ラーシャSide 末裔
最低なことに着替え中に現在床に座り込んでいる男子二名が入ってきた。
あり得ないったら、信じられないわ。
まぁ、いつまでも怒ってたって仕方ないのよね。
あーあ、女の子の旅仲間、増えないかしら。
こんな男ばっかりのむさ苦しい旅はごめんよ。
早く新しい仲間を増やさなきゃ。
まぁでも、戦える戦力が増えることは良いことだものね。
こういうハプニングさえなければ・・・・・・。
「で、用件は何?」
「用件・・・・・・ああ!用件はね!ダルキリの事なんだ!」
これで二回目の変態さんがダルキリと呼んだ変体さんの荷物ごとあたしに差し出してきた。
思わずケッと言う感じに鼻で笑いそうになったけど、それをなんとか堪えて咳払いを一つしておにぎり型の巨大な荷物とダルキリを見た。
「これが?」
「これが?って・・・・・・荷物の量だよ!何度言っても減らしてくれないんだ。」
いつもながら困り顔でイリューストはあたしに訴えてくる。
「何度も?俺は一回しか聞いてないぞ?」
ダルキリはイリューストを見て顔をしかめていた。
「ダルキリは一回しか・・・・・・と思ってても僕は何回も言ってたんだ!」
あら、珍しい・・・・・・イリューストが怒鳴ってるわ。
まあ、それでも全然困ってるような言い方だけどね。
「なんだよそれ。遠回しすぎてむしろわかんねーだろ。」
困っているという荷物を眺めた。
「別に構わないんじゃない?テントがあれば少しは旅も楽になるでしょ。」
「ラーシャ!?」
ウソだろ?みたいな目であたしを見るイリューストの瞳がキラキラしていることから、ああ、焦ってるんだなぁ・・・・・・と思った。
「だって別にあたし達が持つわけじゃないんでしょ?この荷物、ダルキリが1人で持つのよね?」
「まぁ、その予定・・・・・・だけど。」
ダルキリはためらいがちに頷いた。
きっと押し付けみたいなあたしの言い方にショックを受けたのだろう。
いざとなれば手伝うわよの一言でも欲しかったのかもしれないけど、あたしの場合、そうはいかないわよ。
「何固まってるのよ、イリュースト。いざとなれば売れば良いじゃない。市場に出して怪しくない荷物が増えるのはあたしにとって有り難いことだわ。あたしの荷物は・・・・・・市場に出すと本物だし高価な物だから足が着きやすいのよ。」
「でも・・・・・・。」
「ダルキリ・・・・・・だったわよね?荷物の中身を見せてもらえる?」
「ああ・・・・・・。」
広げた荷物は服や食料の山。
確かに着替えは欲しいけど一着あれば十分じゃない。
洗濯して交互に着まわせば全然問題ないわよ。
だいたい・・・・・・できるだけかさばらない服を選ぶのが鉄則でしょう?
あたしが来ている鎧は内側が特殊加工になってて暑さも寒さも通さないからあたしがこんなノースリーブに短いズボンやスカートといった下着みたいな格好でも大丈夫なわけだけど・・・・・・。
長袖とこの首本の長いノースリーブとズボンと靴下があれば問題ないじゃない。
「ん?これはハンカチかしら?」
ひらりと持ち上げた布切れは下着だった。
「・・・・・・いやぁぁぁああぁぁあ!!」
思わず放り投げてしまったのをダルキリが慌てて取りに行った。
「ひでえなあ・・・・・・人のパンツ放り投げるなよ!」
「だって・・・・・・だって男物の下着よ!?」
「そりゃ女物の下着が入ってたらおかしいし、そっちの方が気持ち悪いだろ?」
そりゃ・・・・・・そうだけどっ!
あたしはうまれてこの方、男物の下着を触ったことも実物を見たこともないのよ!?
「と、とりあえず!下着一着、ズボン、長袖、ノースリーブ、靴下それぞれ一着以外いらないし!こんなに大量の食糧もいらないわよ!腐っちゃうじゃない。野宿って言ったって次の町につく道程のほんの2日、3日だけよ?あとは売りに出せないし、持っていっても意味ないわ!」
ふいにあたしの目に止まった巨大なダンベル。
これでダルキリは何をしようというのだろうか・・・・・・。
「このダンベルは?」
持ち上げようとしたらびくともしない。
あれ?おかしいわね。少しは鍛えてるはずなんだけど・・・・・・。
やっぱりびくともしない。
決まりこれは・・・・・・。
「これ?これはこうやっていつも大剣を振るかわりにこれを振って鍛えてんだ。」
あたしが触ってもびくともしなかったダンベルを簡単に持ち上げてダンベルを縦に持つと降り始めた。
「却下!」
あんなの冗談じゃないけどダルキリが怪我したときに誰が持っていくのよ!?
