバタバタとせわしなくおりてきた。
「ラーシャ!その・・・・・・ごめん!」
イリューストは顔が赤くなっている。
どいやらあたしの悲鳴ですっかり目が覚めたらしい。
というか、もうその話はしないでほしいわ!
「寝呆けてたし、仕方ないんじゃない!?」
「でも・・・・・・。」
「もういいったら!」
「いやー、しかしまさかラーシャから俺を襲いにくるなんてな!」
「行ってないわよ!はい!もうその話はおしまい!わかった!?」
ダルキリ、しつこいわよ!?
あたしはバンッと机を叩くようにしてパンが入っているお皿を二人の前に出した。
そして、すぐにあたしは、二人より先に食事を済ませたので部屋に戻り、一通りの準備を済ませた。
鎧も慣れた手つきで着ていると、ガシャガシャという音が部屋に響く。
「ラーシャ?」
「ノック、忘れてるわよ。」
まだ扉こそ開いてないものの、またなんかあったら困るので注意をする。
「ああ、そうだった・・・・・・ラーシャ?もうそろそろ行く?」
「ええ、だからもう支度をして。」
あたしは扉を開けた。
風が頬を掠めていくのを感じた。
「了解。」
イリューストは笑った。
よく見るともう支度は二人ともできていた。
「そんなに出発が待ち遠しかったの?」
「おう!」
「そういうわけじゃないんだけど・・・・・・。」
ダルキリとイリューストはまた同時に言葉を発すると互いを見合せた。
「早く旅に出たくねーの?」
「安易に危険な場所にはでたくないね。でも、ラーシャがきっとそろそろ準備をしろって言うと思ったから。」
犬の散歩でも行くかのようなダルキリと、頷きながらあたしを見るイリュースト。
ふーん。本当に正反対なのね・・・・・・この二人って。
息はよくあってるからお笑いコンビにでもなるのかしら?
「どうでもいいわ、準備が出来ているなら出発しましょう、ああ、それとイリュースト?旅に出たくないならこの家にずっととどまってるって手もあるのよ?」
「ラーシャ!それはあんまりだよ!僕は・・・・・・。」
そう言い掛けて手の平を握ってしまったイリューストを見て、禁句だったとあたしはため息をついた。
イリューストがどこかに留まるってことはまた失われるかもしれない命があることと、旅をしながら自分の命を狙ってる奴は誰なのかを探すことも目的だったわね。
何よりもイリューストの過去が厄介なのよね・・・・・・。
あたしはイリューストの手を取って、イリューストの目を見ながら言った。
「冗談じゃない。本気にしないでよ・・・・・・イリューストがいなかったらきっとあたし達洞窟のあのパズルみたいな場所で迷っちゃうわ。」
「・・・・・・僕は僕がわからないよ・・・・・・。」
イリューストはわけのわからないことを言って悲しげに笑った。
「あなた、バカなの?わかるわけないじゃない。自分が何者なのかなんて。」
そうよ、あたしだって結局何もできない無力な人間だったわ。
その上こーゆー世界において、無知だって事もわかったわ。
こんなこと、わかりたくなかったけど・・・・・・。
「ラーシャ?」
イリューストもダルキリもあたしを見ている。
あたしはイリューストの手を離すと少し困ったように笑った。
「あたしの存在は・・・・・・あたしだけで、誰かの役に立ててるのかしらね。」
『何言ってるんだよ!』
イリューストとダルキリの声が重なった。
またお互いを見合せてるし・・・・・・本当に息、ぴったりなのね。
「フフ・・・・・・やだ、あなた達、やっぱりお笑いコンビになるべきだわ。」
笑ったあたしを見て特に反論もせずに二人も笑った。
「さ、ほら、行きましょ!」
少し本屋に立ち寄ったりして、たまに危なかったけど、あたしが捕まることはなく、無事に洞窟までたどり着いた。
作「時間がない。以上さくさく終わらせます。」
ラ「なによ、いきなり。」
作「今回イリュが悪夢を見た。以上!」
ダ「俺も混ぜろ~!!」
作「もうやめてくれ~終わるんだ~!!強制終了失礼しまーす。」