オレンジマフラー⑧
寒くなったら、マフラーを贈ろう。
君に良く似合う、オレンジマフラー。
オレンジマフラー⑧
それはつまり、
「俺、告られてる?」
「他にどう聞こえる?」
悪戯っ子のように笑う沢渡。
そんな君に、俺は結構前から惹かれていたと思うけど。
「じゃあ、俺を彼氏にしてみませんか、沢渡さん?」
「喜んで!」
彼女は嬉しそうに、えへへと笑う。
そして、だけどね、と続けた。
「仁菜だよ。彼女のことは仁菜って呼んで、淳彦くん」
俺も彼女につられて笑う。
それでは彼女の仁菜さん?
手始めに一緒に帰ってみるとしますか。
空は夕焼けの時間を過ぎ、街灯が灯り出した頃。
11月に入ったばかりの風は、少しだけ肌寒くて、二人して首をすぼませた。
もう少し寒くなったら、君にオレンジ色のマフラーを贈ろう。
圭介のジャジマフなんかより、ずっと綺麗な夕焼け色したオレンジマフラー。
きっと君には、オレンジ色が良く似合う。
ねえ、淳彦くん。
前に、どうして看板の色をオレンジにしたのか聞いたよね?
恥ずかしいから言わないけど、淳彦くんにはオレンジ色が似合うと思ったからなんだよね。
太陽みたいに派手やかじゃないけど、月ほど謙虚でもない君には、夕焼け色がいちばん似合うと思った。
そう考え始めたら、看板をオレンジ色にしたくて仕方がなくなったの。
だから、赤色太陽の大澤くんの意見を退けて、オレンジ色を推しちゃった。
あたしを幸せな気分にしてくれる夕焼け空のように、彼女を包んで下さいね、彼氏さん?
明日からの毎日が、楽しみね。




