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ごめんね、美並

初めまして。『睡蓮の花が朽ちる前に』を読んでくださり、ありがとうございます。

本作は完結済みの作品です。小説を書くのは初心者なので、「あれ?」と思うところや、至らない部分もあるかと思います。温かい目で読んでいただけると嬉しいです。

ギャグシーンは少なく、最初の方は少し退屈に感じるかもしれませんが、後半から物語が大きく動いていきます。よければ最後まで読んでいただけると嬉しいです。

「ねえ翠葉っ!オオナガマキ蜥蜴だよっ!」

 山民族生まれの12歳の翠葉(スイハ)と10歳の美並(ミナミ)は、森に薪広いにやってきている。妹の美並は翠葉に嬉しそうな笑顔を見せて、蜥蜴を手のひらに乗せる。

「硬い鱗・・・ん?この子は尻尾が青いから、まだ子供なのかなぁ。可愛いなぁっ」

「ぎゃっ!やめてよ美並!近づけないでっ!」

 翠葉は美並が目の前に蜥蜴を近づけたので悲鳴をあげる。翠葉は昔から、物心ついた頃から、蜥蜴が苦手だった。4歳の時に、好奇心で蜥蜴を捕まえた時に、蜥蜴の敵から逃げるときに尻尾を切る自切で、尻尾だけが自分の手のひらに残っていたのを今でもトラウマとして鮮明に覚えているのだ。

「わたし蜥蜴が苦手なんだよ、美並。お願いだから、逃して」

「ええ〜、仕方ないなー」

 美並は残念そうに口を尖らせて蜥蜴を逃す。蜥蜴が自切せず、美並にトラウマを植え付けなかったことに翠葉は心からホッとした。

「さっ美並、さっさと薪拾い終わらせよう。晩ごはんに間に合わなくなっちゃう」

「うん!そーだね。翠葉、わたしの方が翠葉よりも多く薪拾うからね!勝負だよ」

 美並は青色の美しい猫目を、子猫のように細めた。

「なんだとっ!美並受けて立つ。わたしは負けない!姉なんだから」

 翠葉も負けじと薪を一心になって拾う。最後の薪を拾おうとした時、同時に美並の手と触れ合う。

「あっ、今回は同点だね。二人ともおんなじくらいで終わっちゃった」

 翠葉は笑う。美並も笑った。

「明日はわたしが勝つからね、翠葉」


「ごめんね、美並」

「どうしたの?」

 帰り道、翠葉が突然美並に言う。ピョンピョンとまばらに並ぶ石の上を飛んで、川を渡っていた美並は驚いて振り向く。

「ううん、なんでもない...。やっぱなんでもないよ、美並」

「翠葉、本当にどうしちゃったの?言いたいことがあるなら、言ってもいいんだよ?わたし、全力で受け止めるから」

「ふっ」

 小さくて幼い妹の真剣な表情に、翠葉は小さく笑う。

「美並、そんなとこで立ち止まってたら、川底に落ちるよ。早く渡って」

 翠葉はおかしそうに笑う。

「あっ!」

 美並は自分が濁流のど真ん中の小さな石の上で後ろを振り向いた不安定な態勢で立っていたことに気づく。

「うわぁ、危なかった...!」

 美並は慌てて、川を渡った。


 夜、二人は小さな小屋で布団を並べて眠りについていた。横で美並の穏やかで小さな呼吸が聞こえる。

「ふふ、美並ったら、いい夢見てるのかな?」

 翠葉は優しく美並の布団を掛け直してあげる。起き上がってじっと美並の寝顔を見つめる。優しくて、可愛くて、穏やかな寝顔。大好きな妹の寝顔。毎日癒しと笑顔をくれる妹。翠葉の顔は曇っていた。

「美並・・・わたしはあなたのことを傷つけてしまう。もうわたしは美並の・・・姉ではいられないだろう。ごめん」

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