「ええー!?」
「ええー!?じゃない!邪魔なだけじゃない。それにこれからはそんなので鍛えなくても大剣が嫌ってほど振れるわよ。」
結局、ダルキリの荷物は小さな袋一つ分にまとまった。
あれ、そう言えば背中に背負ってる大剣以外の武器類や装備品がない。
「ダルキリ、あなた・・・・・・鎧は?」
「鎧?鎧なんかいらねーよ。俺にはこーゆー力もあるし。」
そういうとダルキリは何もない手の平から炎を出した。
ロウソクの炎のようだし、なんか小さいが・・・・・・これまたすごい人と出会ったのかもしれない・・・・・・。
「魔法使いね!?」
これまた昔に聞いたことがある。
特殊な能力をもつ民達がそれぞれに集まり、生活している国があると。
その特殊能力を持つ人々をあたしたちは“魔法使い”と呼んでいる。と――…‥。
「魔法使い・・・・・・って言われたこともあるけど違うかな。俺らここの民は皆“炎使い”なのさ。」
何が言いたいのか良くわからないけど、炎関連以外は特に何もできないってこと?
「何?つまりは攻撃はできても傷の治癒はできないって事?」
あたしはあきれながらダルキリを見た。
ダルキリはニッと笑って言った。
「大正解。魔法使いみたいに呪文なり何なり覚えればなんでもできるってわけじゃない。俺たちの民は炎以外の攻撃も薬草以外の治癒の仕方も知らないんだ。」
「そんなの・・・・・・あたし達には使えない力が使えるんだからそれで十分じゃない。あたし達からすれば魔法使いよ。ね?」
イリューストを見るとイリューストは頷いた。
「居たんだ・・・・・・本当に存在したんだ!特殊能力者!僕、初めて見たよ。」
イリューストは瞳を輝かせながらダルキリを見ていた。
珍しく本当に興奮しているらしい。
ダルキリはそんなイリューストを見て言った。
「お前、目・・・・・・光ってるぞ?」
あたしはその瞬間イリューストに目隠しをした。
「うわっ!?ラーシャ!?何するんだよー?」
「お、おほほほほほほ・・・・・・。」
あたしはただ焦っていた。
そうだった・・・・・・イリューストのダイヤモンド・アイはイリュースト本人でさえ知らないんだった!
もし今ここでダイヤモンド・アイがまだ生存する事を世間に公表して御覧なさい。
とたんにイリューストを殺そうと狙う奴は増えるわよ?
ただでさえイリューストは命を狙われてるのに、これ以上あたしも含めて、問題が増えるのはごめん!
「ラーシャ!ラーシャってば!手が痛いよ!離してよ!」
イリューストがじたばた暴れるのがいけないのよ・・・・・・。
「ラーシャ!」
「え・・・・・・?」
イリューストはあたしの手を振りほどいた。
あれ?イリューストにこんなに力があるとは思えないんだけどな・・・・・・まあ、あたしも本気じゃなかったし、いっか。
眉をしかめながらあたしを見下すような威圧的なイリューストは・・・・・・怖くはないけど初めて見た。
そっか・・・・・・イリューストの方があたしより10センチくらい背が高いんだもんね・・・・・・同じくらいかと思ってたわ・・・・・・。
「なんかラーシャ変だよ?なんで僕のこといきなり目隠しとかするの?・・・・・・結構痛いし・・・・・・。」
「あ、それはねー、なんとなく・・・・・・よ。そう!なんとなく!目隠しとかするのって楽しいじゃない!子供の頃、よくやらなかった?あ!あたしは祖母とかとそうやって遊んだことがあるわ。」
無理にも程があるかしら・・・・・・普段ならもう少し冷静に事実を加えながら嘘をつけるんだけど・・・・・・今回ダイヤモンド・アイにはまだ全く触れちゃいけないし・・・・・・。
「わっ!」
すると、いきなり目の前が真っ暗になった。
たぶんあたしは目隠しをされているのだとわかった。
「キャッ!や、やだ!ダルキリね!?ちょ、ちょっと!どこ行くのよ!」
あたしが暴れてる間にもダルキリは移動していく。
「確かに楽しいかもなー、じゃあ、ちょっとかりてくわー。」
「え?ちょっと・・・・・・。」
イリューストの声が聞こえた。
「や、ちょっと・・・・・・・離せぇえ!」
目の前が見えなくて、暴れてもびくともしない。
しかも足元か確実にさっきいた場所から離れてる。
こーゆー感覚って凄く怖い。
パッと手が離れたとき、さっきいた部屋の外側にいた。
「何するのよっ!」
「シー。」
ダルキリは人差し指を当ててあたしを見た。
あれ?もしかしてこれって・・・・・・あたしが助けられたってパターンなのかしら?
