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13 レイ視点

 

 レイ視点



 私はオーキッド公爵家の次男で、現在はルークの側近である。父はこの国の宰相であり、長男が跡を次ぐ。

 ルークとは幼い頃からの仲の良い遊び友達でもあったため、二人のときは幼なじみで親友に戻るが、他人がいれば主従関係になる。


 幼い頃からルークはなんでもそつなくやってしまう。私も同じタイプでそんなに苦労せずに体得できることが多い。それもあってか、関係はいたって穏やかで、喧嘩のようなものは特になかったように思う。


 学園を卒業する少し前にクラスでは卒業パーティーで誰をエスコートするのか話題になっていた。私はその頃剣術にのめり込んでいたため、エスコートをせず、ルークの護衛として付こうと思っていた。ルークはルークで初めから誰かをエスコートする気もなかった。


 学園にいる間に王族と懇意にしたい貴族たちはたくさんいて、ある男爵令嬢が何度断られても無視をされても、ルークにエスコートを頼みに来ていた。さらには、ルークに許されてもいないのに「ルーク様」と勝手に名前を呼び、エスコートをされるのは自分だと吹聴するようになった。ルークからは「何を言われても相手にするな」とだけ言われていたので私たちはその通りにしていた。

 ルークの学園内での無表情化が進み、あと10日で卒業だというときになり、男爵令嬢は退学していった。父親である男爵に不正が見つかり一族みな捕まったからであった。

 その後、宰相である私の父から、ルークに素敵な情報をありがとうと内々に伝えるように言われ、そのときは、ルークを怒らせてはいけないと心底思ったものだった。


 学園の卒業後、ルークの側近になることは決まっていたのだが、剣術を向上させたかったのもあり、騎士団で鍛えてから側近につくことを約束し、いったんルークと離れた。後にも先にも離れたのはこのときだけである。

 ルークと離れている間、かなりストイックに鍛えたのもあり、騎士団の中で剣術は誰にも負けないほどの実力を付けた。

 実力がついた頃ルークの護衛任務にあたったときに、ルーク自身から側近に戻るように言われ今に至る。


 ルークは思えば子どものときから不思議なことをよく言っていた。


「自分には運命の子が異世界にいる」と。


 前世の記憶があり、さらに運命の子との繋がりについて、子ども時代の一時のものではなく、成人してからもかわらずに言っていた。


 召喚のできる魔導師に会ったり、世界中の文献を集めだした時ぐらいから私も手伝うようになり、ルークの真剣さに心配しつつも異世界の姫様のことを待ち望んだ。


 ルークはこれが理由で女性との交流は一切せず、そのためか一時期、私との仲を頻繁に聞かれたことがあった。(迷惑だ)


 女性をそばには寄せず、また近しいもの以外の前では笑顔も見せず、ルークはいつしか氷の王子と呼ばれるようになっていた。

 実際に笑わないということはないのだが(私と二人だと感情をよく出す)、極々近しいもののみの集まり以外では感情を見せずほとんど口を開かない。綺麗な顔で無表情な時は怖いものがあり、氷の王子と思われても仕方がない。


 ところが!

 ところがどうだ!

 

 異世界から目当ての姫様を召喚したとたん、甘々の溺愛王子に変身してしまった。

 相変わらず姫様以外には今までの塩対応と変わらないが、屋敷のものの生暖かい目も気にすることなく溺愛しまくっている。

 こちらの世界ではこれ(溺愛)が普通だと姫様に言っていたが、どこの世界の話であろうか。みな、ルークに殺されたくはないので姫様に言うことはないが。


 国王陛下もルークの結婚を長年案じておられたようだが、姫様とのことはとてもお喜びのようだ。


 思いがけず、今日婚姻を了承されたので皇族として姫様の専属の護衛騎士を選定しなければならないが、ルークを見る限り選定は難航しそうだ。



 それにしても……

 姫様が来てくださってよかった!

 今は問題がいろいろあるが、ルークの喜ぶ顔は家臣としても親友としてもうれしく思う。



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