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【書籍化】小さな転生貴族、異世界でスローライフをはじめました  作者: 福音希望
第七章 成長した転生貴族は冒険者になる 【学院編2】
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閑話7-1 聖氷と闇炎の姉妹たちの会話


(クロネ視点)


「クロネ、グレインお兄様から手紙が来たよ」

「えっ!? 本当っ!?」


 勢いよく部屋に入ってきたハクアの言葉に私──クロネ=カルヴァドスは驚きの声を漏らしてしまった。

 おそらく、その声音は嬉しそうな感情で溢れかえっていたのだろう。

 普段はあまり感情を表に出さない分、本当にうれしい事があったときにはわかりやすく出てしまう。

 それを異母姉妹であるハクア=カルヴァドスはよく理解していた。

 だからこそ、そんな私の様子を見て、笑みを浮かべた。


「クロネはグレインお兄様の話になると、本当に嬉しそうになるわね」

「別にいいでしょ。それにハクアだって、嬉しそうにするじゃない」


 ハクアの言葉に私は思わず言い返してしまう。

 自覚があるからこそ、少しムキになってしまった。

 そんな私の言葉にハクアは少し呆れたような表情で返事をする。


「私の場合、妹として兄を慕っているだけよ? でも、クロネは違う気がするわ」

「何が違うのよ」

「兄に対してというよりそれ以上の感情のような気がする」

「なっ!?」


 ハクアの言葉に私は驚きの声を漏らす。

 もちろん、先ほどとは違う驚きである。

 そんな私の様子にハクアはさらに説明を続ける。


「だって、私との話のほとんどはグレインお兄様の話でしょ?」

「ほ、他の話もしているわよ」

「言い方を変えるわね。クロネから話し出す話題のほとんどがグレインお兄様のことよ? ごく稀にアウラとシュバルの話が出るぐらい?」

「そ、そんなことは……」


 ハクアの言葉にクロネは反論することはできない。

 よくよく考えてみると、ハクアの言う通りな気がするからだ。

 たしかに、自分から話すときには、基本的にグレインお兄様の話から始める。

 だって、一番話しやすい話題なんだから……


「シリウスお兄様やアリスお姉様もいらっしゃるのに、どうしてグレインお兄様の話ばかりするの?」

「……そんなのわからないわ」

「まあ、グレインお兄様がかっこいいのは理解できるけど……」

「そうでしょっ!」


 ハクアの言葉に食い気味に反応してしまう。

 しかし、「グレインお兄様がかっこいい」と言われれば、即座に反応してしまうのだ。

 私にもなぜかはわからない。

 そんな私の反応にハクアが再び呆れたような視線を向けてくる。


「はぁ……それよ。明らかに異常だと思うんだけど……」

「うっ!?」


 ハクアの指摘に私は反論できなかった。

 たしかに、先ほどの反応は私から見ても異常だったように思える。

 兄を慕うけなげな妹を通り越して、それ以上の感情を持っていると言われてもおかしくはないのかもしれない。

 流石にそんな感情が成就するとは、流石の私も思っていないのだが……


「実の兄妹じゃ、結婚できないわよ?」

「そ、それぐらい……わかってるわ」


 ハクアの指摘に私は反論する。

 しかし、言葉が詰まっていることから、多少なりともそんなことを考えていた自分がいたようだ。


「私の場合は半分しか血が繋がっていないから何とかなると思うけど、クロネの場合はまずいでしょ? 同じ両親から生まれた実の妹なんだから……」


 ハクアはそんなことを言ってくる。

 彼女の言う通りである。

 ハクアの場合は父親であるグレイン=カルヴァドスは同じだが、母親はグレインお兄様とは違う。

 半分しか血が繋がっていないので、まだギリギリ考えることはできるだろう。

 褒められたことではないが……

 しかし、私の場合は完全にアウトだ。

 父親も母親もグレインお兄様と一緒──完全に血のつながった実の兄妹なのだ。

 結婚することなどできるはずがない。

 だが、それよりも気になることが……


「……ハクア」

「なに?」

「そんな話をするぐらいだから、ハクアはグレインお兄様との結婚を考えているの?」

「いや、クロネじゃあるまいし……」


 私の指摘にハクアはあっさりと否定した。

 どうやら私の勘違いだったようである。

 それなら安心……というわけでもなかった。

 私の方の問題は全く解決していないのだから……


「私だって、そんなことを考えているわけじゃないわ」

「ふぅん」

「……なによ」


 私の言葉にハクアが少し冷たい視線を向ける。

 そんな視線を向けられるような覚えはない……わけではないが、それでも向けられるのはあまりいい気分ではない。

 そんな私にハクアは質問をしてくる。


「ティリスお義姉様とレヴィアお義姉様がグレインお兄様に抱き着いている姿を見かけたら、どう思う?」

「えっ!?」


 ハクアの質問に私は驚いたような声を漏らす。

 いきなりの質問に私は頭が追い付かない。

 えっと……そんなことになったら……


(ミシッ)

「っ!?」


 私の手元から不穏な音が聞こえた。

 視線を向けると、私の手の中にはひびの入ったペンが……


「ほら……そんな様子で信じられると思う?」

「うぅ……」


 ハクアの言葉に私は何も言い返すことができなかった。

 完全に向こうの言い分が正しいからだ。






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