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前科部!  作者: 蛇猫
そして前科者『上里祐也』は鳥好きになった
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菖蒲月のカラスとセッカ

すいません!色々と忙しく、今回は文字数少なめです。

予めご了承下さい。


教室からは歓喜に満ちた声や、悲哀に染められた叫び声が

あちらこちらから聞こえて来る中、私の名前が勢いよく呼ばれた。


「勘解由小路!」


「......あ、はい」


そんな彼ら、彼女らとは対照的に感情を昂らせることなく

私は呆けた様子で椅子に座っていた。


「出席番号順に取りに来るよう言っただろ!」


「すいません。眠たくて」


教師と目を会わせないようにしながら、私は適当に言葉を返す。


「眠い? 授業中に眠いとはどう言うことだ!」


「先生、後ろつっかえてますよ」


「ぐぬぬ......さっさと持っていけ!」


強引に押し付けられた紙切れを受け取ると、私は机へと戻る。紙切れの

下の枠には三桁満点の数字が書いてあった。


「......うん」


数字の横には『理科』という文字が書いてある。何時も通りの点数だ。

理科は得意教科なので満点以外を取るなんて真似は出来ない。

自分のことなどどうでも良いのだ。只、気掛かりなのは理科を苦手とする

彼のこと。一応、基礎的なところから応用問題まで一緒に勉強をしたので

恐らくは大丈夫だとは思うが。


昼食の時間がやって来た。給食を学校側から買う方法も有るのだが

何せ味に難が有るので、私は自分で作ることにしている。彼は中学に

入ってからと言うもの、共働きの親に無理はさせられないからと

コンビニでパンを買っていたようなのだが、毎日パンを買っていると

栄養が偏るのも勿論のこと、パン一つを140円と仮定し、それを3つ

買うと計算すると10日で5200円の出費になる。


流石にそれは駄目だと思い、私が弁当を渡すようにし始めたのだが

今日のメニューは喜んでくれただろうか。クラスが違うので

リアルタイムで味の感想を聞けないのが残念だ。今日の弁当の具は

昨日、私が作った煮物の残りと小松菜のごま和え、鰆の西京焼き、と

シンプルな物だ。彼の嫌いなものは恐らくは入っていない筈なので

喜んでいると信じよう。まあ、たまに嫌いなものも少量入れてやるが。


「なあ、お前の好きな人誰なんだよ~」


「いや、だから居ないって!」


「でも、アイツが居るって言ってたぞ?」


「は!? 何でアイツバラしてんの!?」


黙々と弁当を食べていると、同じ班の者達がそんな話題をし始めた。

全く持って馬鹿らしい。何故、皆人が誰に好意を持っているのかを

知りたがるのだろうか。私は其処に何の娯楽性や利益も見出だせない。


「雪加は好きな人居ないの~?」


すると、突然班の女子が私へとそんな会話を持ち掛けてきた。

何時も、私をからかったり嫌がらせをして笑っている者だ。


「......別に」


私が端的に返答し、箸を使い始めると周りでどっと笑いが起こった。


「え、居るの? マジ、誰!?」


「勘解由小路、好きな奴居るらしいぞ」


「は? マジかよ......」


誰もそんなことは言っていないのにまるで、私に思い人が居るのは

決定事項だとばかりにその話題に周囲の人達が沸く。


「私はそんな発言していない。勝手な推測だけで物事を決めつけないで。

 根も葉もない噂話を立てられても困るし」


私の言葉は刹那の静寂を呼んだ。しかし、次の瞬間には


「え~でも、絶対に居るでしょ」


そんな言葉を投げ掛けられた。結局この者達は私に好きな人がいることにして

自分達で騒ぎたいのだろう。中学校では周りの小学校の児童達も一緒の

中学校に進学したのだが、そんな今も私は根暗でつまらない人間

ということで通っている。それでもまだ、小学校より虐めはマシになった。


と、言うのもあまり目立つように私を虐めると他の小学校から進学してきた

者達に何かを言われる恐れが有るためだ。私を虐めるのは普通のこと

という暗黙の了解が全員に行き届いていない状態でそんなことをすれば

逆に虐めている側が浮く。まあ、それでもじわりじわりと私の悪印象は

根付いてきているのだが。


そんな嫌われ者というべきか異端児の自分が好意を抱く人物、というのは

絶対に話のネタになる。それが彼ら、彼女らの狙いだ。


「そう思う、根拠は何?」


そう簡単に奴らの思い通りになるものかと思い、私は空気を

白けさせることを目的として冷静に返答をした。


「あ、それなんだけどさ雪加って上里と良く一緒に居るよね」


ポツリと呟いたのは私とは別の小学校から進学してきた女子生徒。

何気ないその言葉に目を光らせた者がいた。


「そうそう! 私さあ、雪加と同じ小学校なんだけど前からずっと

 雪加って上里と居るのよね!」


......やられた。その話題を持ち出されたら私にはもう打つ手が無い。

先程よりも一段と沸く生徒たちを横目に私は少しでも早く昼休みになることを

願わずにはいられなかった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「すいませんでしたぁぁ!」


