91.
贄川を鎮圧した。
だが、反則剣によるデメリットを話したら、妹に泣かれてしまった。
うーん。なんで泣いているのか。
悲しませるようなことをしただろうか。
したつもりはないんだが。
うん、じゃあもうデメリットの話はしないようにしよう!
そうすれば解決だ。
『おお……勇者よ……人の心を失ってしまったようじゃ……お労しや……』
なんかしらんが、脳内で魔王に同情されてしまっている件。
なんでや。
「まあ、それは置いといて」
「……ほんとは置いとけないけどね。超重要なこと黙ってるし……」
咲耶がハンカチで目元を拭いながら、ジト目で俺を睨む。
その頬はぷくっと膨れていて、不満げな小動物みたいで愛らしい。
「まあまあ。で、贄川が襲ってきたってことは……他の妖刀使いどもも、やってきてるってことだよな?」
俺らは現在、新宿の地下に来ている。
カビ臭い湿った空気と、薄暗い照明。
ここで、妖刀集会(妖刀使い12人による集まり)が開かれることになっていたんだよな。
俺、咲耶、ももか、玉姫の四人は集会に来て……そこで襲撃に遭ったわけだ。
「そうだね。わたしたちが襲われたって事は、ももかや玉姫さんのほうにも、敵が来てるかも」
咲耶が不安そうに眉を寄せる。
俺たちと、ももかたちとで、分断されてしまったのである。
俺らに贄川が来たように、ももかたちのほうにも、妖刀使いがいてもおかしくはないってことか。
「じゃあまあ、大丈夫だろ」
「妖刀使いって雑魚だし」
今回の襲撃によって、改めて、俺は確信を得たね。
妖術師……雑魚説。
「まあ、お兄ちゃんの言いたいことはわかるよ」
と咲耶。
おや、怒ってない様子。
彼女は小さくため息をつき、諦めたように肩をすくめた。
「才賀? だっけ。そんなあからさまな邪悪の力でパワーアップしても、妖術師はお兄ちゃんの敵じゃあなかったから」
『うむ、掛け算するものが1000だろうと、掛ける元が1でしかなければ、大したパワーアップにならないしの』
ま、そういうことだ。
妖術師は基礎がなってないのである。
基礎、それすなわち、肉体だ。
妖刀がいかに強かろうと、とどのつまり、外部の力に他ならない。
扱う人間が強くないと、意味が無いのだ。




