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夜半まで起きていたせいか
リリスの瞼は重かった。
だが1度身に付いた習慣とは
恐ろしいもので目は覚めてしまう。
「おっはよー☆リリたん!
今日も良い朝だね!!」
低血圧で動かない身体を
無理に起こしソファーを見ると
エリーゼが既に身嗜みを整え
必死に何かを書いている。
精霊から知識を得て以来
リリスは他人を遠ざけるきらいがあり
夜を同じベッドで誰かと過ごすなんて
両親といえど滅多になく、
不思議な充足感があった。
リリスはだって、まだ5歳なのだ。
「おはようございます」
リリスは少し頬を赤らめ
挨拶を返す。
人と話すのは少し苦手だった。
「会長、何を書いているのですか?」
今日は少し頑張ってみよう、
リリスは胸に決意を秘める。
積極的に他人に関わってみよう、と。
彼女はエリーゼの対面に座り
メイドが準備してくれた
ミルクたっぷりの紅茶に口をつける。
「ん?これ??
恋愛小説書いてるんだ☆」
エリーゼもなかなか少女趣味なんだなと
リリスは感じた。
小説のタイトルを聞くまでは。
「題して、
“リリたんとエリーゼのイ ケ ナ イ遊び
(お姉ちゃん、まだ私〇歳なのに)”です☆」
リリスは口から紅茶を吹き出すと
徐に立ち上がり
エリーゼの原稿をかっさらう。
目を通すと昨日の
お風呂場でのことが
歪曲され艶美に脚色されて
書かれている。
「どう?なかなかの出来でしょ☆」
なにやらエリーゼは感想を貰えるのかと
わくわくしている様子であったが
リリスは無言で手にサラマンダーを集めると
にっこりとエリーゼに微笑みかけながら
手にある原稿を燃やしつくした。




