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【人物紹介】
☆リリス・ハーバード
本作主人公
髪は黒髪ロング。
西洋系の顔立ち。
読書の時や研究の時のみ
丸眼鏡をかける。
空気が読めるがあえて
空気を読まない事が多々あり
事件に巻き込まれる上
自身に必要でないと決めた物は
切り捨てる為、反感を食らうことも
少なくはない。
☆アンネ・ハーバード
リリスの母。
心配性で平穏に暮らす事を望んでいる。
質素な生活を好み、目立つ事を嫌う。
フランクと結婚する前は
マリアンヌ女王の侍従として
働いていた。
☆フランク・ハーバード
リリスの父。
アレス王直属聖騎士団長。
妻と同じく質素倹約を好むが
目立ちたがりで新しい物好き。
無精髭がカッコイイと思って生やしている。
家族からは不人気。
楽天的な性格が長所であり短所。
聖騎士団副長が手を焼いている。
「母様、何故魔王は勇者様に
倒されなければならなかったのかしら」
5歳になったばかりの彼女は
誕生日に父に買って貰った絵本を読みながら
母に尋ねた。
「それはね、リリス。
魔王は人間を殺すからよ」
もちろん
リリスの母親であるアンネも
絵本の内容は知っている。
その絵本は彼女達が住む聖マリアンヌ王国
初代国王アレクがこの土地を
魔王から奪還する際の有名な話だからだ。
「私達だって、牛や羊を殺して食べているわ。
それと何が違うの?」
アンネは困り顔をする。
アンネ自身、魔族と敵対するのは
当然の事と考えていたし
疑問を抱いたことは無かった。
「魔物にしてもそう。
彼等が私達を襲うのも何ら
私達のやっている事と変わりないのでは
ないかしら」
アンネは愛娘の無垢な問いに押し黙る。
何か適切な答えはないだろうか。
腕を組んで考え込むのだが………
しばしの沈黙の後、アンネが出した答えは
「そうなのかもしれないわね」
曖昧なものでしかなかった。
その子は他の子と少し違った。
この世界において常識とされることが
彼女にとっては常識ではなく
彼女自身が見て読み解き、考え
導き出したものが全てであった。
その夜
愛娘の異質さを不安に思ったアンネは
リリスが寝静まった後
職場から帰った夫フランクに吐露した。
「あなた、私達の娘はおかしいのかも知れない」
「何があったんだい?」
妻の尋常ではない様子に
能天気なフランクも食事の手を止め
アンネの方を見る。
「リリスはこの世界の在り方に疑問を
持っているわ。もしかすると異端審問に
かけられるかもしれない。
あなたの仕事にも影響が出るかもしれない」
アンネは事の顛末をフランクに話した。
彼は必死に話す妻の言葉に耳を傾け
一部始終を聞き終えると
にこやかな笑みを浮かべた。
「いいことじゃないか」
夫の答えにアンネは驚愕する。
自分の娘が異端審問にかけられ
拷問を受けるかもしれない。
聖騎士団長である彼の職位が
脅かされるかもしれない。
そんな状況でフランクは
朗らかに笑っているのだ。
「俺達が知っている理は正しい理では
ないのかもしれない。
何が正しくて何が間違っているかなんて
自分で決めればいいのさ」
あまりのフランクの落ち着き様に
慌てふためいていたアンネも冷静になる。
「それにリリスは聡い子だ。
何とか上手くやるだろう。
そうだ、そろそろ王立魔術学園に入れてやろう!」
アンネはまた平常心を失う。
どうして今の話を受けて
こんな話になるのだろうか。
夫の能天気さには目眩すら覚える。
「リリスは本来入れない歳だが
学園長には俺から話を通しておくよ」
アンネの理解が追いつかないまま
事態は急展開を迎えていた。




