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「なんや、ウチにはよう分かれへんわ……」
撫子は悔しげな表情を浮かべ
独りその場を後にした。
「早く怪我人を運ばんか!」
「斥候は魔物の残党はいないか確認しにいけ!」
「これを王宮に!指示を仰げ!!」
周囲は徐々に騒がしくなり始める。
生徒会の者達を他所に。
欲求を満たされ悦に浸る者。
己の力を理解出来ず恐怖する者。
目を閉じ、耳を塞ぐ者。
生を与えられた者。
道を違う者。
まだこれはまだ
ボタンの掛け違いの様なものにしか過ぎない。
だが確実に運命の歯車は狂いだす。
―――その晩
リリスはベッドの中で
誰かに許しを乞うかの様に謝り続けた。
「ごめんなさい、ごめんなさい……」
そんなリリスを
エリーゼは愛おしそうに慰め続ける。
「リリたんは悪くないよぉ……。
リリたんは全く悪くないよ……」
声だけを聞けば
幼子をあやすそれだろう。
だが雲間から覗いた月に晒し出された
エリーゼの表情は
母性のかけらもなく悪意の塊であった。
聖マリアンヌ王国が窮地から脱した夜、
人知れず“悪夢の魔女”は産声をあげた。
―――See you next Nightmare




