表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
208/285

208話 壁の強度


 さらに塔を上る俺たちは、31階へとやってきていた。見取り図にあった通り、大きな変化がある。個室のような物がずらっと並んでいたのだ。


 しかし、それだけではない。


「なんだ? 壁?」

「私たちは問題ないですけど、他の子たちは通り抜けられますかね?」


 階段の先は、小さな部屋になっていた。そして、その入り口と思われる場所は非常に狭くなっている。


 元々そういう作りなのではなく、壁のような物が上から降りてきて、入り口の上半分を塞いでしまっていたのだ。


 防火扉とか、そんな用途のものであろう。調べてみると、相当に分厚かった。


「俺たちは通り抜けられるな。モンスターたちはどうだ?」

「オフ!」


 コボルトの狙撃弓兵、コボルトの薬師、蔦鼠は問題なし。幽霊、精霊組もだ。一番大きいガルフ=ナザは、中型犬サイズまで小さくなれたので、やはり問題ない。


 バルツの森の大牙や見張役たちは、背中の棘などが引っかかりつつも、なんとか身を捩って通り抜けられた。


 問題はここからだ。


「ガオ……」

「ヒヒン……」


 バルツの森の主、伝令のペガサス、フォレスト・ラプターの3種が、どうやっても通り抜けができなかったのである。


「こんなところで戦力を減らすのは……。これ、防火扉を持ち上げられないか?」

「やってみよう」

「やりますぞ!」


 ということで、なんとか防火扉を上に戻せないかチャレンジしてみた。バルツの森の主が首だけを隙間に入れて下から押し、ゼド爺さんやエミルたちがそれを補助する。


 皆でタイミングを併せながら持ち上げようとするんだが、防火扉を完全に戻すことはできなかった。


 一応、3、40センチほどは持ち上がっただろう。だが、途中で何かに引っかかったように動かなくなってしまい、それ以上はビクともしなかった。


 ただ、入り口が少し広がったことで、伝令のペガサス、フォレスト・ラプターはなんとか潜り抜けることが可能になっていた。


 後は、最大戦力であるバルツの森の主たちだ。ここで置いていくのは最後の手段である。できれば連れて行きたい。


「よし、2手に分かれよう。俺たちは、この階を調べる」


 俺たち人間組と、メイドさん、フォルはこのフロアの探索だ。どこかに、防火扉を操作するための設備があるかもしれない。


「で、大剣士や他のバルツビーストたちは、この壁を破壊できないか試してくれ」

「ガオ!」


 今後も、同じような防火扉に行く手を遮られることがあるかもしれない。破壊できるならそれが一番手っ取り早いだろう。


「ワフ、行くぞ」

「了解であります!」


 ワフとともにフロアを探索すること十数分。


 通路を歩き回り、部屋を一つ一つ覗いていくうちに、俺たちは少々特殊な部屋に辿り着いた。


 他の部屋はベッドに机が備え付けられた仮眠室のような作りであるのに対して、この部屋は4分の1ほどの広さしかないうえに、家具類も一切なかった。


 その代わりに、手持金庫サイズの金属製の箱が壁に備え付けられていた。蓋は既に開いており、中に描かれた魔法陣のようなものが丸見えだ。


 俺は部屋の反対側を調べているワフを呼んだ。


「ワフ、これなんだと思う?」

「おお! さすが主! この魔法陣は、隔壁などを開閉するための魔法装置を動かすためのものでありますぞ!」


 ワフが、箱の中に描かれた小型の魔法陣を見上げながら、興奮した様子で教えてくれる。


「じゃあ、この魔法陣を使えば、あの防火扉を操作できるのか?」

「間違いありませぬ。ここにそう書いてあります故」


 俺には全くわからんが、ワフは魔法陣に描かれた文字を解読し、用途を理解したらしい。


「そうか! じゃあ、一度向こうに戻ろう。近くに誰かがいると、操作した時に巻き込まれるかもしれないからな」

「そうでありますな」


 防火扉の破壊は、まだ達成できてないようだ。フロア中に、ドガンドゴンという攻撃音が響き続けている。


 しかし、俺たちがバルツビーストたちの下に戻ろうとした、その時だ。音に明らかな変化が起きていた。


 硬い物を殴るドゴンという音の中に、メキョメキョという異音が混ざり始めたのである。


 そして、すぐにドーンという何か重いものが倒れたかのような、重低音がフロア中に響いた。


「何があった!」


 慌てて階段の前に戻る。すると、そこには驚きの光景が広がっていた。


「うわー、壁をぶち抜いたってことか」

「す、凄まじいですな!」


 防火扉は凄まじく丈夫なんだろう。表面がボコボコになっているが、破壊された様子はない。


 しかし、その防火扉を支えている建材が、バルツビーストたちの攻撃による衝撃に耐えきれなかったらしい。


 最初は、防火扉を押さえる溝部分にひびが入ったようだ。それを見たモンスターたちが、防火扉ではなく、建物の壁自体への攻撃へと切り替えたのである。


 結果として、ヒビが入って強度の下がった壁はモンスターの攻撃に耐え切れず、崩れ去ったのであった。


「せっかく魔法陣を見つけたのにな」

「無駄になりましたな」


 まあ、通り抜けられるのであれば、それでいいんだけどさ。それに、モンスターたちの総攻撃であれば、壁を破壊できると分かったのも収穫だ。


 最悪、壁を壊して逃げられるかもしれないからな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
みんなで丸太を担いで壁に打ち突ける姿が浮かんでしまった。木のように見える魔物よ安らかに
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