でも、あたしの嘘、そんなに見るに耐えなかった!?
「あ、あの・・・・・・一応、ありがとう・・・・・・。」
「ん?それより・・・・・・あのドヘタな話の逸らし方は何?」
う、ドヘタって・・・・・・仕方ないじゃない!
「うるさいわねっ!」
ダルキリは今度はあたしの口に人差し指をつけた。
どうやら会話を中にいるイリューストに聞かれたくないらしい。
「あれはあいつを俺から遠ざけているようにも見えた。どういうこと?旅仲間になるんだし、教えてくれよ。」
あたしは仕方なくダイヤモンド・アイの話をした。
「・・・・・・ふうんで、本人はなんもしらないの?なんでそんなんで旅してるわけ?知らないなら親元にいればいいじゃん。」
「ダイヤモンド・アイに関してはあたしも確信がとれてないのよ。それよりも知らないの?イリューストの両親は・・・・・・。」
ハッとした。
イリューストはあたし達のことをダルキリに話したと言った。
なのにダルキリがイリューストの両親のことも・・・・・・それどころか旅の理由も・・・・・・知らない?
・・・・・・やっぱり言いたくないわよね。
ううん・・・・・・思い出したくない。
ならあたしも言わないほうがいいのかもしれないわ・・・・・・。
「・・・・・・確か両親は旅行好きだったのよ!だからイリューストは家でお留守番してて、そのお留守番してる間に変な奴らが来て、そいつらはたぶんダイヤモンド・アイに関係してるんだろうと思うけど、イリューストの命を狙ってて、あたしと一緒に旅しながら逃げる事に決めたんじゃないかしら?あたしはイリューストじゃないからよくわからないわ。」
本当よ・・・・・・ダイヤモンド・アイに本当に関連してるのかもわからないの。
あたしはイリューストじゃないし、どうして狙われてるのか、どうしてダルキリに、あなたに・・・・・・故郷の事を言わなかったのか、わからないの。
わからないのよ・・・・・・。
「ふうん・・・・・・あいつも大変って事か。」
あ、あら?案外納得してくれたみたい?
「細かい事情はどうであれ、命を狙われてて、もしかしたらダイヤモンド・アイっていう珍しい瞳をもつ民族の末裔かもしれねーと。」
「簡単に言えばそうなるわね。」
「了解。」
ガチャリと扉を開けて部屋の中へとあたし達は戻っていった。
作「ダルキリ~?ダルキリ!」
ダ「うおっ!?なんだよ、人が昼寝してる時に!」
作「なんだよ!じゃない!始まってる!」
ダ「んあ?ああ、今回は俺一人なの?」
作「あんたが出せっていったんでしょうが!」
ダ「それよりかさ~俺のサイドとかいうのも作ってよ~。」
作「作る予定だけど。番外編として……。」
ダ「番外編かよ!」
作「当然でしょ。だってアンタのキャラは下手すると主人公のキャラ食っちゃうもん。」
ダ「食われちまえ~ワッハッハ!」
作「まじで食われそうだからやめて。」
ダ「食われないようにはなってんだろ?」
作「まぁね……あんたはちょっと抜けてるってことにしてあるし、テンションがすっごいおかしくなるときがあるから、そこにあんまりシリアスは入れないようにしてるけど。」
ダ「なんで?人間なんだからずっとハイテンションはきついものあるぜ?」
作「そこにシリアス入れたらマジでキャラ食われるからだよ!」
ダ「うわ、怒るなよ。短気だなぁ。」
作「(短気だなぁじゃねーよ!)まぁ、作者のこのキャラも少し手を加えてるからな……。」
ダ「少し?」
作「はいはいはいはい!とてもです!とても!!」
ダ「だから怒るなって!」
作「誰のせいだと思ってる!?」
ダ「それよりかさ、作者ってこのキャラは、男?女?」
作「どっちとも取れるようにしてある。だから、女と言われても否定しないし、男と言われても否定しない。」
ダ「めんどくせ~から決めた!中性だ!」
作「やめろ!!」
ダ「中性!」
ピ――――
(少々見せられないシーンが発生いたしましたので、今回はココまでとさせていただきます。ありがとうございました。)