1003.能力強化
アルカディは人の姿で手を開いたり閉じたりしていた。
「やはり数百体を吸収すると格段に能力があがる気がするな」
「何か新しい力を手に入れましたか?」
「いや、数百体では流石にないようだな。俺の予想では千体に到達したら何らかの力がまず得られると考えている。ただな、さっきの吸収で力とかの基本的なステータスは伸びているだろうな」
「分かりました。他の場所でも吸収をしていきましょう! 今後、ロプタスと戦う際にアルカディに足止めしてもらってその間に攻撃をするなどはしたいのですよね」
アルカディはというと頷いてきてくれる。きちんと共に戦ってくれる気があるようだ。
「キュア」
ほぼロプタスの姿の時に黒い靄を用いて回復していたが、念の為に回復しておいた。アルカディは「ふん。回復するほどではないが感謝はしておこう」と尊大に話してくる。
「ちなみに、アルカディの黒い靄ですけれど、上級ダンジョンのモンスターを一瞬で取り込めましたよね。靄で包みこんだら確実に吸収できるのでしょうか? 相手に抵抗力があったり、取り込まれまいという強い気持ちがある場合などについてですね。私の知る限り、抵抗力などがあると簡単にいかない認識でして、ロプタスの巫女の心を折るのは吸収しやすいようにでしたよね。先程のモンスターたちも反抗心と言いますか、簡単にやられまいという気持ちはあったと思うのです。なのに、なぜ簡単に吸収できるのかなというところが気になっています」
「ダンジョンのモンスターというのはな、ボスである俺と道中の雑魚とで圧倒的な差がある。人間社会でいうならば明確な縦社会、縦の構造がある。どれだけ強い道中の雑魚がいて、どれだけ反抗心を抱こうが、ボスモンスターに対しては一定の恐れと深層心理において隷属しなければという意識がある。そこをついて吸収することが可能だ。逆に人間の場合は従うというような感情が基本的に信者でもない限りはないだろう。よって、多少難航するのだろうな」
知らない情報であったので記憶しておく。ボスモンスターと通常のモンスターの関係性について知ることが出来た。別のダンジョンのボスモンスターに対しても同じように隷属しようとするようである。
「となりますと、レゼシアやシグ、リアもボスモンスターですから……道中のモンスターには潜在意識下においてデバフといいますか、少し躊躇のようなものを感じさせることが出来るということですね。ボスモンスター同士は平等でしょうか?」
「そうだな。ボスモンスターは平等だ。上級ダンジョンだから、初級ダンジョンのボスだからということで特にヒエラルキーはない。ただ、数がほぼいなかったり、一体しか存在しない希少種に対しては多少なりとも色々と感じるところがあるかもしれないな。俺やレゼシアなどについてだ。シグたちは『レアな種類だ』くらいの気持ちは抱いているだろう。リアもどちらかといえばレアな部類に入るがな」
「そういうものなのですね。ボスモンスター同士は連携したりするような気持ちを抱いたりしますでしょうか?」
「それはあるだろう。ボスモンスター同士は連携する。それに例えば、東方未開地で二つのダンジョンのモンスターが混ざったとしよう。で、どっちかのボスモンスターが何かを指示すればどちらのモンスターも従うだろうな。だが、人間にテイムされたモンスターのいうことは聞かない。恐れや深層心理での隷属しなければならないというような気持ちは抱くだろうが、その気持ちを振り払うかのように戦おうとしてくる。ということがさっきわかったことだ」
東方未開地の地上に溢れ出しているモンスターたちが徒党を組む可能性があるということは認識できた。アルカディには出来る限り吸収をしてもらい数を減らしてもらっておいた方が良いだろう。
なお、小国乱立地域に転移をし、東方未開地側に向かって進むとやはりモンスターはいたのでアルカディに何とかしてもらった。今日だけでかなりのモンスターを吸収できたし、戦闘ウィンドウで見ると目に見えてステータスが向上している。
「アルカディに一つお願いが……」
「あれだろ、いつでも封印、召喚は出来るからここら一帯のモンスターを吸収し続けてほしいということだろう? 従ってやろう。という気持ちはあるんだがな。どうやら一日に吸収できる上限は決まっているようだ。感覚的にそろそろ限界が近い。ということは五百体くらいなのではないか?」
「お察しのとおりです。吸収してほしいというのがお願いでした。では限界まで吸収してみていただくことは出来ますか? その後の感覚を教えていただきたいです」
アルカディが頷いてきて、共にモンスターを探して回って数十体のモンスターを吸収することに成功した。やはり五百体を超えると吸収できなくなったので色々と発見もあったリゼたちだ。ただ、アルカディの感覚的には一日経てばまた吸収できるようになるというわけではないかもしれないとのことである。




