↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】小さな転生貴族、異世界でスローライフをはじめました  作者: 福音希望
第七章 成長した転生貴族は冒険者になる 【学院編2】
PR
477/618

閑話4-3 とある夫人たちのお茶会


「次に【獣王】と【魔王】の次女が婚約者ね」

「……それはすごい大物ね」


 リナリアの言葉にカレンデュラが素直に驚く。

 先ほどの【デュアル】の場合は珍しい存在ではあるが、グレインの近い位置にいたためそういう関係に発展してもおかしくはないとは思った。

 しかし、【獣王】と【魔王】の親族となってくると、話が違ってくる。

 いくら元伝説の冒険者と言えども、男爵家の次男程度が交流できる相手ではないからである。


「現【獣王】と現【魔王】がアレンさんの元パーティーメンバーだからね。幼いころから交流があってもおかしくはなかったのよ」

「ああ、そういえば、そんな噂を聞いたことがあるわね」


 リナリアの言葉にカレンデュラは納得する。

 一般的にはあまり知られていないが、【巨人殺し】のアレン=カルヴァドス男爵と【獣王】と【魔王】は元パーティーメンバーだったのだ。

 【獣王】と【魔王】はそれぞれ獣人と魔族の冒険者の中でも群を抜いて強かったため、つけられた異名であり、当時それぞれの国には本物の【獣王】と【魔王】がいた。

 アレンが男爵となり、冒険者を引退するのを機に二人もそれぞれの国に帰った。

 そして、いろんなことがあった末に現在の地位になったわけだ。

 もちろん、二人がなりたくてなったわけではない。

 ただただ二人にトップなるための実力があっただけである。


「よくよく考えると、とんでもない存在ね。アレン=カルヴァドスという男は……」

「そうねぇ。私にとっては礼儀の正しい義理の息子なんだけどね?」

「そういう風に思うのはリアだけだと思うわ。何をどうしたら、【巨人殺し】を相手にそんな態度がとれるのやら……」

「私としては、特別なことをしているわけではないのだけどねぇ」


 カレンデュラの言葉にリナリアは首を傾げる。

 彼女は本心からどうしてアレンから礼儀正しくされているのか理解できなかった。

 それが過去の彼女のせいだとは知る由もない。


「しかし、なんで二人とも次女なの? 結婚するんだったら、長女でも構わないと思うけど……」

「次女なら、二人ともグレイン君と二歳差だからちょうどよかったのよ。長女たちの方だともっと差があるはずだから、そういう話にもならなかったみたいよ」

「あぁ……その少年が跡継ぎを考えることになったら、女性としての適齢期は終わっているだろうね」

「その長女さんたちもグレイン君のことを弟のように思っているみたいだから、そういう気持にもならないでしょうしね」

「それなら仕方ないわね」


 二人はそういう結論で納得する。

 だが、その長女たちとグレインのお互いにそういう気持ちがないせいで、別の問題が現れているのだが、それを彼女たちは知らなかった。

 元々、気にするような間柄ではないので、問題はないが……


「もう一人はたしかアストラ子爵のご令嬢だったかしら?」

「アストラ子爵? たしか、領内にダンジョンが出来たところだったかしら?」


 リナリアの言葉にカレンデュラは記憶を探る。

 たしか、最近になってダンジョンが出来たと有名になったのが、その子爵の領地だったはずだ。

 しかし、どういうつながりでそういう話になったのだろうか?


