第13話 【最終回】経徳寺高校盗難事件(オリジナル脚本)
時間になるとブザーが鳴る。
ブザーの音とともに会場が静かになる。
こうして経徳寺高校演劇部の12月の年末公演が始まったのである。
ナレ「みなさん。経徳寺高校で盗難事件が発生しました。学校創立記念のため、校内に展示予定だった学校紹介書が消えたのです。一体誰が犯人なのでしょうか。おっと早速この学校の探偵と助手がやってきたようです」
「なんか無くなったらしいな」と探偵役の黒逸。
「ケース入りの学校紹介書ですね」と助手のまひな。
ナレ「学校紹介書には、学校の歴史や活動内容が記された貴重な資料が入っています。しかし、展示直前に姿を消した。探偵の黒逸と助手のまひなは調査を開始します」
「黒逸探偵。正門にいる警備員に確認したところ、誰も外へは出ていないそうです」と助手のまひな。
「では犯人はまだ校内に」と黒逸。
「そうなりますね」とまひな。
「では早速調査に向かおう」と黒逸。
ナレ「黒逸とまひなは校内を回る。それぞれの場所で案内役の生徒から話を聞く」
「まずは図書室だな」と黒逸。
ナレ「そこには図書委員がいた」
「この奥はなんだ?」と黒逸。
「古い書庫があります」と図書委員役のさおり。
「鍵は誰でも借りられる?」と黒逸。
「いいえ。先生しか借りられません」とさおり。
「なにか役に立ちそうなことはあるか?」と黒逸。
「特にはただ」とさおり。
「ただ?」と黒逸。
「図書室にはたくさんの本がありますので、みなさんお気軽に借りに来てください」
ナレ「次は音楽室に向かった。そこには吹奏楽部の部員がいた」
「すごい数のケースがありますね」とまひな。
「予備ケースが多いです。中に楽器は入っていません」と吹奏楽部の杏奈。
「なぜ予備ケースが?」と黒逸。
「楽器が足りないので……」と杏奈。
「なにか役に立ちそうなことはあるか?」と黒逸。
「予算がおりないんで。偉い人、楽器買って下さい」と杏奈。
客席から笑い声がする。
ナレ「次は体育館に向かった。そこにはバスケ部の部員がいた」
「この扉の向こうは?」と黒逸。
「体育館倉庫です。広いですよ」とバスケ部員役の康太。
「ずいぶん広いですね」とまひな。
「実はここでみんなでボウリングやってます」と康太。
「先生が聞いたら怒るよ」と黒逸。
「ごめんなさい、今の嘘です。本当にやってません」と康太
また客席から笑い声がする。
ナレ「次は生徒会室に向かった。そこには生徒会役員がいた」
「展示ケースは生徒会が管理しているんだよね?」と黒逸。
「はい」と生徒会役員役の信也。
「鍵はどうなっている?」と黒逸。
「展示ケースの鍵は私しか持っていません。でも、さっきまでは確かにありました。少し目を離した隙に……」
「何か言いたいことは?」と黒逸。
「生徒会は生徒のことを第一に考えています。次の選挙では是非私に投票をお願いします」と信也。
客席から笑い声が起こる。
ナレ「こうして2人は校内を校内を回ったのである。そして」
「犯人は校外へ持ち出していない」と黒逸。
「そして隠すには条件があります」とまひな。
「犯人はケース入りの紹介書を隠さなければならなかった」と黒逸。
「つまり、本だけではなくケースごと入る場所が必要だったのです」とまひな。
「しかし、一つだけ学校紹介の中でケースがたくさんあると説明された場所があった。」と黒逸。
黒逸が観客の方を見る。
「ここまでで必要な情報はすべて揃いました。さて、ケース入りの学校紹介書は、どこに隠されているでしょう?」
黒逸が客席に問いかける。
30秒考える時間が客席に与えられた。
時間が来ると黒逸が言う。
「答えは……音楽室。犯人は吹奏楽部の杏奈さんです。予備の楽器ケースの中に、ケースごと学校紹介書を隠していのです」
「理由はなんですか?」とまひな。
「学校紹介書に載っている華やかな吹奏楽部の写真と、現在の姿とは違うこと。新入生に期待させて、実際には楽器が足りない。そのことが悔しかった。だから展示される学校紹介書を一時的に隠した」と黒逸。
吹奏楽部の杏奈が現れる。
「学校紹介書には立派な吹奏楽部の写真が載っている。でも今は楽器が壊れたり廃棄されたりして、写真とは全然違う。新入生に嘘をついているみたいで嫌だった」
ナレ「こうして2人は事件を解決したのであった。みなさん。犯人と隠し場所はわかりましたか?」
「わかったよー」
「わからなかった」
「面白かった」
と客席からいろいろな意見が飛び交う。
京志郎も観客の拍手に満足げだ。
ナレ「出演は経徳寺高校演劇部でした」
全員でお辞儀をする。
拍手がいつもより多かった気がする。
観客も楽しめたのだろうと思った。
こうして年末公演が終わった。
今回は初めて楽屋面会(舞台終了後に家族や友人を楽屋に招いて話すこと)を行った。
みんなの元にクラスメイトや友人が話しかけている。
感想を言ったり、意見を言ったりしているようだ。
演者も友人たちも楽しそうである。
僕は演劇部をやってよかったと心から思った。
これからも、いろいろな演目をしていきたい。
みんなありがとう。
(完)
お読みいただきありがとうございした
今回は演劇の話ですが
劇中劇を書くのがとても楽しかったです
機会があればまた書きたいと思います
みなさまに感謝です




