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 体調が安定して1週間が経った頃、今日はついに王城に行く日となった。


 朝から準備のための湯あみをし、最近日課となっているマッサージをしてもらい、はじめてのドレス、化粧と着飾ってもらった。


「アリス様、とてもお綺麗です! きっとルーク様もお喜びなさいます」


 鏡を見ると、なるほど。これはマリンの腕が良すぎるのです。


 深い青色のドレスはルークの目の色によく似ていた。


「アリス、そろそろ用意できまし……た……か?」


 ルークは部屋に入ってくるなり、目を見開いたあと、甘い甘い顔をして私を抱き締めた。

 

「あぁ、行きたくない。アリスを閉じ込めたい」


「ルーク様、お時間ですよ」


 ルークはレイに淡々と言われ、しぶしぶ、ほんとにしぶしぶ、私の腰に手を当てエスコートして馬車に向かった。


 馬車に乗るのははじめてだったので 楽しみにしていたが、カーテンは閉じられ外を伺うことはできない上に、ルークの膝の上に座らされた。

 ルークといるときは膝の上が定位置なのかしら?


 王城に着くと、すぐに王の私室に通された。


「兄上、こちらの部屋でよろしかったのですか?」


「かまわぬ。この部屋の方が話が漏れないからな。

  アリス、よく来てくれたね」


「お初にお目にかかります。工藤有栖と申しま ―――――」

「あー、よいよい。弟の奥方になるのだ。堅苦しいのはなしだよ」


 習った挨拶をする前に遮られてしまった。国王様…ウィンクしてる…。

 ソファーに座ることを勧められると、ルークはいつも通り膝に座らせようとするので断ったら、隣に座らせてくれたものの腰をホールドされた。


「ルーク、ちょっと前からは想像できない姿だね」


 と言いながら優しく微笑んでいる。


「アリス、私はルークの兄でクリス・ローズだよ。現国王だが、兄と呼んでくれ。妃はリリーと言って、今は次男が後追い真っ最中でな、落ち着いたら話し相手にでもなってやってくれ」


「もったいないお言葉、ありがとうございます」


「いやいや、これから兄になるのだから堅苦しいのはなしだよ」


「はい。ありがとうございます。お兄様」


「素直でよろしい。ルークが離さない理由が分かるね」


 クリスはルークににやっと笑った。

 仲の良い兄弟だとは聞いていたが、その通りで思わずふふっと笑ってしまった。


「ルーク、先に事務手続きだ。

 婚約の書、結婚契約書共に用意しておいた。問題がなければ、今、私の許可書を出すがどうする?」


「では読ませていただきます」


 ルークは読んだあと、書類を私に渡してくれたが、婚約の方は日付と名前を書く欄しかなかった。結婚契約書の方はいくつかの契約事項があったが、概ね次の内容だった。

 ・生涯側室は取らない

 ・財産は共有とする

 ・スキンシップについて

 ・浮気について


 スキンシップはできるだけとるように書かれてたり、浮気をしたら浮気相手をなきものにするとか、少し過激なような気もするが、こちらではこれが普通らしい。


「ルーク、アルボーン男爵家についてだが、侯爵家がバックについているようだ。次の王家主催の夜会で婚約、結婚を発表するがあいつらには気を付けろよ。リアンが気にしていたぞ。調べが進んだらまた知らせるが、アリスを必ず守れ」


「もちろんです」


 リアンとはレイの父親で、この国の宰相をしているとのこと。


「今、ついでに婚姻届を書いていくか? 婚姻していた方がアリスを守りやすいだろ?」


「……それは良い提案ですね。

 アリス、兄上のおっしゃられる通りにしましょう」





 ……え?


 今日婚姻? ってことは入籍?


 ホントに?



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