放課後、私は知らぬ所で私の恋人扱いを受けている彼に

大きな声で謝られていた。


「言いたいことは、それだけ?」


「次からは、次からは頑張りますからどうか、どうかお許しを!」


彼が何故、私にこんなに謝っているのかというとそれは彼のテストの

点数に関係する。週3で勉強し、テスト週間は毎日私が付きっきりで

教えたと言うのに彼は理科で100点満点中72点を取ったのだ。


「中学1年生の一学期の中間テストで72は祐也......流石にヤバい」


得意教科の社会と国語は共に96と88と中々の高得点だった様なのだが

数学と理科は75と72......はっきり言って、最低では無いものの悪いと言える点数だ。


「っ......本当にすまん。わざわざ雪加が自分の勉強の時間を

 削って教えてくれていると言うのに」


「私の教え方が悪かった面も有るだろうから、そんなに気にしなくて良い。

 また、夏休み明けのテスト頑張ろ。そんなことより、今日の弁当は

 どうだった?」


私がそう言って慰めると、彼の顔に笑顔が戻ってきた。


「滅茶苦茶旨かった。煮物は生姜の風味が効いてる上に蒟蒻の臭みが無かったし

 小松菜のごま和えもごまの味が結構しっかりしてて旨かったな。西京焼きも

 白飯との相性抜群だったし、雪加料理上手だよな」


「私が居なくなっても、ご飯くらい作れないといけないから今度

 料理も教えてあげる」


「いや、お前は俺の母親か何かかよ......」


兎に角、今日の私の料理も好評だったようで安心した。

私は料理が好きな訳では無かったのだが、彼の健康と笑顔のためと思えば

不思議と楽しくなってきて、今では趣味と化している。


「ねえ、祐也」


「何だ?」


「私、点数がどうであれ祐也に勉強頑張って教えたから褒美が欲しい」


私の言葉を聞いた彼は随分と戸惑ったような、困ったような

表情を浮かべている。


「褒美って......具体的には?」


「祐也と一緒に行きたい場所が有るから、其処に明日の

 土曜日にでも行きたい」


彼を私のペースに飲み込んでしまえば、此方の物。彼は私のペースに

飲み込まれて、拒否できたことは一度も無い。


「行きたい場所?」


鉈蛇公園(なたへびこうえん)


「鉈蛇公園って......ああ、あの結構デカイ緑地公園か。

 野球場とかがある」


鉈蛇公園......何度聞いても、美しく格好いい名前の公園だ。


「そう、其処。其処に行きたい」


「あんな所、行ってどうするんだよ。まさか、散歩でもしようって

 言うんじゃないんだろ?」


散歩......あながち間違いでは無い気がするが。


「行ったら分かる。で、どうなの?」


「いやまあ、テスト対策では世話になったし行くけど」


想定通り、彼は嫌がることなく話に乗ってきてくれた。

彼とももう、3年以上の付き合いになるのだ。扱い方は心得ている。


「そう。じゃあ、明日の朝6時に起こしに行くから宜しく」


「おう、りょうか......朝6時!? そんな早くなくて良いだろ」


「駄目。朝6時」


私は彼へと身体を近付けて、念を押した。


「わ、分かった。分かったからあんまり近付くな。今日も俺とお前が

 付き合ってるだとか言ってからかわれたんだからな」


彼は迫った私の身体を手で押して、体から離した。


「奇遇。私もそんな感じのネタでからかわれた」


「やっぱり、端から見たら俺達ってそう言う風に見えてるらしいな。

 変な噂が立ってもアレだから、暫く一緒に登校するの止めるか?」


その言葉に私はビクリと反応した。彼なりに私がからかわれたりして

傷付くことを危惧してくれているのだろうが、彼との登校は私の数少ない

楽しみなのだ。それが例え、生徒たちの興味が別のことに逸れるまでの

僅かな期間であっても別々に登校するなど考えられない。


「私は周りに何を言われたとしても祐也と一緒に行きたい。

 祐也と一緒に居ると楽しいし。駄目?」

 

「や、お前が良いなら別に良い。どうせ、お前以外との俺の交友関係なんて

 無いようなもんだしな」


「そっか。じゃあ、兎に角明日は宜しく。起きなかったら部屋まで突入するから」


「プライバシーも何も無くなるような発言やめろ。分かった。じゃあな」


そうして、彼とはマンションのエントランスで別れた。明日は

楽しくなりそうだ。


ヒュゥゥゥドロドロドロ~。うらめしや~。どうも、守護霊がどんなのか気になる蛇猫です。

今日は元気なので本編をあまり書けなかった分、後書きをダラダラと

書かせていただきます。


......えーと、そうですね。何を話しましょうか。そだ、一月の総アクセス数が

969アクセスになりました。因みに初投稿の4月は総アクセス数が32! 

凡そ、30倍です。ありがとうございます!


話したいのはそのくらいですね。少し早いですが(当社比)そろそろ後書きを

終わりましょう。


『前科部!』を読んで頂き、ありがとうございました!

感想、評価、ブクマ、レビュー、待ってます!

Twitterも『翼蛇猫:前科部 小説家になろう 』としてやっているので良かったらどうぞ!







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