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ありがとう、美並

 夕日が岩の隙間から差し込んだ。昔の光景が蘇る。幼い美並が怖がっている。翠葉が美並の手を取って『大丈夫だよ、一緒に行こう、美並』と言う。そして二人は竜の顎の美しい日没を見せてくれた……。

 美並は泣き崩れる翠葉に、あの時と同じように手を差し出した。そしてニコッと笑う。

「大丈夫だよ、一緒に『生こう』。翠葉。私は翠葉がいない世界を、より良い世界だとは思わない。翠葉がいるからこそ、私の世界は輝く……。翠葉は、ずっと、私の姉だよ。これからも」

 美並は知千の縄を解く。

 懸空山の頂上にある「竜の顎」が滅びの儀式の場所だった。本来の名前は、「天喰らい」かつて流翻族王家が儀式に使っていた聖域だった。巨大な岩盤が空にせり出していて、その岩の裂け目が滅びの儀式を行うための祭壇になっている。

 三人は、懸空山の頂上にある「竜の顎」に立っていた。

沈みゆく美しい日没の光が、静かに三人を照らす。

美並と一緒に見た美しい日没・・・・・・

その時、美並が小さく呻き声を上げ、腹部を押さえてその場に座り込んでしまった。

「美並!」

知千が叫ぶ。倒れ込んだ美並は、知千の肩を支えにして必死に立ち上がると、翠葉を見つめた。

翠葉は泣きながら、三年ぶりに妹の美並の体を力強く抱きしめた。

「ごめんね、美並…………。美並は、わたしの大切で大好きな妹だよ。思い出させてくれて、わたしを信じて、連れ戻してくれて……ありがとう、美並」

 温もりを感じ、姉の翠葉を無事に取り戻すことができたのだと実感した美並の目からも、涙がこぼれ落ちていく。

苦しそうに息を吐きながら、美並は途切れそうな声で必死に言葉を繋いだ。

「私も、言うね...翠葉は私の姉だよ、私の姉だから、私と・・・翠葉自身のために生きて。これからは、そうして...翠葉、未来と運命は一つじゃないよ」

 美並と翠葉の旅は終わった。

読んでくださり、ありがとうございました。

最後の部分は、人によってさまざまな感じ方や解釈があると思います。

このあとの展開なども含め、自由に考察していただければと思います。

美並の想いや、物語について何か感じ取っていただけたら嬉しいです。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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