其四十七
大変お待たせしました!
風を操り、巴樹は軈之球の真ん前まで巴樹はやってきた。
近づいてみてみると、予想以上に軈之球が大きいことが分かる。
だいたい、東京ドーム1.5個分ぐらいの大きさだ。
(やっぱり、大きい………でも!)
力強くうなずき、巴樹は息を吸った。
やり方は、分かっていた。
というより、流れる水のように頭の中に流れ込んできたのだ。
もう一度大きく深呼吸すると、巴樹は叫んだ。
「我!封じの姫の名に置いて!此処に悪しき感情を封じ込めるっ!!
七橋風華封印風夢」
すると、巴樹の体から、金色の光があふれ出てくる。
右手を軈之球に向けるように前へ出し、巴樹は、手にすべての力をかけるように力をこめる。
そして、軈之球に向けて、緑と金色が混じりあう光を放った。
だが、軈之球からも紫色の光が放たれ、二つの光がぶつかり合う。
「~~~~~っ!!!」
巴樹は、歯を食いしばって出力を上げる。
でも、軈之球から発射される光の出力も上がり、ますます表情が厳しくなる。
すると、すぐそばで、女性の高い声がした。
「おっつー☆」
「ひゃっ!?」
力を使うために気を張っていた巴樹は、その声にびくりと肩を震わせる。
あまりにも驚いた巴樹は、光の放出をやめてしまう。
そうなるとどうなるか、というと、
「おっと♪」
「きゃああ!」
軈之球からの攻撃を浴びてしまうのだ。
間一髪よけた巴樹は、向かい合う、その女性を睨みつけた。
「な、なにするのっ!?」
すると、その女性は満面の笑顔で巴樹に言った。
「何って~あんたの邪魔に決まってるじゃ~ん♪」
「はあ?」
すると、彼女は、ポニーテールにまとめた、自分のサーモンピンクの髪の毛をばさりと払い、不適な笑顔で言った。
「あたしは、黒亜一可愛い、美人の澪様よっ☆龍精のちびっこちゃぁ~ん、おとなしくあたしに退治されなさぁい♪」
赤とオレンジの女性用甚平(スカート丈がなぜかかなり短いのだが。)を来た澪は、「チュッ♡」と音を立てて投げキッスをしてくる。
でも、焼けたように黒い肌ではあるが、確かに澪は可愛い………不細工ではなかった。
巴樹がうっとうなって後ずさる。
と、その時。
あの凛とした声が、澪の後ろから聞こえてきた。
「…………なんか色々と突っ込みたいんだけど。」
シュンッ空を切る音がして、澪がサッと側転しながら横に避ける。
あからさまに嫌そうな顔をして、澪は巴樹のいる方を見ながら、つまらなそうに言った。
「んもぅ!あたしの美麗な白いプルプルのお肌に傷が付いたらどおすんのよっ!ぎゆーっち!」
「その名で呼ぶな。自意識過剰の大ボケナルシスト女。」
「……………すごい呼び名だね、きいくん。」
そう。
空霊と天命を手に、巴樹の前に立つのは、まさしくきいだった。
睨み合う二人を見て、苦笑いしながら巴樹はつぶやく。
「それと。」
きいは、ぽつりと言って、澪に空霊の切っ先を向けた。
「祓われるのは、お前の方だ。」
背中に巴樹はいたため顔はわからないが、どこか決心のような感情があふれ出るようだった。
その時。
ぼそりと巴樹の耳にきいの声が聞こえてきた。
「巴樹。お前はあっちを祓え。佳穂さん達が、援護してくれる。」
そのつぶやきに、巴樹はびっくりしてきいを見上げた。
そして、聞こえるか聞こえないかぐらいの声できいにつぶやき返した。
「でも……きいくんは……………。」
そう反論するが、きいはカチャリと金属音を響かせて澪の方へとびかかって行ってしまった。
だが、かすかに言葉が聞こえた。
「大丈夫。」
と。
漢字3文字にしか満たない短い言葉だったが、巴樹の勇気を奮い起こさせるには十分すぎるものだった。
「あっれー?女の子の龍ちゃんが逃げてくよ?どーしたの?」
巴樹が去っていく姿を見て、きいの刀をよけた澪がきょとんとした声で言った。
真っすぐに澪を見つめ、きいが鋭く睨みながら言う。
「さあ。怖くなったんじゃねーの…………それより。」
不敵な笑みを浮かべ、きいは澪を見据えた。
「俺のこと、祓うんでしょ?」
その言葉に、澪も不敵な笑顔を浮かべ、どこからか真っ黒な刀剣を取り出してきてきいに向けた。
「うん♪じゃあ、言うとーりに瞬殺したげるよ~
ぎゆーっち!」
刹那。
絶対零度の表情が、きいの顔に現れる。
笑っていない笑みを浮かべ、きいは二つの刀剣を光らせる。
そして、いつにもまして冷たい声で言い放った。
「ああ。こっちも瞬殺してやるよ。俺の力の千兆分の一にもならないお前の攻撃。楽しませてもらう。」
その毒のある言葉の後、二つの影が重なり合い、離れる。そして、また再び重なり合う。
暗闇に、二つの刀がぶつかり合う金属音が響き渡った。




