「未来の結婚相手は、」 その4 「あなたです!」(完)
「×××さん!」
「×××くん!」
「×××っち、大丈夫か?」
3人の自称・奥さんに出迎えられながら、ボクは座った。
それを見て、3人も座る。
1人ずつ、顔を順番に観る。
キレイなお姉さんの、陽子さん・・・子供がほしい、って言ってくれた。
すごくカワイイ、美帆ちゃん・・・ボクと結婚する未来を守るために、って。
2人とも、ボクなんかが将来、こんな美人と出会うなんて信じられないほどで・・・。
で、逆に、ボクが出会うとしたら、きっとこんな人だろう、ってすんなり信じられる、亜矢香さん。
ブスだけど、ブスだからこそ、信じられるというか。
来てくれた理由も、ボクがお金持ちになる未来を捨てさせないため、って。
はー・・・。
色々、すごく、はー・・・。
けどまあ、ボクが言わなきゃダメなんだよね。
「あの、ボク、決めました」
「あたしよね? あたしと子供、いっぱい作るのよね?」
「私のこと、信じてるよね? 私は×××くんのこと、信じてるから!」
「やめといたほうが良いんじゃねえか? 若い×××っちには、決められねえだろ」
三人三様。
おっぱいから乗り出すようにする陽子さん。
祈るように両手を合わせる美帆ちゃん。
そして、心配そうなブス・・・亜矢香さん。
そして、ボクは言った。
「皆、帰ってください!」
きょとん、とする3人に向かって、さらに言う。
「3人の話に共通していることは、ボクは、まだ誰かと結婚したり、子供を作ったりする時期じゃない、っていうことです。だから、帰ってください!」
「ウソっ!?」
「えーっ!?」
そして亜矢香さんは、ポカン、と口を開けた。
まずボクは、陽子さんに言った。
「陽子さん。子供が欲しいなら、子作りしましょう。でも、それは今じゃなくてもいいでしょ?」
「で、でもぉ・・・50年後じゃ、×××さんがぁ・・・」
「口説いてください。10年で」
「えっ?」
「亜矢香さんが言うには、ボクは10年後、亜矢香さんと結婚します。それまでの間に、ボクを口説いてください。そしたら、子作りも、結婚も、できます」
「あらぁ、そういうこと? だったら、そんなに待たなくても、今すぐ・・・」
「今すぐは拒否しますから! 今は、そんな気になれません。でも、10年もあれば、人の気持ちは変わりますよね。陽子さんと子供を作って結婚、っていう未来も有り得ると思うんです」
そして、美帆ちゃんにも言う。
「美帆ちゃんも。10年以内に、口説いてよ。そしたらきっと、美帆ちゃんの言うとおり、結婚する未来は守られるよね?」
「そ、そう・・・だね? え、でも・・・他の2人もいるの? 3人で競争しろ、ってこと?」
「ううん、違うよ。4人で競争だよ」
「ええっ? なんで?」
「ボクもやるから。ようするにコレ、婚活でしょ? 陽子さんと結婚するのか、美帆ちゃんと結婚するのか、亜矢香さんと結婚するのか。ボクも、頑張って奥さんにしたい人を口説くからさ。4人で、婚活バトルロイヤルだよ」
「えーっ! な、なんかズルいよ、×××くん!」
「うん、ズルいかも。それでボクのこと、好きじゃなくなったら、しょうがないけど。でも、ボクは美帆ちゃんのこと好きになったら、追いかけるから」
「そう・・・なの? じゃあ私のこと、どれくらい好き? 今の時点で」
「んと・・・けっこう好き。結婚するかどうか分からないけど」
「そっか・・・じゃあ、うん・・・がんばる!」
最後に、亜矢香を見ると、彼女は、うんうん、と頷いていた。
「おら、いいと思う。おらたちは、×××っちの未来を知ってるのに、×××っちは、未来のことも、おらたちのことも、なんも知らね。こりゃ、おらたちがズルしてるようなもんだ。お互いさまのズルっこだ」
「あ、ありがとう、亜矢香さん」
「ま、×××っちが好きな人と結ばれれば、それでいいと思う。おらも頑張るから、×××っちも、頑張っておらを口説けよ。おら、そう簡単には落ちねえけどな!」
「う、うん・・・できるだけ、頑張る・・・ね」
・・・ブスじゃなければ。ブスでさえなければなあ・・・
そして。
「帰ってよ! っていうか、帰らなくていいの!? タイムワープって、帰らなくていいの!?」
3人の嫁は、今、ボクの家にいます。
「だってぇ、10年しかないんでしょ? 1秒も無駄に出来ないもぉん♪」
陽子さん。
ぺったりとくっついて、ずっとおっぱいが胸いっぱいだ。
隙あらば子作りを狙ってくるのが、嬉しいやら困るやら・・・まあ、ボディガードが2人もいるから、今のところ貞操は守られておりますですよ。
「私は大丈夫だよ、タイムワープで戻る時間は決めてあるから。いつ帰っても、出発した翌日に着くようにしてあるんだ」
美帆ちゃん。
せっかくだから、家事をマスターすると張り切って、料理に掃除に洗濯に、花嫁修業の毎日。
私と結婚すると決めるまでは、馴れ馴れしくしないで、と言いつつ、ボクの身の回りの世話をしてくれる。
「おら、たまに帰ってるだ。こっちの×××っちも可愛いけんど、あっちの×××っちじゃねえと、出来ねえこともあるからなあ」
亜矢香さん。
なんだか、今のボクには、あまり興味がないのか、家にいたり、いなかったり。家にいるときは、美帆ちゃんに家事を教えているらしい。
「・・・トイレいってきます」
と、席を立つ。付いて来そうな陽子さんを、ドアでブロックして。
「ホントに、ボク、あの中の1人と結婚するのかなあ」
と、呟きながら、トイレのドアを開けた。
すると、
「×××さま・・・どうか、驚かないでくださいませ。わたくし、未来から参りました、×××さまの妻でございます」
と、黒髪の女性が立っていた。
大人っぽくって、見るからに育ちの良い・・・和風のお姫様、という風な。
「わたくしと、×××さまは、今日から数えて5年目に、結ばれることになるのでございます。ところが、それよりさらなる未来、いささか問題が起こりまして・・・って、あの? どうなさいました、×××さま?」
ガックリと膝を落としたボクを見て、お姫様が、オロオロと心配してくれる。
ボクは振り返って、大声で叫んだ。
「すみませーん! 1人増えましたー! それと、やっぱり5年以内でお願いしまーす!」
・・・と。
これにて完結となります。
短いお話でしたが、読んで頂きまして、ありがとうございました(^^)
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『錬金術師の箱庭戦争』
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