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第二十一話 失墜への第一歩

「あれは和解派の旗じゃないか!」

「ついに俺達も助かったぞ!」

「これで妻や子も浮かばれるであろう。」


一気に霧が晴れ日光が降り注ぐ丘には和平派軍の旗が高らかと靡いていた。

避難民や兵士は両手を振って喚起に満ち溢れた。

しかし中にはこれを不審に思う者もいた。

というのも。


「あの旗は和平派の中の界政党の党旗だろう? 和平派の統合軍旗は青に枇榔色びろうしょくと金の一文字のはずだろ? なんでこんなとこに…。」


そんな中で指揮官室に一人、アビオンがいた。

彼は卓球台ほどのテーブルの上に地図を広げ、コンパスと鉄でできた三十センチ定規方位、距離などを測っていた。


「界政党衛士本部は直線距離で約百二十キロ。途中、ヴァルハ街道を抜けるから距離は約二百三キロ…そして主戦派との開戦が六日と七時間前で…ありえんもし界政党が救援に来たのならば和解派は開戦を予知していたことになる…。」


つまりこの短時間での行軍はまず不可能、つまり界政党が敵方に周ったということになる。

あれは見方などではない見方の皮をかぶった狼だと皆に気づかせねばならない。

アビオンは吸っていた葉巻を地面に投げ捨て足で踏みにじった。

そして軍服の第二ボタンまでを開けると全力で階段を駆け上がっていき瞬く間に外壁上へとあり付いたのである。


「皆、よく聞け! あれは味方ではない。界政党は完全に主戦派に周った。」


アビオンがそう言いはなった途端辺りの空気は絶望に染まった。


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