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ブラックビート  作者: 坂戸樹水
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「ここを離脱する! 田島君を連れて来て!!」

「浜崎サンはどうするんですか!?」

「浜崎サンの意志を無駄にする事は、この私が許さない!!

アイツは私がここで食い止めるから、早くしなさい!!」

「ッッ、」


 武器庫のドアを押し破り、松尾は廊下に姿を現す。

他の死者に比べ、力強い足並みだ。

統也は浜崎への思いを振り払う様に備品庫へと走る。


「直ぐ戻ります!!」


 松尾を引き付ける吉沢は、マシンガンを構え、トリガーを引き続ける。


「化け物め!! クソッ、……来るな!! 倒れろ!! 倒れろ!!

ッッ……何で、……何で倒れないのよぉ!?」


 松尾の頭は不規則に前後左右に大きく揺れ、的が絞り込めない。

腹部を狙って撃つも致命打にはならないから、松尾との距離は縮まり続ける。


 統也は備品庫に舞い戻り、田島の息を確認しながらストレッチャーを動かす。


「田島、生きてるな!? ここを脱出するから、もう暫く我慢しろ!」


 松尾は吉沢のもう1歩にまで迫っている。



「吉沢サン!!」



 統也と合流すると、吉沢は素早く体を翻し、裏口から外へ。

開放された裏口ドアから、統也はストレッチャーと共に屋外へと脱出。

吉沢はドアを蹴りつけて閉ざし、統也を誘導する。


「このまま正門を目指しましょう!」

「はい!!」


 裏口ドアが松尾の足止めをしている間に距離を取りたい。

然し、グラウンドの芝生がストレッチャーのキャスターに絡み、進行を妨げる。

推しては引いてを繰り返している間に、松尾は裏口のドアをブチ破り、陽の光の中に姿を晒す。強襲は終わらない。



「来たかッ、化け物め! 私がここで仕留めてやる!!」



 吉沢は更に銃弾を装填。松尾の全身を無数に撃ち貫く。


「くたばれぇえぇえぇえぇ!!」


 着弾の威力に松尾は伸ばしていた両手をダラリと下げ、魚の様に口を開けては閉めてを繰り返す。足は1歩1歩と後退。後ひと押しだ。

だが、次の瞬間、松尾は胴間声を上げる。



「ウ、オォオォオォオォオォオォオォオォオォオォオォオォオォオォ!!」


「「!?」」



 松尾に一体何が起こったのか、何処からそんな大きな声が出るのか、まるでサイレン。

そして、周囲の木々がざわめく。

颯々と、何かが近づいて来る感覚を全方位から感じ取ると同時、2人を取り巻く景色は一変する。



「な、何が起こったんだ!?」



 風に木々が揺れていただけでは無い。

死者の群れがバリケードを越え、木々を掻き分け、隊列を聞かせていたのだ。

先程までは見えなかった、規格外とも言える死者の軍勢が集結しようとしている。

吉沢は余りの蕩恐にトリガーを引く事も出来ず震え上がる。



「まさかコイツが、呼び寄せたの……?」



 松尾は叫び続ける。

それに呼応する様に、現れた死者達も唸り声を上げる。


「ウォオォオォオォオォオォ!!」

「アァアァアァアァアァアァ!!」

「グゥアゥアァアァアァアァ!!」


 死者の遠吠えが空気を振動。


(バカな……コイツらに意思疎通は出来ないんじゃなかったのか……?

これが【例外】の持つ力だって言うのか!?)


 動揺を隠せない。

否、統也達に理解する頭は無くとも、死者達に完全包囲される前に、この混迷を突破する事が先決だ。


「これじゃ脱出は無理よ! 水原君っ、車庫へ! 車庫へ逃げましょう!!」

「は、はい!!」


 ストレッチャーを押す統也を吉沢1人の援護で守りきるのは難しい。

明哲保身である為には、1度、態勢を立て直す必要がある。

2人は正門を諦め、最も近い位置にある車庫へと走る。



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