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994.真相とその裏で

 ルブの称号は明らかに闇の子と思えるような名前であった。


(称号、『光に災いをもたらす者』……ね。ほぼ闇の子と同義でしょうね。エリアル神聖帝国を滅ぼすような存在が闇の子だから災いをもたらすというのはしっくりと来る。そして、エリアル神聖帝国は光の国と呼ばれていたりもするし……。さて、だとするとアルティアが主人公だと仮定して、ルブが攻略キャラで、他にも攻略キャラは出てくるかな。作品がボリューム的に控えめの作品なら攻略キャラが一人の一本道のシナリオゲーという可能性もある。まずゲーム開始時点でルブはサラシア地区という中継地点から食料品の数が減っているという事実はなんとか地区間を行き来して解決していたのではないかと思う。だとするとクリストセルベルさんのところには行き着いていてサラシア様のことは救出済みかな? サラシア様はどういう状態だったのだろう……。救出に時間がかかるとあまり良くない状況になっている気もするけれど……。ネドラ皇女殿下の武装蜂起自体は発生するはずだし、そこに少なくとも関与していって、ネドラ派である状況からのスタートかな? ひとまず、ルブが闇の子だということだけれど、対になる光の子のことも知らなさそうだし、真相を話して争いが生まれないようにするのがまず重要でしょうね)


 頭の整理について、現状の情報に基づいては出来たリゼだ。

 ルブが軽食を運んでくれたので、いただきつつも話し合うことにした。


「ルブには双子の兄弟がいるのですが、ご存知ですか?」

「いや、知らないな。リゼはレガルナス公国の人なのに随分と物知りみたいだ。その双子の兄弟は今どこにいる?」

「レガルナス公国にいらっしゃいます。皇太子殿下がその人物でした。ネドラ皇女殿下がその方の引き渡しを要求していたのはご存知だと思います。皇族がかなり亡くなったこともあり、皇位継承権の序列的には今、一位ですね。ここからが本題なのですが、光の神ルーフ様はある神託を出されました。光の子、闇の子という存在がいて、闇の子を排除するようにというものでした。闇の子はエリアル神聖帝国の崩壊につながるということでそのような神託を出されたようです。逆に光の子はエリアル神聖帝国を繁栄させることが出来る人物とのことでした。先代の皇帝陛下は我が子である闇の子を殺すことをためらい、秘密裏に逃がしたそうです。ルブは闇の子でして、皇太子殿下が光の子だと考えております。相容れぬ存在だと神託を単純に受け取るとそうなるのですが、状況が変わってきておりまして、皇太子殿下は皇帝側についていません。よって争う理由はない、というのがお伝えしたかったことです」


 知っていることは全て話せただろう。神託の話や光の子、闇の子の件は少しリスクのある話であったが、彼が知るべきことだと感じたので全て話してみた。


「そうか。神託というのは基本的にとある事実のみを出すことが多いと認識しているんだが、明確に殺害をするようにということであれば、相当に僕が脅威になるということになるな。しかし、どこにそんな脅威さがあるのかは自分でもよくわからない。光の子とは是非会ってみたいね。皇族であるサラシアと会ったことがあるとはいえ、父も母も同じ兄弟とは会っておきたい」


 随分とルブは落ち着いている。もっと真相を知ったら怒りや何かしらの感情を覗かせるかと思われたがそうでもないらしい。


 ■


 リゼとルブが話しているその時、城の奥地を更に進んだところにとある船が到着した。船が一隻泊まれるだけの港が断崖絶壁をくり抜いて作ったところにある。船には白い衣装を着た者たちが乗っていた。そして、案内役のエリアル神聖帝国の者が挨拶をすると船を降り始める。白い衣装を着た者たちの後ろには鎖で繋がれた人々が百人程度はいて、共に降ろされていた。


 城に到着すると、大広間へと案内され出迎えたのは皇帝と法王だ。皇帝がまず口を開く。


「ようこそ、新生エリアル神聖帝国へ」

「お招きありがとうございます。わたくしはデイラ聖教国のラファティと申します。家族は不信心者であったため、全員をロプタス様の生贄にしたゆえ、苗字は捨ててありませぬ。汚れた者たちと同じ名を名乗ることは出来ませんから。なお、法王猊下の元で大神官をさせていただいております。光の神ルーフ様によるお導きにより、こうしてエリアル神聖帝国を訪れることが出来て非常に喜ばしい限りです。後ろの異教徒はロプタス様への生贄用として道中で捕らえた者たちです。どうぞお受け取りを。南方未開地をぐるりと回ってここまで来ましたが、なかなかに遠いですね。しかし、これからは転移石が使えますから良いことです。いやはや、ロプタス様の聖なる気に満ちあふれている素晴らしい国と言わざるを得ません。しかし、異教徒の匂いを感じるのもまた事実。国民たちは完全に光の神ルーフ様を信仰されていないのです?」


 ラファティというのは坊主頭の男でにこやかな表情を浮かべていたが、目を大きく見開いて皇帝を見た。


「残念ながらその通りです。この国は光の神ルーフ様を信仰しておりますが、帝国として様々な国を取り込んできました。その結果、信仰心が足りない者たちが一定数いるのです。毎月、一定数を捕縛して生贄にしているので減ってきてはいますね」

「左様ですか。それでは残りも早急にロプタス様の生贄にするのが宜しいかと。それではまず、聖典を共に読み上げようではありませんか」


 ラファティと皇帝は聖典の一節を共に読み上げると用意されていた席につく。


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