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とある日
村一番の鴛鴦夫婦が
村の広場で農具を手に持ち
互いに重傷を負う喧嘩を始めた。
きっかけはよくある話だ。
夫が旅の冒険者と一夜を共にしたらしい。
村の者達はお互い冷静になる様にと
一度互いの村の親元に帰したそうなのだが
二人はその晩、それぞれの家で
首を吊った。
またとある日ひとつの街が
なんの前触れもなく一夜にして
滅んだ。
辛うじて逃げ出した住人によると
始まりは酒場でのよくある喧嘩が
発端であったらしい。
酒を飲んだ上でのことだ。
殴り合いなんて珍しくない。
だがその日は留まることがなく
しまいには武器をも持ち出し死人が出た。
ここ迄であれば
馬鹿な男がいたと酒の肴くらいには
なったのかもしれない。
だが次は
通報を受けて男を捕まえに来た衛兵の一人が
男を槍で嬲り殺しにしたというのだ。
そしてそこから始まったのは
衛生兵と酒場にいた人々との殺し合いだった。
気がつけばこの異変が
瞬く間に街に広がり
一夜にして街が滅びたというのだ。
魔族の介入があった痕跡は
一切なかった。
ただこのふたつの場所には
トンガリ帽を被った女の子が現れたそうだ。




