2代目勇者テンムと愉快なナカマタチ
100部です。
累計400,000PV突破しました!
今後もよろしくお願いします。
「ア~ララ。口の周りがべとべとじゃあ~りませんか。お行儀が悪いで~すね」
青年が赤く染まった口元を拭う。
満足そうな顔だ。
「こうやって食うからうまいんだよ」
「どう~せ殺すのにな~ぜ一芝居打ったので?」
ピエロの疑問。その問いに、青年は笑って答えた。
「いつも言ってるだろ、人生はドラマチックじゃなきゃ駄目だ。俺は彼女達の最期にそれを与えた。とてもおもしろい……悲劇的で! 感動的な最期だった! そう思わないっか!?」
「ぜ~んぜんわかりかねま~すね」
「お前はいい役者だが、遊びが足りないな。もっと楽しみなさい!」
「オ~ホッホッホ!」
「はーはっはっは!」
ピエロと青年。
お互い笑ってはいるが、和やかとは言えない奇妙な雰囲気だった。
「おろ? ご機嫌じゃない。何か楽しいことでもあったのかい」
そこにもう1人。人族のおっさん。
片手をポケットに入れ、空いている手で無精髭をさする。
「ジュウベイ。戻ったのか。どこに行ってた?」
「へへへ、ちょっとお散歩」
「国を跨ぐことが散歩か、おもしろい尺度だ」
「そういじわる言わんでくれよ。おっさんな~んにも悪いことしてないし」
「オホ~ホ。殺し屋のくせにお~もしろいこと言いますね~」
「はーはっは! まったくだ!」
「今回の雇い主はうるせーなぁ。あーあーこんなかわい子ちゃん殺しちゃって、もったいない。お、こっちの子結構タイプ」
ジュウベイがイシュミールの腕を持ち上げ、顔や体を確認する。
力なく、物の様に扱われた。
「うわー、死体見て興奮するとかないわー、引くわ―」
「その心臓食ってた人に言われたくないとお~もいますけどね~」
「え、心臓食ったの、悪魔かよ。怖え」
「たいへんおいしゅうございました」
「聞いてねえよ」
「と~りあえず、これは回収させてもらいま~すね」
話しが終わらないと察したのか、足早に2人の遺体を担ぐヘルムート。
「ああそうだ、ジュウベイも戻ったことだし、第329回ドラマチック会議をやるか。ヘルムート。皆を集めておいてくれ」
「おおせのま~まに~」
「あぁ……またやるのかよ。おっさん用事を思い出しそうだ」
「会議は大事だぞジュウベイ。内容じゃない、無駄にやることに意味があるんだ。なんとなく働いてる気がするだろ?」
「やべぇ。なに言ってるかおっさんわかんねえわ」
「では準備してまいりま~す」
隅で陣を起動するヘルムート、そのまま姿を消した。
「それで? どうだった」
「あー、あれはいけませんわ。人間じゃない。化け物ですわ」
「そうかそうか、それはおもしろい。成長しているようだね。怖気づいたか?」
「ええ怖いですよ。たまりません。だからあれは俺に任せてくださいよぉ」
屈折した笑みを浮かべるジュウベイ。
言葉は下からだが、そこに含まれる圧力は有無を言わさない意思が込められていた。
「いいよ。あれにはそんなに興味ないし」
「へへ、あざっす」
「でもお前、死ぬかもよ? あれも一応勇者だし」
「だからいいんじゃないですかぁ」
「そのいやらしい顔! お前も十分変態だろ!」
「俺はただちょっと人殺しが好きなだけ。あんたと一緒にすんじゃねえよ」
「ちょっと? ちょっとって言ったこいつ? 余裕で4桁超えてるだろ」
「あんたに比べりゃちょっとだろ」
「……そうだな! よし、会議るか!」
(会議るってなんだよ)
陣を起動。
2人の姿も消え、残されたのは少女達の乾き始めた血だけだった。
「やあやあ諸君! よく集まってくれた! 若干名来てない奴と死んだ奴もいるけど、これより第329回ドラマチック会議を始める!」
円卓を囲む者達に、青年はそう告げた。
その顔ぶれは様々。
主に人ならざる者。
人を捨てた者。
その中で、唯一純粋な人族であるおっさんが述べる。
※ここからはわかりやすく字幕でお送りします。
ジュウベイ「せんせー。おっさんもう眠いんですけどぉ」
バサラガ「会議中に寝るなど給料泥棒もいいところだ! 我輩の様に背筋を伸ばし、頭をまっすぐに首の上におく、そうすれば――」
ジュウベイ「あーうるせぇ。それに魚くせぇ」
バサラガ「我輩は誇り高き竜人族だ!」
ジュウベイ「うろこあんじゃん」
バサラガ「これは魚鱗ではない! 竜鱗だ!」
ダリー「よさんか。所詮人の戯言よ」
ジュウベイ「人じゃなくなったら強いと思ってる勘違いじいさんは山でディーアの乳でも吸ってな」
ダリー「よし殺そう」
?????「お腹……すいた……」
バトルノート「……(ナイフを渡す)」
?????「ありが……とう」
ヘルムート「おやおや、お優しいで~すね~(無口同士気が合うのでしょ~か)」
?????「こう見えて私忙しいんで、早く終わりませんかね」
?????「確かに、こうしょっちゅう召集されちゃあたまらんぜ」
一同「「「わいのわいの」」」
「静まれい!」
一同「「「!?」」」
「静まれい!!」
一同「「「……」」」
「あっ静まれい!!!」
ジュウベイ「お前が静まれよ!」
「あーもうわちゃわちゃうるさいからもう会議やめ! 〆ます!」
「えーここから! やっとここから最後の物語が始まる! そして俺達で幕を閉じる! だから最高に盛り上げたい!」
「つまり俺の言いたいことは1つだけ!」
テンム「みんなドラマチックに暴れようZE!!」
漫画のタイトルっぽく言うと『テンムさんはドラマチック』