「元々、その娘さんはグレイン君の先輩だったらしくてね。グレイン君も認めるほどの実力者だったらしいわ」

「……年下に認められる、ってなに?」

「うちの孫は王立学院の学長に実力を認められるほどの【化け物】だから、特別なのよ」

「あの【変人エルフ】にっ!?」


 リナリアから出てきた言葉にカレンデュラは今までで一番の驚きを示す。

 それほどまでに驚くべきことだったからだ。


「もう……学長をそんな風に呼んだら駄目じゃない」

「いや、あの学長はそう呼ばれるべき存在でしょ? 今まであの人に目をかけられて、ついていけた人はいた?」

「う~ん……聞いたことはないわね」

「でしょう? というか、あの変人についていけるなんて、リアの孫も変人じゃない」

「……否定したいけど、できないわね」


 味方かと思いきや、意外と酷い事を言うリナリア。

 だが、彼女の言うことはもっともである。

 グレインは自他ともに認めるほどの【異常】であるからだ。

 この話は関係ないので、リナリアは話を進める。


「まあ、とりあえず今の王立学院には【特別試験】ってのがあるらしくて……」

「何それ?」

「グレイン君と戦って、勝つことができれば卒業ができるって試験よ」

「何、そのとんでもない試験……あの変人、とうとうやばくなってしまったの?」

「そういうわけでもないみたいよ。昨今の学生のレベルの低下を憂いた学長が卒業要件と言う餌で学生のレベルアップをさせようとしたみたい」

「ああ、なるほど……たしかにそれは問題になっていたわね。でも、やり方に問題がある気が……」

「大丈夫よ。うちのグレイン君はその辺の学生が太刀打ちできる相手じゃないから、ほとんどが返り討ちに合っているわ」

「……それもどうかと思うけど」

「唯一クリアしたのが、私の孫のシリウスとアリス、グレイン君の婚約者のティリスちゃんとレヴィアちゃんの四人パーティーね」

「……クリアした人がいるんだ。その子たちも異常じゃないかしら?」

「普通の子達よりは強いかもしれないけど、旦那様曰くまだまだ人の域みたいよ?」

「リアの旦那も【化け物】の部類じゃない」


 リナリアの言葉に思わずツッコむカレンデュラ。

 リナリアは身内が異常であるせいで、時折感覚がずれてしまっているのだ。

 しかも、本人はそのことに気が付いていない。

 そんなことを言われたリナリアは気にした様子もなく、話を続ける。


「大半の学生たちが何もできないなか、グレイン君に膝をつかせた初めてのパーティーがアストラ子爵の娘さんであるエクレールさんみたいよ」

「……それはすごいわね」


 カレンデュラは純粋に驚いた。

 今までの話を聞く限りは、グレインと言う少年はとんでもない化け物である。

 そんな化け物と対峙するだけでもすごいのに、一矢報いることができたというわけだ。

 それだけで評価するに値するだろう。


「でも、それがどうして婚約者なんて話に?」

「アストラ子爵からカルヴァドス男爵に連絡があったみたい。「エクレールさんがグレイン君に惚れているから、婚約者にしてください」みたいな感じで……」

「一方的ね」

「親心みたいよ。本人はまだ認めていないみたいだから、先に既成事実でも、ということかしら?」

「とんだ馬鹿親ね」


 カレンデュラは辛辣な言葉を漏らす。

 話を聞く限り、とんでもない父親であるように聞こえる。

 しかし、リナリアは別の評価のようだ。


「アストラ子爵にとって大事な娘だから、下手な男に嫁がせたくはないと思っていたみたいよ。だから、グレイン君に出会って、エクレールさんがグレイン君に好意を見せていることに気が付いたから、そのような手段に出たみたい」

「理解はできるけど……もう少し考えて行動した方がいいわね」

「ちなみに、うちの女の子たちに聞いたら、エクレールさんがグレイン君に惚れていることはみんなにバレバレみたいね。昔のアレンさんたちみたいだわ」

「……私、その話知らないんだけど」

「また、話してあげるわ」


 リナリアが笑顔でそんなことを言う。

 彼女がそこまで言うのであれば、相当面白い話なのだろう。

 カレンデュラはものすごく期待してしまった。







ブックマーク・評価・レビュー等は作者のやる気につながるので、是非お願いします。

勝手にランキングの方もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。